Daily-EROtic 由依

12/14
「や…やだっ…お姉ちゃんっ…!?」
 由依が震えきった声で叫ぶ。
 脚に当てられたカッターナイフの感触は、由依を完全に動揺させていた。たとえそれが実の姉の持っている物であるとしても、その冷え切った刃が直接身体に当てられて恐怖しないわけがない。いや、むしろ肉親であるからこそ、由依はさらなる恐怖を覚えているようだ。見たことがないほどの冷徹すぎる目、記憶の中の姉とは全く違う恐ろしい表情。着ている服こそ由依も覚えている物だったが、自分の姉と同一人物とは思えないほどに今の友里は鋭い眼光をしていた。
 …びっ
「!!」
 友里が由依のスカートをピンと伸ばして、そこにカッターの刃を食い込ませる。
 びぃぃぃぃーっ…
「い、いやあっ…お姉ちゃん、やめて…」
 由依は力無い声で訴えたが、友里は制服のスカートを真ん中からまっぷたつに切り裂いていった。腰の締め付けている部分の直前まで来るといったんカッターを床に置き、
 びりりっ!
 残った部分を一気に引き裂く。スカートは、いとも簡単に原型を失ってただの布きれと化した。
 友里はカッターを床から拾い上げると、再び由依の身体に近づけていく。
「……!?」
 その刃先がショーツの真ん中にぴったりと当てられた瞬間、由依は全身の筋肉をこわばらせて硬直した。
 ぐぐ…
「い、いや、いやだっ…お姉ちゃん、やめて…」
 由依は徐々に食い込んでくるカッターの圧力に、怯えた声で恐れを示す。カッターの刃はあまりに正確な位置で秘裂の筋に当てられていたため、その刃が食い込み始めても痛みはほとんどなかった。薄い刃が、そのまま秘裂を割って入り込んでくるような感じである。
 しかしだからといって、由依が安心できるはずもない。カッターの刃が半ばほどまで食い込んでくると、由依は失禁してしまいそうなほどに筋肉が弛緩してきてしまった。ショーツの生地を通して、ステンレスの固い刃が秘部の内側に当たっているのがよくわかる。
 ぐぐぐ…ぐっ
「あっ…ああ…あ…」
 刃に無理な力が加わらないように身体を緊張させても、震えを完全に止めることなどできないのだ。いつ自らの震えで刃が勢い良く切り込んできてしまうかわからない。由依は半ば以上泣き声になりながら、その恐怖にただ耐える。
 …ぱっ
「………」
 いよいよ刃が危険な位置まで入り込んできたと由依が思った瞬間、友里は一気に刃を引いた。
「……あ…」
 由依は呆然とした声を上げる。危険は去ったというのに、涙がぽろぽろとこぼれてきた。刃が入ってきている時はこらえていた涙が、突然堰を切ったように瞳から溢れ始める。
「脱ぎなさい」
「……え…?」
 涙を流したまま、由依は問い返す。涙が流れ、喉の奥につっかえるような感覚が生まれても、意識はしっかりとしたままだった。
「………」
「あっ…あっ!」
 友里がカッターナイフの刃を今一度近づけようとすると、由依は慌てて自分の白いショーツに手を伸ばす。そして、飾り気のない白いショーツをずるっと子供のように下ろしてつま先から脱ぐ。
「じっとしていなさい」
 友里はカッターを左の手に持ち替えると、右手を何のためらいもなく由依の幼い秘裂に伸ばした。
「あ…!」
 突然秘められた部分に同性の指が入り込んできた事に、由依は困惑の声を上げる。しかし未だに鈍い光を放っている銀色の刃を見れば、抵抗することなどできなかった。
 ぐっ、ぐっ…くにゅっ…くりゅっ…
「んぅ…そ、そこは」
 友里の指は由依の秘核に当てられている。指の先だけで軽くマッサージするようなタッチが、由依の性感を凝縮した地点をジワジワと刺激する。そして、友里の目はじっ…と由依の目を見つめていた。
 くにゅ…くっ、くっ…くにゅっ
「お姉ちゃん…だめ…ここはっ…」
 由依は顔を赤くしていたが、姉から目をそらす事ができない。友里のじっとしていなさいという命令が、さっきのカッターの恐怖と相まって由依の身体を呪縛していた。
 くにゅ、くにゅ…クチ…クチッ…
 ほどなく、指先の動きに合わせた小さな水音が聞こえてくるようになる。痛感になってしまうかしまわないか、その境界線上の大胆な刺激で、由依の身体はあっという間に高ぶってしまった。小柄で幼く見える身体の奥底から少女の秘めた欲望が溶けだし、甘ったるい酸味を帯びたジュースとなってあふれ出す。
 くちゅくちゅ…
「お、お姉ちゃんやめて…恥ずかしい」
 由依がリボンの髪をさらさらと揺らしながら、ぎごちなく顔を横に振った。だが友里はそこがどれほど潤っているのかを確かめ、それを由依にも自覚させようとしているかのように、蜜液の入り口を指でかき回す。
「やだ、やだよ…お姉ちゃん、こんなこと…」
 口元を押さえながら、由依は友里に訴えかけた。
「…あんたがこんなに淫乱だから…私達は…」
「…え?」
 いきなり口を開いた友里に、由依は頬を染めたままきょとんとした顔になる。
「あんたがこんなじゃなければ…家族がばらばらになることもなかった…!」
「えっ…えっ? お、お姉ちゃん? 何を言っているのかわからないよ…」
 由依は何回か目をしばたたかせながら言った。
「あんたのせいで家族が無茶苦茶になったんじゃないっ!」
 友里は叫びながらカッターナイフを振り上げる。
「きゃっ…!!?」
 それが振り下ろされると思いつつも、由依はとっさに反応できず目を閉じるだけだった。
「………………」
 しかしいつまで経っても刃が肌に食い込んでくる感触はない。
 くちゅっ。
「…えっ」
 代わりに生まれたのは、何か無機質な物が秘裂の中に入ってくる感触だった。
「…あ…!」
 由依が目を開けると、自分の割れ目に赤いカッターナイフの柄の部分が入ってきているのが見える。友里はカッターを逆向きに持って、それを由依の秘部に入れてきたのだ。
 ぐちゅっ…
「ううっ…!?」
 友里はためらいなくそれを突き出し、由依の膣内に押し込んでいく。
 ぐぐぐ…
「んっ…んぅっ…!? ……あ…あれ…?」
 由依が予想した破瓜の激痛は生まれなかった。カッターナイフの柄は、由依の膣内にいともたやすく挿入されていったのだ。
「ど、どうして…?」
「何を言っているの?」
「だ、だって…私、男の子と付き合ったことなんかないし…それなのに…」
「…あんたが道で男に襲われたんでしょっ!」
 ぎゅっ…
「んああっ…!」
 友里がきつく由依の秘核を押し込む。その乱暴な刺激も、由依は燃え上がるような快感として受け取ってしまった。
「こんなに平べったい体しててっ…それなのに、ココをいじくる事ばっかりしてるから…あんな男に襲われて、家族が滅茶苦茶になっちゃったんじゃないっ!?」
「し、知らないっ! そんなこと…ん、んああっ…ふぅんっ…うあっ…!」
 由依は必死になって否定しようとしていたが、友里がグリグリと指で突起を転がすと甘い叫びを上げずにはいられなかった。
「いっそ、ココをカッターで切り取ってあげればいいのかもしれないわね…」
「!!?」
「そうすれば、あんたみたいな淫乱も感じなくなるし、少しは反省するでしょ」
「や、やめてっ!? お姉ちゃん…そんなこと、しないでっ…!! んっ、ふぅっ、ううーっ…!」
 友里は言いながらも激しく秘核を攻め立てている。由依のつるんとした恥丘にはねばねばした透明な液体がたっぷりとあふれ出して、姉の指を根元近くまで濡らしていた。切除される事への恐怖が、異常なほど秘核の感度を高めてしまっている。
「い、いやっ、あふぅっ、ふぁっ…あああーっ…だ、だめっ、お姉ちゃん…イ、イッちゃうっ…」
 …ビクッ! ビク、ビク…ぴくっ…ぴくぅっ…
 由依は小さな体を飛び上がるほどに跳ね上がらせ、カッターナイフをぎゅうぎゅうと締め付けながら初々しい絶頂に達してしまった…


「…あ…」
「第四段階終了です。お疲れさまでした」
 どこからともなく聞こえてくるスピーカーを通した声。暗い部屋、足元に浮かび上がった方陣のような緑色の光。
 由依は全身がびっしょりと汗をかいているのを感じながら、ふらふらと部屋を出ていった。



10/26
『………』
 沈黙。
「…だ、だめ?」
 郁未が下を向きながらぼそぼそと言う。
「だ、だめっていうか、それは郁未さんの誕生日なんですし、普段からの感謝を込めたいとは思っていますけど」
「そ、そうね」
 晴香と由依が、それぞれに顔を見合わせながら何回もうなずいた。
「郁未さんのびぼーがあるからこそ、郁未さんが一人でやっているお店がうまくいっているんですし」
「そうそう、郁未がいなかったら、私たちはすぐに路頭に迷っちゃうわよね」
「………」
 半分だけ顔を上げた郁未が、晴香と由依の顔を交互に見る。
「こういう風にみんなで暮らせるようになったのも、郁未さんが言ってくださったからですし」
「うん、私と由依が学校行っているのに、郁未ばっかり働かせて、それで郁未の言うことを嫌だなんて言えないわよね」
「…私は自分から学校やめただけだし…」
 郁未はまたぼそぼそ声で言った。
「と、とにかくぅっ、郁未さんの言うことに反対なんてしませんよ」
「そう、そうそう、由依の言うとおり」
 由依と晴香はそう言って、郁未の事を笑顔で見つめて、椅子から一歩も動かなかった。
「…嫌ならいいわよ」
「そ、そんな事っ、一言も言ってないじゃないですか…」
「言ってない、言ってないわよ」
 二人して手の平を左右に振りながら、由依と晴香は否定する。
「…表情と行動見ていると、すっごい嫌だって言っているみたいな気がする…」
「そ、そうじゃなくて…ただ…」
「あ、合図とかなかったからよ」
