「…何をしているのですか」
葉子が言う。
厳しく諌めようとしているような、それでいてどこかに諦めの交じったような声。哀れんでいるようにも思える声。
そんな声を発した葉子は、薄いタンクトップと下着しか身につけていないという状態でも、非常に強い理性と自制心を発しているように見えた。暗闇の中にぼんやりと浮かび上がった滑らかな肢体と長い髪は、いっそ神聖と言ってしまった方が説明が省けるほどに凛としている。
「よ、葉子さん…」
一方、葉子に応えた声はしまりを失っただらしない物だった。声もそうだが、それ以上に吐息が獣のように荒くなっていることや、
ぐちゅぐちゅ…
ひっきりなしに立っている水っぽい音がさらに締まりの無さを強調している。何より、郁未の方は葉子と違って全裸だ。
「何をしているのかと訊いているのですが」
「………」
2メートルばかり離れた所から葉子が郁未を見下ろす。郁未は呼吸法に不慣れなランナーのようにくっ、と息を詰めて葉子の事を一瞬見上げ、しかしすぐに視線を下ろして自分自身の体を恥ずかしい物であるかのような目で見つめた。
ぐちゅぐちゅぐちゅ。
慣れた手つきが、お椀のように整った乳房とじっとりと濡れそぼった秘部をまさぐる。今日や昨日に始めた行為というわけではない、毎日のように慣れ親しんできた行為だからこそ出来る動きだ。ただし、本来なら当然誰にも見られない所でこっそりと行うべきことである。
しかしこのFARGOの中ではプライベートと言う物は極めて制限されている。郁未や葉子のようにAクラスの人間は個室を持っているが、郁未の部屋には同居人もいるのだ。シャワーもあるが、浴びているときも気分的にはとても独りとは言えない。郁未はFARGOに来て以来、性欲を爆発寸前まで抑え込んできていたのだ。それは事実だ。
「が、我慢できないから」
「何をしているのかと訊いているのですけれど…」
葉子は表情一つ変えず問い続ける。
ちゅぐ…ちゅぐ…
「オ…オナニー」
指の動きを止めずに、郁未は言った。
「あ…あの…葉子さん、そういう言葉知らないのかな…」
「…知っています」
「あ、あ…そうなんだ」
「己の欲望と戦うための、ひとつの試練として。教えを受けました」
「………」
「もっとも、それは男の方の話としてです」
葉子は目を閉じる。
「女性の体を持っている人間が、そういう事をするなど考えられませんから」
「………そ、そうなんだ」
確かに、このFARGOも宗教団体である以上は欲望の制御を教えているのだろう。精子を排泄するという生理的目的すらない自涜が厳しく諌められるのは想像に難くない。いや、今葉子が言ったように、そんな事をするというのが想定されていないという所が本当なのだろう…
「で、でも、私はこういうのが大好きだし…あんまり、悪い事とも思わないし」
「欲望を制御できずに、暴走させてしまう事がですか?」
「他の人に迷惑をかけない事で我慢する必要って…」
「欲望は際限なく膨らんでいきます。今は郁未さんの中で収める事ができていても、明日も…いえ、一時間であろうと、一分であろうと、一秒であろうと、時が経てばいつでも押さえきれなくなり得るのです」
葉子が目を開いた。
空間が、くるりと歪んだ。
「…あぅっ…」
郁未が低い声を出してうめく。
少しだけ、違う姿勢になっていた。膝を立ててぺたんと座っていた状態から、膝を曲げた爪先立ちの状態になっている。野球のキャッチャーがしているような、それよりもっと不安定で恥ずかしい姿勢を郁未はしていた。
しかし、うめきの原因は恥ずかしさではない。
「よ…欲望が膨らめば、こうなる事もあるのです」
葉子は少し息苦しそうな声で言った。タンクトップと下着は身につけたままだったが、郁未の脚の間に入ってきて四つん這いになっている。そのすらっとした鼻先が、ねっとりした液体で濡れていた。一瞬のゆらめきの間に、葉子は郁未に口唇奉仕する姿勢を取っていたのだ。
「あ…ああ…葉子さんっ…」