「そう、そうです、やっぱり急に言われてもなかなか始められませんし」
「…合図したらするの?」
『そ、それは…』
 一瞬会話がハモって、
「し、します」
「する、するから郁未、そんな顔もうしないの」
 二人は慌てて躊躇を打ち消し、郁未の次の言葉を固唾を飲んで見守る。
「…じゃあ。晴香がそこに寝転がって、由依が上に乗って」
 郁未が灰色の絨毯が敷いてある床を指さした。
「え、私…」
「由依が…」
「…うん」
 郁未はテーブルの上に頬杖をついて、黙り込む。
 二人はそのまま郁未のことをうかがっていたが、それ以上の郁未の言葉がない事がわかると、おずおずと椅子を引いて立ち上がった。椅子の脚が絨毯を擦るかすれた音が妙によそよそしく響く。晴香と由依、それぞれの「予想が裏切られた」という思いを暗に示しているようだった。
 そして郁未の真横にあたる位置まで二人は移動すると、晴香がスカートを気にしながら絨毯の上に座り体を伸ばして寝転がる。豊かな波打つ髪が布団のように晴香の体を支える。
「由依は、晴香の膝の辺りに座って」
「は、はい」
 郁未の声に、由依は晴香と同じくスカートを気にしながら、組体操でもしているかのような機械的な動きで晴香の脚の上にまたがる。小柄な由依の体は、晴香の体を組み伏せるような位置にあっても全く威圧的でなかった。
「じゃあ由依、晴香のスカートに手を入れて」
「…はい」
 横目の郁未の命令に、由依は唇を結んでやや緊張した素振りを見せた。そして少しずつ体を倒し、手を晴香のふくらはぎの辺りから段々と滑らせていく。
「………」
 晴香は由依の手の動きを最初見つめていたが、スカートの裾のあたりまで来るとそれとなく顔をそらせてしまった。郁未と逆の方だ。その晴香にも、ついに手をスカートの陰の中に入り込ませた由依にも、郁未はまんべんない視線を送っている。
 由依は手が奥に侵入していくのに合わせて体を前傾させ、それでも足りなくなるとずりずりと体全体を前に動かしていった。やがて、晴香の表情がピクッと動く。
「…由依、そこで、指を動かして」
「このまま…ですか?」
「そう。生地を食い込ませるくらいの感じで」
「ちょ、ちょ…」
 晴香が何か言いたそうに郁未に視線をやる。
「んっ…」
 が、スカートの中からこしゅこしゅという乾いた音が響き始めるとまた郁未とは逆の方に視線を向けてしまった。
「もっと強く、速く」
「はい…」
 由依がさらに体を前にずらし、手を奥深くに突っ込む。こしゅこしゅっ、くしゅっという音はより低くくぐもった音になり、その代わり音と音の間隔はさらに短くなった。郁未が料理の時に手際よくミジン切りをしている時のような、あるいはそれよりも速いかも知れないペースだ。由依の小さな指がかなりの高速で動いているのは間違いない。
「晴香、下着の生地が食い込んでいるのが感じられる?」
「えっ…なんで…」
「質問にははっきりと答えて」
 郁未は言い切る。
「うっ…うん」
 晴香は戸惑いつつも、それを肯定した。
「由依、変化があったら全部それを言うのよ」
「へ、変化…ですかぁ…?」
「そう。変化」
「は…はい」
 由依はなんだかよくわからなさそうな顔をしながら、それでも指の速い動きを止めずに言う。
 そのまま、数十秒ほども経ったところで晴香が眉をすこししかめた。
「晴香、どうしたの?」
「あ、あの…」
「さっき、言ったわよね」
「う…ぬ…濡れちゃいそう」
「そう」
 郁未はうなずいた。
「ちょ、ちょっと…下着が…」
 晴香は脚を閉じたり開いたり、せわしなく動かして郁未に訴える。しかし郁未は何も言わなかった。由依も一瞬だけ指の動きをゆるめたが、何かを感じ取ったのか再び高速に指を動かし始める。
「い、いやぁ…由依、脱がしてよ…」
 こしゅこしゅこしゅっ…
「い、いやっ…!」
 晴香の声と同時に、由依が指を動かす音がぐしゅぐしゅという重い音に変わる。
「あ、あの…晴香さんの下着が、濡れてきました」
 由依は正直に言ってしまった。
「ゆ、ゆいっ…!」
「どれくらい?」
「け、けっこう」
「もっと詳しく」
「ゆ…指で押し込んでいる所だけじゃなくて、もっとその周りまで濡れちゃっています」
「や、やめてよ…由依っ…!」
「じゃあ由依、晴香のスカートをまくって」
「や、やだっ!」
 晴香は叫ぶ。しかし由依は指の動きを止めると、スカートの裾の二箇所をつかんでするするとまくり上げていった。晴香の体の下敷きになっている部分の生地はなかなかまくれなかったものの、由依は前半分を中心に思い切り晴香のスカートをめくり上げてしまった。
「いやあああ…」
 晴香自身からは見えない所で、晴香の下着がどうなっているのかが由依と郁未の視線に晒される。淡い紫をした装飾のあまりないショーツは、由依の表現した通りの部分が濃い紫色に変色してしまっていた。
「舐めて、由依」
「え…? どこを」
「そこよ」
 郁未がすっと指さしたのは、由依がついさっきまで指で刺激していた部分だった。
「わ、わかりました」
 由依はスカートを持ち上げたまま、顔だけを思い切り突きだして下着に覆われた晴香の脚の付け根の部分へと唇を押しつける。
「ひっ…」
 晴香が、脚をぎゅっと閉じた。
 ぐしゅるっ…しゅぐっ…
 粘液に染みたショーツのざらざらした生地を、由依は赤い小さな舌でこすり上げるような強さで舐めた。晴香の秘裂の形状に合わせてショーツが食い込み、そのへこみに舌をすっぽりと入れるようにしてぐりぐりと由依の舌が動かされる。
「いやあ…そんなのって…ないっ…」
 晴香は力無く言うと、最初は強く閉じていた脚を少しずつ開いていった。筋肉が弛緩してしまったらしい。さっきの指の動きよりも刺激自体は格段に少ないはずなのに、晴香は明らかに反応を大きくしていた。
「んっ…んぅぅ…」
 由依はさらに量を増やしてきた酸っぱい液体を、生地に染みた中からじゅうじゅうと吸うようにして舐め取る。
「由依。一度ストップ。スカートをもっとまくって」
「…っ…は、はい」
 段々自分自身の目もとろけそうな色になってきていた由依が、はっと顔を上げた。
 そしてスカートをまくっていく。弛緩しきった晴香は、スカート全体がまくり上げられていくのに全く抵抗をしなかった。
「その、すその部分を晴香にくわえさせるの」
 限界までまくり上げ、晴香の鼻の辺りまでスカートが来たとき、郁未が言う。
「は、はぁ…」
 由依はスカートの生地を動かし、晴香の口元に誘導した。
「うう…」
 晴香は抵抗せずにそれを唇ではむっとくわえこむ。同時に、晴香の目がじわっと潤んだ。
「そうしたら、また晴香のを舐めるの。これ以上ないってくらい強く」
「わ、わかりました」
 由依はするするっと体を後ろに戻して、また晴香のショーツの上に口づける。
「っ!!」
 晴香はびくんと背中をそらすように跳ね上げて、そのまま自らのウェービィ・ヘアの上にばさりと体を落とした。そしてはぁはぁという荒い息を、スカートをくわえた唇の端から漏らす。
 ぺろ、ぺろ…
 上目を使うようにして、だらしなく開けた口から小さな舌をテクニカルに動かす由依の表情は、あどけないが故にますますいやらしさを際だたせていた。リボンのつけられた髪が舌の動きに合わせてさわさわと小刻みに震え、由依の内心の煩悩を表しているようにも見える。
「由依も、自分のスカートに手を入れてオナニーしなさい。下の方からじゃなくて、上から、お腹の方から手を入れて。下着の中に手を入れちゃだめよ。晴香とおんなじように、下着の上から指を当ててこするの」
「は…はい、します」
 はふっ、はふっという動物のような吐息を漏らしながら、由依は太股にぴたっと当てていた手の片方を自分の下半身に向けて動かす。
 ごそごそっ、とスカートのウェストの狭い部分にもどかしく手を通して、由依は自らの無毛の秘裂をショーツの上から激しくこすり立て始めた。
「んはぁ…」
 熱っぽい息を吐き出しながら再び晴香の下着に口をつけ、目を閉じて、んむんむと唇と舌を濃厚に使った愛撫を加える。同時に自分の秘部にも、一番好きなように刺激を加える。
「もっ、もふ…ぬれちゃひましたぁ…」
 由依は変化について、自らの体の物も忠実に報告する。
「そう。どこを触っているの?」
「く、くりひゃんにさわりたいけれど、したひのうえからひゃとどかなふて…そのひょっとへまえくらいのところをさわってひまふぅっ…」
「いい子ね」
 郁未は冷静な表情を変えていなかったが、由依の返答に満足したようだった。
「晴香は?」
「だ、だめ…もう…このままじゃ、私…イ、イッちゃう」
 既に晴香も目をぎゅっと閉じ、頬を絨毯に切なそうな動きでこすりつけながら呼吸を荒くしていた。
「由依、イケそう?」
「は、はひ、らいひょうふれす」
 そう言って、由依は腰をぐんと浮かすとそれと分かるほどにスカートの中の指を強く動かし始める。
「うっ…うう…だめ…郁未…私…イクぅっ…」
「ひっ、…ひきまふぅっっ!!」
 二人の声が重なり、由依が唇と指を同時にぎゅぎゅぅっと押し込んだ。
 …ビクッ…ビク、ビクンッ、ビクッ
 由依と晴香の体は、同時に勢い良く脈動し、晴香は由依の体を跳ね上げそうな勢いで背中をぐいぐいと反らした。由依も、突き上げたヒップをビクビクと痙攣させながら鼻先を晴香の秘裂の中に押し込もうとする。
 …がくっ。
 そして、由依は糸が切れたように晴香の下半身の上に倒れ込み、晴香もやがて痙攣を止めた。
「ありがとう…二人とも」
 郁未の声に、由依と晴香は返事をする事ができなかった。郁未以外の女性の体を感じたのは、お互いにとって初めての経験なのだ。レズビアンラブには既に熟練してしまっていたはずの二人だが、なぜか背徳感のようなものを強烈に感じていた。
「私、部屋に戻るけれど…今晩は、部屋に入ってこないでくれる? お願いね」
 椅子から立ち上がった郁未は、もう一度食い入るように折り重なった二人の事を見つめた。
「それじゃあ…おやすみなさい」



10/26
『………』
 沈黙。
「…だ、だめ?」
 郁未が下を向きながらぼそぼそと言う。
「だ、だめっていうか、それは郁未さんの誕生日なんですし、普段からの感謝を込めたいとは思っていますけど」
「そ、そうね」
 晴香と由依が、それぞれに顔を見合わせながら何回もうなずいた。
「郁未さんのびぼーがあるからこそ、郁未さんが一人でやっているお店がうまくいっているんですし」
「そうそう、郁未がいなかったら、私たちはすぐに路頭に迷っちゃうわよね」
「………」
 半分だけ顔を上げた郁未が、晴香と由依の顔を交互に見る。
「こういう風にみんなで暮らせるようになったのも、郁未さんが言ってくださったからですし」
「うん、私と由依が学校行っているのに、郁未ばっかり働かせて、それで郁未の言うことを嫌だなんて言えないわよね」
「…私は自分から学校やめただけだし…」
 郁未はまたぼそぼそ声で言った。
「と、とにかくぅっ、郁未さんの言うことに反対なんてしませんよ」
「そう、そうそう、由依の言うとおり」
 由依と晴香はそう言って、郁未の事を笑顔で見つめて、椅子から一歩も動かなかった。
「…嫌ならいいわよ」
「そ、そんな事っ、一言も言ってないじゃないですか…」
「言ってない、言ってないわよ」
 二人して手の平を左右に振りながら、由依と晴香は否定する。
「…表情と行動見ていると、すっごい嫌だって言っているみたいな気がする…」
「そ、そうじゃなくて…ただ…」
「あ、合図とかなかったからよ」
「そう、そうです、やっぱり急に言われてもなかなか始められませんし」
「…合図したらするの?」
『そ、それは…』
 一瞬会話がハモって、
「し、します」
「する、するから郁未、そんな顔もうしないの」
 二人は慌てて躊躇を打ち消し、郁未の次の言葉を固唾を飲んで見守る。
「…じゃあ。晴香がそこに寝転がって、由依が上に乗って」
 郁未が灰色の絨毯が敷いてある床を指さした。
「え、私…」
「由依が…」
「…うん」
 郁未はテーブルの上に頬杖をついて、黙り込む。
 二人はそのまま郁未のことをうかがっていたが、それ以上の郁未の言葉がない事がわかると、おずおずと椅子を引いて立ち上がった。椅子の脚が絨毯を擦るかすれた音が妙によそよそしく響く。晴香と由依、それぞれの「予想が裏切られた」という思いを暗に示しているようだった。
 そして郁未の真横にあたる位置まで二人は移動すると、晴香がスカートを気にしながら絨毯の上に座り体を伸ばして寝転がる。豊かな波打つ髪が布団のように晴香の体を支える。
「由依は、晴香の膝の辺りに座って」
「は、はい」
 郁未の声に、由依は晴香と同じくスカートを気にしながら、組体操でもしているかのような機械的な動きで晴香の脚の上にまたがる。小柄な由依の体は、晴香の体を組み伏せるような位置にあっても全く威圧的でなかった。
「じゃあ由依、晴香のスカートに手を入れて」
「…はい」
 横目の郁未の命令に、由依は唇を結んでやや緊張した素振りを見せた。そして少しずつ体を倒し、手を晴香のふくらはぎの辺りから段々と滑らせていく。
「………」
 晴香は由依の手の動きを最初見つめていたが、スカートの裾のあたりまで来るとそれとなく顔をそらせてしまった。郁未と逆の方だ。その晴香にも、ついに手をスカートの陰の中に入り込ませた由依にも、郁未はまんべんない視線を送っている。
 由依は手が奥に侵入していくのに合わせて体を前傾させ、それでも足りなくなるとずりずりと体全体を前に動かしていった。やがて、晴香の表情がピクッと動く。
「…由依、そこで、指を動かして」
「このまま…ですか?」
「そう。生地を食い込ませるくらいの感じで」
「ちょ、ちょ…」
 晴香が何か言いたそうに郁未に視線をやる。
「んっ…」
 が、スカートの中からこしゅこしゅという乾いた音が響き始めるとまた郁未とは逆の方に視線を向けてしまった。
「もっと強く、速く」
「はい…」
 由依がさらに体を前にずらし、手を奥深くに突っ込む。こしゅこしゅっ、くしゅっという音はより低くくぐもった音になり、その代わり音と音の間隔はさらに短くなった。郁未が料理の時に手際よくミジン切りをしている時のような、あるいはそれよりも速いかも知れないペースだ。由依の小さな指がかなりの高速で動いているのは間違いない。
「晴香、下着の生地が食い込んでいるのが感じられる?」
「えっ…なんで…」
「質問にははっきりと答えて」
 郁未は言い切る。
「うっ…うん」
 晴香は戸惑いつつも、それを肯定した。
「由依、変化があったら全部それを言うのよ」
「へ、変化…ですかぁ…?」
「そう。変化」
「は…はい」
 由依はなんだかよくわからなさそうな顔をしながら、それでも指の速い動きを止めずに言う。
 そのまま、数十秒ほども経ったところで晴香が眉をすこししかめた。
「晴香、どうしたの?」
「あ、あの…」
「さっき、言ったわよね」
「う…ぬ…濡れちゃいそう」
「そう」
 郁未はうなずいた。
「ちょ、ちょっと…下着が…」
 晴香は脚を閉じたり開いたり、せわしなく動かして郁未に訴える。しかし郁未は何も言わなかった。由依も一瞬だけ指の動きをゆるめたが、何かを感じ取ったのか再び高速に指を動かし始める。
「い、いやぁ…由依、脱がしてよ…」
 こしゅこしゅこしゅっ…
「い、いやっ…!」
 晴香の声と同時に、由依が指を動かす音がぐしゅぐしゅという重い音に変わる。
「あ、あの…晴香さんの下着が、濡れてきました」
 由依は正直に言ってしまった。
「ゆ、ゆいっ…!」
「どれくらい?」
「け、けっこう」
「もっと詳しく」
「ゆ…指で押し込んでいる所だけじゃなくて、もっとその周りまで濡れちゃっています」
「や、やめてよ…由依っ…!」
「じゃあ由依、晴香のスカートをまくって」
「や、やだっ!」
 晴香は叫ぶ。しかし由依は指の動きを止めると、スカートの裾の二箇所をつかんでするするとまくり上げていった。晴香の体の下敷きになっている部分の生地はなかなかまくれなかったものの、由依は前半分を中心に思い切り晴香のスカートをめくり上げてしまった。
「いやあああ…」
 晴香自身からは見えない所で、晴香の下着がどうなっているのかが由依と郁未の視線に晒される。淡い紫をした装飾のあまりないショーツは、由依の表現した通りの部分が濃い紫色に変色してしまっていた。
「舐めて、由依」
「え…? どこを」
「そこよ」
 郁未がすっと指さしたのは、由依がついさっきまで指で刺激していた部分だった。
「わ、わかりました」
 由依はスカートを持ち上げたまま、顔だけを思い切り突きだして下着に覆われた晴香の脚の付け根の部分へと唇を押しつける。
「ひっ…」
 晴香が、脚をぎゅっと閉じた。
 ぐしゅるっ…しゅぐっ…
 粘液に染みたショーツのざらざらした生地を、由依は赤い小さな舌でこすり上げるような強さで舐めた。晴香の秘裂の形状に合わせてショーツが食い込み、そのへこみに舌をすっぽりと入れるようにしてぐりぐりと由依の舌が動かされる。
「いやあ…そんなのって…ないっ…」
 晴香は力無く言うと、最初は強く閉じていた脚を少しずつ開いていった。筋肉が弛緩してしまったらしい。さっきの指の動きよりも刺激自体は格段に少ないはずなのに、晴香は明らかに反応を大きくしていた。
「んっ…んぅぅ…」
 由依はさらに量を増やしてきた酸っぱい液体を、生地に染みた中からじゅうじゅうと吸うようにして舐め取る。
「由依。一度ストップ。スカートをもっとまくって」
「…っ…は、はい」
 段々自分自身の目もとろけそうな色になってきていた由依が、はっと顔を上げた。
 そしてスカートをまくっていく。弛緩しきった晴香は、スカート全体がまくり上げられていくのに全く抵抗をしなかった。
「その、すその部分を晴香にくわえさせるの」
 限界までまくり上げ、晴香の鼻の辺りまでスカートが来たとき、郁未が言う。
「は、はぁ…」
 由依はスカートの生地を動かし、晴香の口元に誘導した。
「うう…」
 晴香は抵抗せずにそれを唇ではむっとくわえこむ。同時に、晴香の目がじわっと潤んだ。
「そうしたら、また晴香のを舐めるの。これ以上ないってくらい強く」
「わ、わかりました」
 由依はするするっと体を後ろに戻して、また晴香のショーツの上に口づける。
「っ!!」
 晴香はびくんと背中をそらすように跳ね上げて、そのまま自らのウェービィ・ヘアの上にばさりと体を落とした。そしてはぁはぁという荒い息を、スカートをくわえた唇の端から漏らす。
 ぺろ、ぺろ…
 上目を使うようにして、だらしなく開けた口から小さな舌をテクニカルに動かす由依の表情は、あどけないが故にますますいやらしさを際だたせていた。リボンのつけられた髪が舌の動きに合わせてさわさわと小刻みに震え、由依の内心の煩悩を表しているようにも見える。
「由依も、自分のスカートに手を入れてオナニーしなさい。下の方からじゃなくて、上から、お腹の方から手を入れて。下着の中に手を入れちゃだめよ。晴香とおんなじように、下着の上から指を当ててこするの」
「は…はい、します」
 はふっ、はふっという動物のような吐息を漏らしながら、由依は太股にぴたっと当てていた手の片方を自分の下半身に向けて動かす。