郁未は脚の付け根の部分が火のように熱くなって、ざわざわとしたものがその周りを駆け抜けるのを感じていた。そこに、葉子の顔が一瞬でも押しつけられていたと思うだけでも何かたまらない感情が郁未を支配していく。
「…あっ」
その時、葉子が前のめりにバランスを崩した。
「あ…ああっ」
郁未は偶然の事かと思ったが、どうも様子がおかしい。葉子は両手を床に突っ張ったまま、焦った顔をしている。葉子の顔と床に突いた手はぶるぶると震えて、よく見ると少しずつ前の方に、郁未の方に動いてきているようだった。
「よ、葉子さん?」
まるで、見えないロープで前に無理矢理引っ張られているかのような…そんな感じだ。
「い、郁未さん、やめてくださいっ…」
「え? べ、別に私は何もしていないけれど…」
「行動だけではないです…郁未さんが、意志する事をやめなければ…っ」
葉子の手の平が、ずずっと前に滑った。
「そうしなければ、私の体を引き寄せようとする力も止まりません…!」
「それって…」
「郁未さん…私の身体に何を感じているのですか!?」
焦っていると同時に、険悪な声だった。
「よ、葉子さんの体…」
キレイだ。
教団の中で、禁欲的な教義の中で、純粋培養されるように育ったに違いない葉子は、郁未が教団の外では見かけたことがないほどにピュアな美しさを持っていた。興奮しきった郁未の体にとっては、交わり合いたくてゾクゾクするような対象だった。
「だ…だめですっ…私は、そんなことはっ!」
葉子が顔を横にそらそうとするが、それすらも何かの力で防がれているようだった。葉子は15度ばかり顔を回転をさせた所で、郁未の欲情した性器から目だけでも必死にそらそうとしている。突っ張った両手の方は、もう郁未の脚の下に入り込みそうな所まで来ていた。
郁未が体を引けば、それで済むはずだ。
後ろを向くだけで、葉子の顔が密着するという事態は避けられるはずなのだ。
で、でも…
葉子さんの体が近づいてくるのが私のせいだなんて、信憑性がないし…それに、私が無理矢理押しつけさせようとするわけじゃなくて、私はただここに座っているだけ…そこに、勝手に葉子さんが顔をつけようとしているだけ…
「だっだめですっ! 郁未さん、何を…」
葉子の顔が引きつる。
私の責任じゃない。
…ぐちゅぅっ!
「あっ…!」
葉子の体は後ろから跳ね飛ばされたように動き、郁未の濡れそぼった部分に葉子の顔面が思い切り押しつけられた。
「くふぅっ…」
郁未は思わず声を漏らす。
さんざん弄くった部分は、ただ顔が押しつけられるだけでも激しい快感をもたらした。ましてや、それが清楚な葉子の顔だとなれば興奮は何倍にもなる。葉子の綺麗な頬が愛液でべっとりと濡れているさまを想像すると、郁未はそれだけで達してしまいそうになった。
「っ…あっ…」
「ううっ…ああーっ…葉子さんっ」
息苦しさからか、葉子の唇が動く感触がある。郁未ははしたない姿勢のまま葉子の頭をつかんで、ぐいぐいと太股で葉子を挟んでいた。自然と腰が前後に揺れ始め、それによって葉子の口が郁未の性器を撫でる。
「あっ…はぁっ…!」
葉子の口の中に、わずかであっても自分の愛液が入ってしまったかもしれないと思うだけで郁未は葉子を犯したような気になってしまった。麻薬を誰かに打ってやったのと同じような気分かもしれない。罪悪感と、無理矢理作り上げた仲間意識が得も言われぬ興奮をもたらすのだ。
「よっ…葉子さん、うっ…気持ちいいっ」
郁未はいやらしく腰をくねらせ、葉子の唇をありったけに感じる。それはほとんどオナニーと変わらない行為だったが、郁未は下手なセックスをしている時よりも気持ちよくなってしまっていた。喩えるなら、好きな男の子の机に秘部をすりつけてオナニーをした経験の時の快感に近い。
「ふわっ…あー…ああっ」
ぎゅう…
太股を思い切り締めつけ、郁未は真っ白な意識の中に放り出された。
「あ…ああ…葉子さん…葉子さぁん…」
天を仰いで、うわごとのように繰り返す。
「これが、あなたの欲望なのですか」
郁未に見えない所で、葉子が言っていた。
「これが、あなたの望むことだと言うなら…あなたは何なのですか」
…なんだろう?