 ごそごそっ、とスカートのウェストの狭い部分にもどかしく手を通して、由依は自らの無毛の秘裂をショーツの上から激しくこすり立て始めた。
「んはぁ…」
 熱っぽい息を吐き出しながら再び晴香の下着に口をつけ、目を閉じて、んむんむと唇と舌を濃厚に使った愛撫を加える。同時に自分の秘部にも、一番好きなように刺激を加える。
「もっ、もふ…ぬれちゃひましたぁ…」
 由依は変化について、自らの体の物も忠実に報告する。
「そう。どこを触っているの?」
「く、くりひゃんにさわりたいけれど、したひのうえからひゃとどかなふて…そのひょっとへまえくらいのところをさわってひまふぅっ…」
「いい子ね」
 郁未は冷静な表情を変えていなかったが、由依の返答に満足したようだった。
「晴香は?」
「だ、だめ…もう…このままじゃ、私…イ、イッちゃう」
 既に晴香も目をぎゅっと閉じ、頬を絨毯に切なそうな動きでこすりつけながら呼吸を荒くしていた。
「由依、イケそう?」
「は、はひ、らいひょうふれす」
 そう言って、由依は腰をぐんと浮かすとそれと分かるほどにスカートの中の指を強く動かし始める。
「うっ…うう…だめ…郁未…私…イクぅっ…」
「ひっ、…ひきまふぅっっ!!」
 二人の声が重なり、由依が唇と指を同時にぎゅぎゅぅっと押し込んだ。
 …ビクッ…ビク、ビクンッ、ビクッ
 由依と晴香の体は、同時に勢い良く脈動し、晴香は由依の体を跳ね上げそうな勢いで背中をぐいぐいと反らした。由依も、突き上げたヒップをビクビクと痙攣させながら鼻先を晴香の秘裂の中に押し込もうとする。
 …がくっ。
 そして、由依は糸が切れたように晴香の下半身の上に倒れ込み、晴香もやがて痙攣を止めた。
「ありがとう…二人とも」
 郁未の声に、由依と晴香は返事をする事ができなかった。郁未以外の女性の体を感じたのは、お互いにとって初めての経験なのだ。レズビアンラブには既に熟練してしまっていたはずの二人だが、なぜか背徳感のようなものを強烈に感じていた。
「私、部屋に戻るけれど…今晩は、部屋に入ってこないでくれる? お願いね」
 椅子から立ち上がった郁未は、もう一度食い入るように折り重なった二人の事を見つめた。
「それじゃあ…おやすみなさい」



10/23
「………」
(うわぁ…)
 由依は思わず唾を飲み込んでいた。頬が赤くなってしまったのが自分でもわかる。
 その理由は、由依が覗いているものだった。皓々と電気がつけられた部屋のドアの、ほんの少しの隙間。その廊下側。由依はその隙間に片目を当てて、中を興味津々の様子で見ている。隙間はわずかだったが、部屋全体を見渡すのに十分なだけの視界は確保できていた。
 それから聴覚。かしゅかしゅかしゅ…と、何かをこするような音は由依の耳にもしっかりと届いてきている。そして、ぬち、にちゅっという妖しげな音もそれに交じっている。さらに、何かに必死で取り組んでいるような速い呼吸音も聞こえてくる。
(これってやっぱり…)
 由依の頬を、つつっと汗がつたった。
 郁未の体はちょうど由依に背を向けている状態だった。そして、何一つとして身に服を纏ってはいなかった。スレンダーなボディラインと滑らかな黒髪を惜しげもなく蛍光灯の白い光の下に晒している。その足元に、郁未の服が乱暴に脱ぎ捨てられていた。さっき由依が郁未とご飯を食べた時にも着ていた、タンクトップとスカートだ。それからブラジャーとショーツだ。郁未がどうやってそれらを脱いでいったのかが想像できるくらいに生々しい形で床に散らばっていた。
 もちろん、由依は最初見たときに「郁未さん、現在着替え中」という言葉を頭に浮かべた。しかし10秒経ち、20秒経っても郁未が同じ姿勢を保っているのを見れば、着替えにしては不自然過ぎる事は明白である。それに、郁未の手の位置は着替えようとしているにしてはどう考えても変な位置にある。由依に見えているのは背中だけだったから、体の前に回された手がどの辺りに当たっているのか断定することは出来なかった。
(えっと…でも、でも、あれわ)
 由依の脳裏には、一つの想像しか浮かんでこない。
(あっ)
 その時、由依はひとつの記憶に思い当たった。由依は郁未の部屋に一回だけ入った事がある。その時の家具の配置からすると、郁未は現在壁に掛けられた大きな鏡に向かって立っているはずだった。少し目の位置をずらせるようにすれば、見えるかもしれない。
 き、き、きぃっ…
(あっ…)
 由依はこっそりとドアの隙間を大きくしようとしたが、思ったよりも大きなきしみの音がした。由依は息をひそめて身を固くする。
「………」
(よかった…気づいてない)
 胸を撫で下ろし、詰めていた息を小分けに吐き出しながら由依は少しだけ視線を横にずらした。
(あ…い、郁未さん、してるっ)
 鏡の反射に映し出されていたのは、やはり由依の想像したとおりの光景だ。角度の関係で部分的にしか見えなかったが、郁未の手が胸と秘部に当てられてせわしなく動いているのだけは間違いない。
 何より、鏡に映った自像を見つめる視線がおかしかった。血走ったような惚けたような目。由依の経験した事がある、襲いかかってくるような凶悪な欲望の目とも違う。由依には形容できなかったが、何か間違っているような、見てはいけないような目だった。
(郁未…さん)
 由依はどうしたものか迷う。プライバシーの事として見なかった事にするのか、郁未のおかしい様子を気遣って見ているべきなのか、ただの好奇心で見続けていてもいいのか。由依の中では、どの感情が突出しているわけでもない。強いて言えば、何か変な声が聞こえてくる部屋をのぞき込もうとしたのは好奇心のためだろう。
 だが、今の郁未を見ていると、やはりどこか、おかしい…
「…え゛」
(え)
 郁未の手が止まる。
「わっ、わっ、わわわわわわわわわわっ!!? 由依っ!?」
「え、あの、わ、私じゃありませんっ! じゃ、じゃないや、えーとっ、あの…ごめんなさいっ!」
 がんっ。
「い…いたいぃ…」
 由依は慌てて頭を下げて、半開きのドアに思い切り頭をぶつけた。
 その衝撃でドアがふらりと開き、郁未の肢体の全てが由依の視界の中に入ってくる。郁未が胸と秘部に手を当てているのは変わっていなかったが、それは隠しているからであって、由依がいるとわかったのに変な事を続けているわけではない。
「あ、あの、これはね、これはね、これわね、由依」
「は、はいっ…」
 郁未が上げた声に、由依は思わず身を引き締めて次の言葉を待つ。
『………』
『………………』
『………………………』
「あ、あのね、由依、そんな真剣な顔しなくても…」
 由依の大きな瞳から放たれる強い視線に、郁未は困惑してしまったようだった。
「は…はい」
 いつの間にか普段通りの表情と声に戻っている郁未に、由依も毒気が抜かれたような顔になる。
「これは…」
「はい」
「これはぁ…」
「はい」
「これはっ……」
 郁未は適当な言葉で誤魔化そうとしたが、そんな適当な言葉があるわけがない。自分の行為を指示語対象としてしまった結果、そこから全く抜け出せなくなる。
「…はい」
 沈黙してしまった郁未に、5秒ほど遅れて由依がまた相槌を打った。
『……………』
 場の空気がどんどん気まずくなってくる。何と言っても、由依の方はフォローのしようがない所が問題だった。由依は悪夢的な性体験を経た事はあっても、気持ちいい性体験など知らないのだ。そんな由依に郁未の行為を感情のレベルで理解しろと言うのは無理な注文だ。
 かと言って、由依は論理的なフォローをきちんとこなせるような人間ではない。だが郁未自身が論理的なフォローをするほど間抜けな事もないだろう。かくして、どうしようもない沈黙がひたすらに二人の間を覆っていった。
「…由依がいけないのよっ!!」
 と、そんな論理を自分の中で展開させた結果、思わず郁未は叫んでいた。
「は、はいっ?」
「…いや…なんでもないわ…」
「え、え?」
 由依はぱちくりと目をしばたたかせる。
「あの、私が何か…あ、覗いたことは謝りますけどぉっ…」
「なんでもないわよ…ほんっっとうになんでもないから、気にしないで」
「は、はぁ」
 うなずきながら、由依はとりあえず郁未が困っている事だけは理解した。
「え、えっと、郁未さん」
「…なに?」
「やっぱり、気持ちいいんですか? そういうのって」
「……………」
「あ、なんだか…郁未さんが、すごく気持ちよさそうな顔していたから…思ったんですけど」
 由依はぎごちなく笑いながら、あまり思ってもいない事を言った。
「…そりゃあ、気持ち悪ければしないわよ」
「あ、あはっ、そうですよね」
 意外とストレートに返してくる郁未に、由依はまた小さな汗を頬に伝わせる。ますます会話が収束出来なくなったようだった。
「由依はしないの?」
「そ、そんな、私はしませんよぉ」
 3つめの汗が伝った。由依はぱたぱたと小さな手を振りながら後ろに一歩下がる。
「ふぅん…」
 郁未が一歩前に出てくる。
「み、見えちゃってますよっ…」
 同時に郁未は手で体を隠すことをやめていた。由依が慌て気味の声で指摘するが、郁未は特に気にする素振りも見せない。それどころか、その由依の動揺を引き金にしたかのように廊下の由依に向かってすたすたと歩み寄ってくる。
「あ、あの、郁未さん…もしもーし?」
 由依は言いながらさらに後ろに下がろうとしたが、そこはもう壁だった。
「………」
 郁未は無言でどんどん由依の方に近づいてくる。態度が急変した郁未は、表情も段々変わりつつあるようだった。由依がいる事に気づいた時に日常の顔に戻ったのと、ちょうど逆の変化が起こっている。
 由依はどこでそんな変化をもたらしてしまったのか理解できなかった。どこかにターニングポイントがあったはずだったのだが、自分ではよくわからない。だが、由依の何かしらの行動や言葉が郁未の何かに反応してしまったのは確かなようだ。ついさっきまでは可笑しいほどに動揺していた郁未が、今は座った目をして由依の方に近づいてきているのだから。
「い、郁未さん、気を確かに」
 身の危険すら由依は感じ始めていたが、逃げようがない。由依はこの天沢家に3日前から居候しているのだから。他にどこにも行きようがない。しかし、そんな境遇に思いを馳せるヒマもなく郁未は刻一刻と由依に近づきつつあった。
「…由依」
「は、はいっ、なんですかぁっ?」
 由依はできるだけ自然に、かつ少し甘えるようなニュアンスを含ませて返事する。普段からそういうしゃべり方を貫いている由依だからこそ出来るような芸当だ。
「こっちに、いらっしゃい」
「え…あの、ちょっと」
 誤魔化し笑いを浮かべたまま、由依はまた頬に汗の珠を浮かべた。
「いいから」
 郁未の手が、由依の手をつかんで軽くひっぱる。
「うぅ…わかりました」
 びくびくしながら、由依はその手に従って郁未の部屋の中に入っていく。
 向こうに見える鏡には、見るからに動揺している由依自身の姿が映っていた。郁未の顔は、さっき由依がのぞいていたときに鏡に映っていた顔に似てきたような気がする。
 かちゃん。
「あ」
 郁未は、家には二人しか住んでいないというのにわざわざ部屋のドアをぴったりと閉めた。由依はますます不安を募らせる。
「由依…」
「は、はい」
 郁未の方が裸で由依がきちんと服を着ている状態なのに、まるで逆のようだ。
「由依、やっぱりこういうのを見ると何となく嫌だって思っちゃうんでしょう?」
「べ、別に郁未さんがそういう事をするのは自由だと思いますし、郁未さんの事を嫌いになったりしませんよ?」
「そうじゃないわ。つまり、自分でこういう事をするなんて、夢にも思わないんじゃない?」
「そ、それは、あんまり思いませんけど」
「由依は、こういう事にいい想い出を一つも持っていないから、そうなっちゃうんじゃないかと思うの」
「は…はぁ、そうなんですかねぇ…」
 自慰をするのが普通の女の子なのか、どうなのか、自分のトラウマがそれに影響しているのか、どうなのか、由依は判断しかねた。ただ、何とはなしに身の危険が高まったような気がした。
「辛いのはわかるけれど、逃げてばかりじゃいつまで経ってもそれを克服することはできないわ」
「う…は、はい」
 まがりなりにも正論だ。由依は上手い逃げの理由を引っぱり出すことができなかった。テレビでしょっちゅう流れている、レイプのトラウマについての番組を由依は密かに呪った。
「ねぇ、由依…服を脱いで」
「い、郁未さん」
「こういう事がどういう物なのか、歪んだ形ではなく知ることが出来れば由依も辛い記憶に立ち向かいやすくなるだろうし、男の子にも近づきやすくなるわ。そうすれば、辛い記憶をきちんと忘れ去る事もできるはずよ」
「は、はい」
 由依は確かに異性と話すのが苦手だが、それはどちらかというと女子校育ちに起因していると由依自身は思っている。レイプがそれに拍車を掛けたのではないかと言われれば、そうかもしれない。そうかもしれないが…
「私は、真剣よ」
「…ええ」
 とりあえず、たぶん、郁未の今の言葉は事実だ。
 由依は内心涙しつつも、郁未の家に何から何まで世話になっているという事実の前では、郁未に無理矢理逆らおうとも思えなかった。
 …しゅる。
 シャツを脱いで、スカートを脱いで、ブラジャーを取って、ショーツを取る…
 由依は、ひとつ脱ぐ度にそれをきちんと床に畳んだ。郁未の脱いだ服は、相変わらず向こうに乱れた形で散らばっている。それだけでも、二人の立場の差が出てきているように見えた。
「ぬ、脱ぎました」
 華奢な裸体を手で隠しながら、由依は報告する。郁未は舐めるように由依の体を頭から爪先まで見ると、まずは由依の小ぶりな胸に手を伸ばした。
「リラックスして」
「はい…」
 由依の手をどかして、郁未の手が乳房に触れる。郁未はそこをさわさわと感触を確かめるように手の平で転がしてから、口を先端の部分につけた。
 ちゅっ…ちゅる。
 小さな突起を唇で包み込んで、飴玉のように何度も何度も舐めていく。さらに舌先でねとねととした愛撫を加える。片方を舐めている間はもう片方の手が吸い付くように逆の乳房を揉んでいた。交互に繰り返していく間に、由依の小さな胸はすっかり唾液に濡れてしまう。わずかながら、小粒の乳頭が勃起して粟立ち始める。
「ん…」
 しばらくすると、郁未は口を離す。そして、由依の事を少し責めるような目で見上げた。どうやら、由依があまりに冷静なのが気に入らないらしい。かと言って由依はどう反応する事も出来ず、郁未から目を少しだけそらすしかなかった。
 ふぅーっ…
 郁未がやれやれとでも言いたそうなため息を吐き出す。そして、由依の体に全身を絡みつかせるようにして体の位置を少しずつ下に下げていった。由依はお腹や脇腹を郁未の髪にくすぐられ、背中を回された腕で濃厚に愛撫され、郁未の熱くなり始めた吐息をいたる所に吹きかけられ、困惑した表情を浮かべる。どんどん緊張が高まってくる。
「あ…郁未さん…」
 最後に郁未はすとんと膝を床に落として、自分の顔を一気に由依の性器に押しつけるところまで来た。ヒップを思い切り抱えられ、脚に郁未の裸身をぴったりと押しつけられ、由依は一段と不安を高まらせる。
 郁未は鼻を由依の秘裂に何度かこすりつけるようにしてから、
 ……ぺろ…
 やや勿体ぶった様子で、舌を差し込んできた。
 なまあたたかな粘体の感触が変な所に生まれる。由依は反射的に腰を動かしそうになったが、しっかりと郁未が抱え込んでいるためにほとんど動かすことは出来なかった。
 べろんっ…んちゅぅぅっ…
 秘裂の底を思い切り舐め上げてから、唇で強力に吸引される。真空のできる音と、それが解放される肉体的な音。
 べろ…ちゅううううぅぅっ…
 郁未は、しばらくの間それを繰り返した。由依の、あまり起伏のない媚肉が郁未の唾液に濡れていく。由依はそれをただじっと見ていた。どう反応すればいいのかわからない。とりあえず、今のままでは郁未の唇が変な所を吸っているというだけでしかない。
 固い物が膣孔の近くに当てられたりすれば由依も恐怖を感じるのかも知れないが、柔らかくてあたたかな物が当てられているというだけでは特に恐怖も不快感も感じなかった。恥ずかしいという事と、
(ど、どうやったら郁未さん満足してくれるんだろう…)
 その二点を由依は一生懸命考えていた。しかし名案は浮かばない。二回も男の性器を受け入れさせられたにも拘わらず、全く優しく扱ってもらえなかった由依の性感は完全に未開発なのだ。知らないものを感じようとするわけにもいかない。だが、郁未は、やはり性器を執拗に舐め続けていた。
 由依が郁未に、このまましていても無駄なような気がするという事を告げようとした瞬間、
 べろん…ちゅうっ
 郁未は突然動きを止めた。
 諦めたのかと思った瞬間、由依を妙な感覚が襲う。
 ちろちろちろ…ちろちろっ
 郁未の舌は、今までと違って蛇のように小刻みに一箇所をくすぐり始めていた。刺激自体はさっきに比べて小さい。
 ちろちろ…ちゅっ。
(な…なんだろう、これ)
 軽い吸い上げを食った瞬間、由依はぴりっと不思議な感覚が背筋を駆け昇るのを感じた。
 ちろちろちろ…
 郁未は、そこばかりをひたすらに舐め続けている。由依はなぜそこばかりを郁未が舐めるのかわからなかったが、次第に郁未の舌が自分の性器の一点に引っかかるような感触があるのに気づき始めた。どうやら、そこだけポツンと点のような粒があるらしいという事を由依は理解する。
 ちろっ、ちろっ、ちゅう…ちゅう
(気持ちいい…)
 由依も、それが快感だと認識することが出来た。由依にとっては、生まれて初めての性感の体験だ。由依はそれを恥ずかしいと思ったり嬉しいと思ったりするより、不思議な気分になった。体の一部を刺激されるだけで気持ちよくなれるというのは、言葉で聞いて知っていても、由依にとってはあまり本当らしく感じられなかったのだ。
 知らず知らずの内に、由依は口を半開きにして、少し呼吸を荒くしていた。乱暴な陵辱しか経験したことのない膣孔も、半分開いたようになって透明な液体をわずかにとろかせていた。
(あ…)
 十分ばかりもそうされていると、不意に由依の意識がくらっと揺らめく。
 …ピク、ピク
 由依は、郁未の口の当たっている辺りをかすかに痙攣させた。微細ながらも、それは由依の体験した生まれて初めてのエクスタシーだ。
 …ぺろ。
 郁未は、外に出てきていた透明な液体をひと舐めで全てすくい取ると、由依に密着していた体を離す。
「…どうだった?」
「なんだか…不思議な気分でした」
「気持ちよかったでしょ?」
「そうかもしれません」
「また今度してあげるわよ。今度はもっとたくさんね」
「は、はぁ…ありがとうございます」
 郁未のずっと由依の性器に押しつけていて憔悴したように見える顔を見ていると、由依は郁未の意識がどのような所にあるのかよくわからなくなってしまった。
「それまで我慢できなかったら、ひとりでするのよ」
「し、しませんよ、そんなの」
「ふふ…そう」
 妙な笑い。由依は少しだけ口を尖らせてから、そそくさと服を身につけ始めた。



8/29
 コツ…!