「でも、私はあなたと同じものにされてしまいました。今の行為によって」
………
「十年近くも守ってきたものが、無くなってしまいました」
私なら…十年前は…
「あなたと同じものであって、私がどこに向かえばいいのか…あなたは教えてくれるのですか」
…わからない。
私も、どこに向かいたいのか、確かめるためにこの教団に来たんだから…
「期待はしていません、全くしていません」
確かめるためにここに来て…あいつのせいで、オナニーも満足にできないで…
「あなたに、私の気持ちがわかりますか?」
どうだろう…
わかるような…気もするんだけどな…
そう思った時、意識は闇の中に落ちていった。
葉子が言う。
厳しく諌めようとしているような、それでいてどこかに諦めの交じったような声。哀れんでいるようにも思える声。
そんな声を発した葉子は、薄いタンクトップと下着しか身につけていないという状態でも、非常に強い理性と自制心を発しているように見えた。暗闇の中にぼんやりと浮かび上がった滑らかな肢体と長い髪は、いっそ神聖と言ってしまった方が説明が省けるほどに凛としている。
「よ、葉子さん…」
一方、葉子に応えた声はしまりを失っただらしない物だった。声もそうだが、それ以上に吐息が獣のように荒くなっていることや、
ぐちゅぐちゅ…
ひっきりなしに立っている水っぽい音がさらに締まりの無さを強調している。何より、郁未の方は葉子と違って全裸だ。
「何をしているのかと訊いているのですが」
「………」
2メートルばかり離れた所から葉子が郁未を見下ろす。郁未は呼吸法に不慣れなランナーのようにくっ、と息を詰めて葉子の事を一瞬見上げ、しかしすぐに視線を下ろして自分自身の体を恥ずかしい物であるかのような目で見つめた。
ぐちゅぐちゅぐちゅ。
慣れた手つきが、お椀のように整った乳房とじっとりと濡れそぼった秘部をまさぐる。今日や昨日に始めた行為というわけではない、毎日のように慣れ親しんできた行為だからこそ出来る動きだ。ただし、本来なら当然誰にも見られない所でこっそりと行うべきことである。
しかしこのFARGOの中ではプライベートと言う物は極めて制限されている。郁未や葉子のようにAクラスの人間は個室を持っているが、郁未の部屋には同居人もいるのだ。シャワーもあるが、浴びているときも気分的にはとても独りとは言えない。郁未はFARGOに来て以来、性欲を爆発寸前まで抑え込んできていたのだ。それは事実だ。
「が、我慢できないから」
「何をしているのかと訊いているのですけれど…」
葉子は表情一つ変えず問い続ける。
ちゅぐ…ちゅぐ…
「オ…オナニー」
指の動きを止めずに、郁未は言った。
「あ…あの…葉子さん、そういう言葉知らないのかな…」
「…知っています」
「あ、あ…そうなんだ」
「己の欲望と戦うための、ひとつの試練として。教えを受けました」
「………」
「もっとも、それは男の方の話としてです」
葉子は目を閉じる。
「女性の体を持っている人間が、そういう事をするなど考えられませんから」
「………そ、そうなんだ」
確かに、このFARGOも宗教団体である以上は欲望の制御を教えているのだろう。精子を排泄するという生理的目的すらない自涜が厳しく諌められるのは想像に難くない。いや、今葉子が言ったように、そんな事をするというのが想定されていないという所が本当なのだろう…
「で、でも、私はこういうのが大好きだし…あんまり、悪い事とも思わないし」
「欲望を制御できずに、暴走させてしまう事がですか?」
「他の人に迷惑をかけない事で我慢する必要って…」
「欲望は際限なく膨らんでいきます。今は郁未さんの中で収める事ができていても、明日も…いえ、一時間であろうと、一分であろうと、一秒であろうと、時が経てばいつでも押さえきれなくなり得るのです」
葉子が目を開いた。
空間が、くるりと歪んだ。
「…あぅっ…」
郁未が低い声を出してうめく。