「抱きたければ勝手に抱けばいい」
 目の前で鋭く響きわたった靴音にも反応せず、友里は言い放った。
「あれを舐めろと言われれば舐めるし、目の前で自慰をして見せろと言われれば見せる」
 冷ややかに続ける。目の前の男に向けられた視線も、それと同じくらいに冷たい。
「それが不可視の力を修得するために必要なことなら、私は何だってする」
 そして、友里は自らの着衣を無造作に脱ぎ払い始めた。自分の肌をさらけ出しているという事への意識など皆無に見える。ただ、行為への準備をしただけ。
 友里が男達の前で何度となく言ってきた科白と同じように、毎回毎回変わらない乾燥した行為。仮に目の前の男の目がいつもより下卑ていたとしても、そんなものは友里にとって誤差に他ならなかった。
「…そうか」
 男の口元が、にやりと歪む。
 それは、露わになった友里の肢体を見ての反応ではない。何かしらの期待か予測を持ってのものと見て間違いないはずだった。
 と言っても、そんな表情を見ることは友里にとって日常茶飯事だ。その結果は鞭による打擲(ちょうちゃく)だったり、浣腸による排泄だったりした。しかしそれすらも友里は無感動に受け止めてきたのだ。盲目的な信念によって。
「するなら早くすればいい」
 きぃ…
 友里が不機嫌そうに言った瞬間、入り口の扉がきしんだ音を立てた。
「こっちに来い」
 男が扉に向かって声をかける。
「………」
 面倒くさそうに、友里は新たな来客に目をやった。相手が二人になろうと三人になろうと、知ったことではないのだ。
「あ、あのっ…」
「…!!」
 だが、扉の隙間から顔を出している顔を見て、友里に動揺が走った。
「…早くこっちに来い。早くだ」
「は、はい…」
 きぃっ。
 男ではなく、少女。
 ばたんっ。
 重い扉が閉まる。そして少女がおずおずと全身を現した。小柄なショートカットで、友里よりも年下のようだ。
 少女は両手を身体の前で揃えながら、恐る恐るの足取りで男の方に向かっていく。
「B‐73」
「え、え…は、はいっ」
 少女は自分の手の甲を見てから、慌てて返事をした。
「そこで、止まれ」
「わ…わかりました」
 ちょうど男と友里の中間地点で少女は立ち止まる。そして、きょろきょろと交互に二人へ目をやった。
「…どうした、知り合いか?」
「く…」
 友里は歯がみした。その友里に、何か言いたそうな様子で少女が顔を向ける。どこか申し訳なさそうな、恥ずかしそうな。同性の裸を見せられている事が原因のひとつではあるだろうが、それだけではないようだ。
「まぁ、そんな事はどうでもいいな…」
「あ、あのっ…お姉ちゃんと話をさせてくれるって言いましたよね…」
「そんな事は言っていない。人の話はよく聞くんだな。会わせてやると言っただけだ」
「そんな…」
 少女がきゅっと眉をしかめて苦しそうな顔をする。
「ところで今こいつが言ってたが。姉妹か?」
「…知らない」
 友里は床を見つめながら吐き捨てた。
「お姉ちゃん…」
 もちろん、眼前の少女が由依である事は扉の隙間から顔が見えた時から気づいている。その由依が、悲しそうだが責めてはいない、今のような声を出すだろうことも分かっていた。それでも友里は知らないと言ったのだ。
「そんな子は知らない。他人だ。部屋の外に出してやってほしい」
 由依を前にしても、友里は事務的に話し続けた。その声のトーンの低さに由依は不安を覚えているようだったが、仕方がない。
「なんで外に出す必要があるんだ?」
「私とは関係ない人間だから」
「バカか。ここは精錬の間だぞ。Bー73も、ここがどういう所か知ってるよなぁ?」
「は…は、はいぃっ…」
 由依がピクンと震えて、友里の方に一歩後ずさりする。
「じゃあ、お前はどうなると思う?」
「わ、わかりませんよぉ…」
「だそうだ。お前は?」
「…わからない」
「想像力のない奴らだな。じゃあ言う。お前がB−73を脱がして絡め。姉妹じゃないなら抵抗もないだろ?」
「…っ!」
「えっ…ええぇっ!?」
 友里と由依は二様の動揺の仕方を見せた。友里はぐっと男をにらみ、由依は男と友里の顔を見比べて混乱している。
「…なんだ?命令を聞かないのか?」
「う…」
 友里はぎりっと歯を噛みしめた。
 目の前に、おののく妹の顔と、食堂で謝られた時の表情が順番にフラッシュしていく。ここまでの動揺を感じるのは、友里にとってそうそうない事だった。
「……わかった」
「お、お姉ちゃんっ!?」
 だが友里はそう言った。悲鳴にも似た声が上がる。
「私は、不可視の力を手に入れるっ…」
 友里は目を閉じて、言い聞かせるようにつぶやいた。そしてうっすらと目を開いて、由依に向かって歩き始める。
「そうだ。お前は選ばれた人間なんだからな…」
 男は満足そうに言い、腕組みをして二人を見つめた。
「お、お姉ちゃ…うぷっ」
 由依が何か言おうとした時には、もう友里の口が由依の唇をふさいでいた。
「んっ…んふっ…んんんーっ」
 いやいやと顔を振ろうとするが、友里はしっかりと由依の頬を支えて逃そうとしない。その唇の隙間から入り込んだ友里の舌は、由依の舌にねっとりと絡みついてなぶっていた。
「ふ…ふうっ」 
 由依は手をぱたぱた振って暴れていたが、次第に抵抗が小さくなってくる。最後にはくたりと手を垂らして、姉のキスに身を委ねてしまっていた。
「…ぷはぁっ…はぁっ…はぁっ、はぁっ…」
 やっと解放されると、由依は荒く息をつきながら肩を落とす。顔を真っ赤にして力無く床を見ている様子は、由依の精神的ダメージを表しているように見えた。
 友里は口元の唾液をぬぐいながら、遠い物を見つめるような目で由依の事を見る。
「キスだけで終わりってこたないだろ?」
 しばし二人はそうしていたが、男の促(うなが)しに友里が動いた。
「い…いやぁ…」
 由依は顔を少しだけ上げて言ったが、抵抗するだけの気力はないようだ。ただ立ちつくしているだけである。
 友里は床に脚をつくと、自分の服と同じように由依のスカートを機械的にずり下げた。すぐに由依の白いショーツが見え始め、膝を過ぎたところでスカートはぱさりと床にすり落ちてしまう。
「!」
 ショーツを脱がされる時だけはさすがに由依も手を伸ばして友里の手を押さえつけようとしたが、友里は何も乗っていないかのように作業を進めていった。すぐに由依の恥部は露わになり、それと同時に由依の手からは力が抜けてしまう。
「ううっ…」
 由依は目を固く閉じて、顔を少し上げた。目の端からこぼれ落ちそうな涙を必死にこらえる。
 しかし友里はこれまでと同じように、意思を感じさせない動作で妹の性器に口づけていった。
 ちゅぱっ。
「んっ……」
 口が触れた瞬間は、さすがに由依も声を出してしまった。由依は両手を後ろに組んで、無反応でいようと懸命になる。
 ちゅぱちゅぱ。ちゅぱっ。
 施設で暮らす中、決して清潔に出来ているとは言い難い性器を友里は嫌がりもせずに舐めていった。ぴったりと閉じていた由依の幼い割れ目を開いて、中にある唇状の部分を本物の唇で幾度もしごく。
 何十回もそうした後で、友里はさらに舌を奥深くまで差し込んだ。そして、見過ごしてしまいそうなほど小さい秘核を舌の先で見つけだすと、ころころと軽やかに転がし始める。
「ん…ン…!」
 由依の息が、また荒くなってくる。他の部分と同様に未発達だった由依の性感でも、巧みな舌の動きで秘核を責められては快感を見出さざるを得ないようだった。
 くりっくりっ…ちゅぱっ。
 幾度となく男の精を吐き出させてきた友里の舌戯である。友里は出来るだけ何も考えないように努めている様子だったが、そのために無意識下にインプットされている行動様式が直接出てきてしまっているのだ。由依は容赦ない姉の絶妙な舌の攻撃に、未体験の悦びを感じてしまう。同性の嫌悪感もほとんどなかった。由依の深層にある、ペニスで犯される事への恐怖が作用しているのかもしれない。
 とろん…
「あぅ…」
 由依が恥ずかしそうな声を出した。
 友里はすぐに攻撃の対象を秘核から由依の濡れた部分に変更する。
 ちゅるっ…じゅるっ…
「あ…あはぁっ」
 淫乱な液を吸い立てられる感覚が、背徳的な刺激を由依にもたらした。そうなればすぐにまた透明な液体が生まれ、由依の秘部を濡らす。それはまた友里に舐め取られていく。
 くりゅくりゅっ。
 友里は同時に指で秘核も責めた。唾液に濡れた部分を高速でバイブレーションされると、由依の身体をずんっと何かがせり上がってくる。
「…んあああっ!?」
 手を後ろに組んだまま、由依は激しく背中を反らせて絶叫した。友里は指を濡れそぼったヴァギナに突っ込み、カギ状に曲げてぐりぐりと刺激する。もちろん、秘核をいじる手も止めていない。
 小さなブラジャーを可愛く勃起した乳首が突き上げ、最後のトドメとなる。「あうっ!ふあああんっ!」
 そして、由依は生まれて始めてのエクスタシーを姉の手によって得たのである。
 友里は何かが壊れたような顔で、呆然と床を見ていた。


8/21
 …ずぶ!
「ひっ…」
 由依の身体がのけぞる。
「こ…コイツは狭いっ!」
「い、痛いですっ!抜いてくださいぃっ…!」
 泣きじゃくる。それもそのはず、由依の性器は挿入によって無理矢理に押し広げられているのだ。気遣いも配慮もなく、濡れていない中にいきなりぶち込んだ。処女ではないとはいえ、まだ処女の状態とほとんど変わっていない由依にとっては破瓜の激痛の再現に他ならない。
「だが、そのぶん締め付けもきついっ…」
 ずぶっ…!ずぶぅっ…!
「いっ、いやぁっ…いたっ…いたいっ!」
「も、もう少し手加減してあげなさいよっ!」
 独りよがりな抽送と由依の苦悶の声に、思わず郁未は口を出す。
「ふん…お前もまだ立場がわかってない…Aクラスのぬるま湯待遇に慣れきってやがるな?」
「ぬるま…」
 下のクラスに比べればマシと言っても、そこまで言われるほどの楽をしているわけではない。郁未は一瞬そちらの怒りに意識を奪われそうになるが、涙をぼろぼろ流している由依の顔がそれを押しとどめた。
「やりようってもんが…あるでしょっ」
「いいか?お前達は宛われた棟と別の棟にいたんだぞ?本来なら、その場で撃たれていても文句は言えないところだ」
「っ………」
 郁未はぐっと拳を握る。
「これは、特別のお目こぼしで助けてやろうっていう俺の慈悲なんだぜ?俺が血も涙もない悪党みたいに言われたら困る。な? そうだよなぁっ?」
 ずぶずぶっ!
 由依の顔を見ながら高槻はそう言って、一際強く由依の奥底を衝いた。
「ぎっ…ううっ…う…痛い…」
「ゆ、由依はまだ慣れていないんだからっ…少しは…」
 郁未はよっぽど怒りをぶちまけてしまおうかと思ったが、今はそれどころではない。由依の代わりに自分が犯される危険性も感じたが、そのおぞましい状況も仕方ないと思えた。由依達はこれまでこういう陵辱に何度も耐えてきたのだし、自分は…
「じゃあ、お前が何とかしてやれよ」
「う…」
 想像通りの言葉が返ってきた。
 郁未はぐっと奥歯を噛みしめながら、自分の服のボタンに手を伸ばす。
「馬鹿。そうじゃない。俺はこいつを犯すと決めたんだ。今更変えられるか。それに、お前にはまだ色々やってもらわなくちゃならないこともあるからな」
「色々…?」
「っひくっ…えぐぅっ…」
 動きを止めた高槻。由依の嗚咽(おえつ)が、小さく聞こえてくる。
「それは秘密だ。それより、お前が何とかしないと、ほらほらほら」
「あっ!ああっ…!あぐぅっ!」
 高槻が馬鹿にしたようなひょいひょいという腰の動きを見せる。それだけでも、膣壁が残酷にこすられて由依は激痛を感じていた。
「なっ…何をしろと言うのっ…」
「鈍い奴だな。こいつが痛くて可哀想だって言うんなら、お前が気持ちよくしてやれって言ってるんだ」
「…!?」
「………」
 由依は放心した、信じられないという瞳で高槻の事を呆然と見ていた。郁未は硬直し、また奥歯をぎゅっと噛みしめる。
「…わかったわ」
「ほー、素直だな。こいつに気でもあったのか?」
 郁未は何も言わず、結合している二人の横に回って腰を落とした。
「い、いくみさんっ…?」
 由依は混乱しているようだった。無理もない。郁未も混乱している事には変わりなかったが、ここで躊躇すればまた由依が苦しむことになるのだ。それよりは、自分の出来ることを少しでもした方が救いになる。
 ちゅぱ…
 郁未は自分の手の指を、よく唾液で濡らしていった。そして、その指を結合部分の近くに添える。
「そうだよな。そこだなっ…」
「…!」
 郁未が触れた瞬間、由依がぴくんと震えた。
 唾液の滑りにまかせて、軽いタッチでそこを何度かこする。
「え……え…?」
 由依が戸惑いの声を上げる。郁未が性器に触っているという事もその原因のひとつだったろう。だが最大の原因は、自分の身体の中に未知の感覚が沸き上がっていることにあった。これまで痛みだけに支配されていただけに、その新しい感覚は極めて大きな存在感を以て由依に感じられた。
「うまいっ…オナニーの要領だな…女同士だってのに、スムーズにしてやがるっ…」
 郁未は無心に指を動かし続けた。それでも、緩急をつけたり探るような動きを加えたりのバリエーションが自然に出てきてしまう。もちろん、基本は優しい動きなので由依に苦痛を与えてしまうこともない。
「はぁ…はぁ…」
 無意識の内に、郁未の息は荒くなり始めていた。いつの間にか行為に熱中してしまっていたのだ。郁未の指先は既に小さいながらも勃起のしこりを捉えていて、そこをなぶるようにリズミカルに刺激している。勢いも、最初に比べれば格段に増していたが由依は苦痛を感じている様子は無かった。
 今の由依の顔には…数々の?が浮かんでいる。身に起こっている変化を理解できていないのだ。
 しかし、そんな由依の姿を見ているともっと反応を引き出してみたいという願望が出てくる。特に深い考えはない、ただ無反応だから反応させてみたいというシンプルきわまりない感情だ。郁未が我に返ればそんな不条理な行動は打ち消されたのだろうが、郁未はもはやこの愛撫に集中しきってしまって、他のことに対する意識がまるで薄れてしまっていた。天才タイプの人間にありがちな事ではあるが、由依の方はたまったものではない。
「…んんんっ…?」
「濡れた…こんなガキが、見事に濡れやがった」
 高槻は感動の声を上げる。
 ちゅくちゅく。
「え…え…え…!?」
 長らく静止していた高槻が、腰を軽く前後に振った。そこで生まれた水音と、苦痛の少なさに由依は驚かずにはいられなかった。起こっている事態が、全然わからなかったのだ。
「まだ…まだあふれてくるっ…!」
 ちゅくっ、ちゅくっ…ぐちゅっ。
「な、なんでっ…こんなの…郁未さん?ど、どうなっているんですかぁっ?」
「感じているんだっ…今お前は目一杯セックスの快感を感じているんだっ…!」
「ち、違います!そんなことありませんっ!」
 由依はいやいやと顔を振る。
「こんなに濡れるのは淫乱だけだっ…そうかっ、お前は見かけによらず淫乱だったのかっ…」
「い、いんら…?」
「スケベだっ!セックスのことばかり考えている、性欲のカタマリだった…!中学生みたいな顔して…恥ずかしいと思わないのかっ!?」
「う、嘘ですっ…」
「このぐちゅぐちゅした音が聞こえないのかっ!?お前のあそこが嬉しがって出している、いやらしい涎(よだれ)の音だっ!こうだっ!こうだっ!」
 ぐちゅっ! ぐちゅぷっ!
「い、いやぁ…」
「ぬめぬめ締め付けてくる…俺のこれがそんなにいいかっ!?クリトリスをいじられれば、レイプされていても感じるのかっ!?いいかっ!?お前は今、身も知りもしない男に犯されているんだぞっ!?そしてこのままなら、中に精液を出されてしまうんだぞっ!?」
「ひ…やめてくださいぃっ…」
「中で出して欲しくなかったら言えっ!私は犯されて感じている変態ですっ!私の中に高槻様の精液をたっぷり出してください、となっ!!」
「そ、そんなのっ…」
「時間がないぞっ!お前が締め付けるせいで、俺はもう限界だっ!」
「で、でもっ…」
 由依は言葉に詰まる。言っても、その後でどういう展開になるのかは明白だ。しかし、言わなければ…
「馬鹿だっ!お前はどうしようもない馬鹿だっ!」
 どくんっ!
「ああっ!」
 どろどろした液体が放出された感覚。由依は絶望を浮かべた。
 …きゅっ。
「うぁッ!?」
 どくんっ!
 だが、その瞬間、しばらくの間クリトリスの表面を撫でていただけの郁未が強くクリトリスをつまむ。
 どくんっ、どくんっ!
 きゅっ。きゅぅっ。
「ひ、あ…ああっ…あっ」
 身体の奥に叩きつけられる感覚と、絞り上げられるような快感。
 きゅっ。
 もう一度つままれた所で、由依はぐうっと身を縮めた。そして、ピクピクと身体をひくつかせてからぐったりとなる。
「コイツ…イキやがった…」
 高槻は誰かに言い聞かせるように言う。
「そして、こいつはイカせやがった…女ってやつぁ…これだ」
「………」
 郁未は頬をぽうっと火照らせて、未だわずかにひくつきを見せている由依の身体に目を落としていた。もうすぐ理性が戻ってくるだろう。そうすれば、今自分のした事を認識せざるをえない。
「俺は…もう…行くっ…」
 ごぷっ…
 ペニスが引き抜かれると、大量の精液と愛液が混ざり合った液体が流れ出た。
 由依…由依…由依…由依…
 郁未の思考を、単一の感情が満たしつつあった。危険な徴候だ。


7/29
「は、はなしてくださいっ、今急いでるんですっ」
「こんなところで、何急ぐって言うんだよ」
「あ、あの…と、友達に会いに行くんです」
「バカか、お前は」
 自分でもバカだと思った。でも、とっさに口から出てきたのはそういう言葉だったのだ。
「何が友達だよ。これだから新入りで分かってない奴は…」
「で、でも、本当なんです」
「どこでだよ」
「あっちの方の部屋にいる子です…」
「あっちに部屋なんかないじゃねーか」
「あ、あれ…」
 由依が指していたのは、地下通路に向かう物置のある部屋の方だった。
「あ、あっちだったかな?」
「バカ。どうせ嘘ついてんだろ」
「ち、違いますっ、本当なんですっ…」
 おろおろとして、上目遣いに相手を見つめながら由依は言う。だが、そのボケた様子とは裏腹に、内心は恐怖に染まっていた。地下通路の存在がバレたらおしまいである。地下通路で待っているはずの郁未が捕まってもおかしくない。
「お前達は素直に修行してりゃいいんだ。大方修行したくなくて逃げようとしたんだろ。精錬の間に行くぞ」
「え、え」
 胸を撫で下ろしつつも、状況は決して良くなったとは言えない。
 その由依の手を、男は強引に引っ張っていた。
「きゃ…!」

「ゆ、許してくださいっ…」
「バカ。お前達は修行のためにここにいるんだろ。修行の相手をしてもらえる事に感謝しろ」
「う、うう…」
 服を脱ぎ去ってしまった身体を隠しながら由依は震える。それが、再びの陵辱に対する恐怖であるのは間違いない。
 だが、それ以上に地下通路で気を揉んでいるはずの郁未に申し訳なかった。途中でトラブルがある事も予想はできたし、しばらくすれば諦めてA棟に戻っていくのだろうが、心配しているだろう事は間違いない。
「よし」
 かちゃっ。
 男がズボンを下ろす。そして、トランクスも下ろす。由依の前に、いきり立つ肉棒の姿が現れる。
「ひ…」
 由依が恐れの色を強くした。それだけで、ペニスの勢いが増したように見える。
「上に乗れ」
「えっ?」
「わかんないのかよ。俺が寝るから、お前がのっかって腰を振れ」
 そう言うと、男は床に身を横たえていった。
「そ、そんな…できません」
「つべこべ言うな」
「で、でも、まだ私こんな事するの2回目ですからぁっ…」
「ほぅ」
 それがかえって男の笑みを深くしたのは当然である。
「じゃあ、これ使えよ」
「………なんですか、これ」
 男が胸ポケットから出した短い円筒形の物体に、由依は不思議そうな顔をする。良く見ると、フタの付いた何かの容器のようだった。
「これをアソコにたっぷり塗れば滑るだろ」
「えぇっ…」
 由依は手に押しつけられた容器のフタを開けてみる。中には白い色をした軟膏が入っていた。
「ひ、ひりひりしませんか?」
「しねぇよ。さっさと塗れ」
「は、はい…」
 由依はその軟膏を人差し指で大きくすくうと、恐る恐るに秘裂の中へ入れていった。もちろんそうすれば手で前を隠しているわけにはいかない。逆の手で容器を持っているのだから、胸も秘部も丸見えだった。
 粘膜に触れた軟膏は確かに刺激性ではないようだ。べとべとした感覚だけがある。
「おい、どこに塗ってんだよ。中に塗っとかなきゃ、変わんないだろ。それとも、無理矢理されて痛い思いしたいか?」
「ちっ…ちがいますっ」
 由依は指をヴァギナの中に挿入していく。まだまだ狭いその部分は、由依の指でもかなりのきつさを感じた。
 しかし、由依は黙々と軟膏を中に塗りたてていく作業を繰り返す。三回も行うと、由依の秘部はべとべとになってしまった。
「で、できました…」
「よし。上出来だ」
 毛の薄い由依の秘部がべっとりと濡れて見える。それは、かなりの扇情的な光景のはずだった。
「じゃあ入れろ」
「うっ…」
 由依はビクビクしながら男の身体をまたぎ、腰を落としていく。それは、男の目に由依の秘裂の中を晒していく事に他ならなかった。
「ピンクだな。最近の娘はすぐやりたがるって言うが…外見も中身もガキか」
「ガ、ガキじゃないですぅっ…」
 しかし、恥ずかしい部分を思い切り広げた体勢では抗議も力を失う。
「………」
 由依は腹の方を向いている男のペニスをつかんで、上を向かせた。その直上に自分の身体を持ってきて、徐々に腰を落としていく。
「み、見ないでくださいっ…」
「口答えすんな。さっさとやれ」
「は、恥ずかしいんですっ…」
 しかし、由依のその声と同時にペニスが由依の入り口に触れた。
 さらに腰を落としていくと、段々とペニスが由依の中に飲み込まれていく。
「うっ…」
 中を押し広げられる感覚に、由依は声を漏らした。
「さすがにきついな…最高だ」
「い、いや…」
 そのまま腰を下げていくと、ついに全てが由依の中に飲み込まれてしまった。由依のヒップと男の肌がぴったり密着する。
「全部入ったか。中は以外と深いんだな」
「いっ…痛いですぅっ…」
 由依は涙声で言った。実際は、軟膏の滑りが予想以上に利いて思ったほどの痛みはない。少なくとも、処女を喪失した時に比べれば全然痛くない。
「ぬ、抜いて…ぬいてくださいぃ…」
 でも、そんな言葉が出てきた。
「バカ。抜くかよ。早く腰動かせ」
「し、死んじゃいます…」
 ぽたぽたと涙をこぼしながら、由依は腰を持ち上げ始めた。ずるっ…とペニスが抜けていって、膣壁がこすられる。軟膏で滑る状態の由依の膣壁は、それから何の感覚も見出さなかった。ただ圧迫感があるだけだ。
「ひぃぃぃぃっ…」
 悲痛な声を上げて、由依が再び腰を下ろす。
「くく…痛いか。お前の表情、最高だ」
「うあっ…!」
 男が自ら腰を突き上げる。由依の奥底を衝撃が襲った。
「ひっ…ひぃっ…」
「すげぇだろ。痛ぇか?」
「いた…えぐっ…いたいですっ…」
「くく…」
 含み笑いと共に、男が連続して腰を突き上げ始めた。
「うっ!ううっ!うーっ!」
 由依は悲鳴を上げながら、男の腹に両手を当てて必死でバランスを取る。
「締まるな…締まると、お前は痛ぇだろ?」
「ひぅっ…あぐっ!」
「答えることもできねぇか…」
 由依は郁未の事を思い起こしていた。由依がここから脱出してから、思っていたこと…そして、郁未の場に行けなかった事…それは、二重の裏切りだったのかもしれない。
 でも、お姉ちゃんと仲直りできたんだから…郁未さんにも、いつか謝れる…
「そろそろ出るな…」
「ゆっ!許してくださいっ!それだけは…やめてくださいぃっ!」
 思ったよりもすごく速い、と由依は思った。
「知るか」
「い、いやあっ!出さないでっ!出さないでぇぇっ!?」
 ここを出られるかどうかはわからないけど…もし、みんなで出られたら…
「おらっ!」
 男がひときわ強く突き上げる。
 びゅびゅびゅっ!びゅくっ、どびゅっ、びゅっ…
 信じられないほど多量の精液が、由依の中を満たしていく。
「うっ…えぐっ…ひどいですぅっ…えぐっ…」
 由依は精根尽きた表情でつぶやいた。
「…ふうっ…よし。修行終わりだ。せいぜい友達のとこでも行くんだな」
「えぐっ…」
 今なら…間に合うかもしれない。
 由依は不自然にならない程度に素早くペニスを引き抜いた。