少しだけ、違う姿勢になっていた。膝を立ててぺたんと座っていた状態から、膝を曲げた爪先立ちの状態になっている。野球のキャッチャーがしているような、それよりもっと不安定で恥ずかしい姿勢を郁未はしていた。
しかし、うめきの原因は恥ずかしさではない。
「よ…欲望が膨らめば、こうなる事もあるのです」
葉子は少し息苦しそうな声で言った。タンクトップと下着は身につけたままだったが、郁未の脚の間に入ってきて四つん這いになっている。そのすらっとした鼻先が、ねっとりした液体で濡れていた。一瞬のゆらめきの間に、葉子は郁未に口唇奉仕する姿勢を取っていたのだ。
「あ…ああ…葉子さんっ…」
郁未は脚の付け根の部分が火のように熱くなって、ざわざわとしたものがその周りを駆け抜けるのを感じていた。そこに、葉子の顔が一瞬でも押しつけられていたと思うだけでも何かたまらない感情が郁未を支配していく。
「…あっ」
その時、葉子が前のめりにバランスを崩した。
「あ…ああっ」
郁未は偶然の事かと思ったが、どうも様子がおかしい。葉子は両手を床に突っ張ったまま、焦った顔をしている。葉子の顔と床に突いた手はぶるぶると震えて、よく見ると少しずつ前の方に、郁未の方に動いてきているようだった。
「よ、葉子さん?」
まるで、見えないロープで前に無理矢理引っ張られているかのような…そんな感じだ。
「い、郁未さん、やめてくださいっ…」
「え? べ、別に私は何もしていないけれど…」
「行動だけではないです…郁未さんが、意志する事をやめなければ…っ」
葉子の手の平が、ずずっと前に滑った。
「そうしなければ、私の体を引き寄せようとする力も止まりません…!」
「それって…」
「郁未さん…私の身体に何を感じているのですか!?」
焦っていると同時に、険悪な声だった。
「よ、葉子さんの体…」
キレイだ。
教団の中で、禁欲的な教義の中で、純粋培養されるように育ったに違いない葉子は、郁未が教団の外では見かけたことがないほどにピュアな美しさを持っていた。興奮しきった郁未の体にとっては、交わり合いたくてゾクゾクするような対象だった。
「だ…だめですっ…私は、そんなことはっ!」
葉子が顔を横にそらそうとするが、それすらも何かの力で防がれているようだった。葉子は15度ばかり顔を回転をさせた所で、郁未の欲情した性器から目だけでも必死にそらそうとしている。突っ張った両手の方は、もう郁未の脚の下に入り込みそうな所まで来ていた。
郁未が体を引けば、それで済むはずだ。
後ろを向くだけで、葉子の顔が密着するという事態は避けられるはずなのだ。
で、でも…
葉子さんの体が近づいてくるのが私のせいだなんて、信憑性がないし…それに、私が無理矢理押しつけさせようとするわけじゃなくて、私はただここに座っているだけ…そこに、勝手に葉子さんが顔をつけようとしているだけ…
「だっだめですっ! 郁未さん、何を…」
葉子の顔が引きつる。
私の責任じゃない。
…ぐちゅぅっ!
「あっ…!」
葉子の体は後ろから跳ね飛ばされたように動き、郁未の濡れそぼった部分に葉子の顔面が思い切り押しつけられた。
「くふぅっ…」
郁未は思わず声を漏らす。
さんざん弄くった部分は、ただ顔が押しつけられるだけでも激しい快感をもたらした。ましてや、それが清楚な葉子の顔だとなれば興奮は何倍にもなる。葉子の綺麗な頬が愛液でべっとりと濡れているさまを想像すると、郁未はそれだけで達してしまいそうになった。
「っ…あっ…」
「ううっ…ああーっ…葉子さんっ」
息苦しさからか、葉子の唇が動く感触がある。郁未ははしたない姿勢のまま葉子の頭をつかんで、ぐいぐいと太股で葉子を挟んでいた。自然と腰が前後に揺れ始め、それによって葉子の口が郁未の性器を撫でる。
「あっ…はぁっ…!」
葉子の口の中に、わずかであっても自分の愛液が入ってしまったかもしれないと思うだけで郁未は葉子を犯したような気になってしまった。麻薬を誰かに打ってやったのと同じような気分かもしれない。罪悪感と、無理矢理作り上げた仲間意識が得も言われぬ興奮をもたらすのだ。
「よっ…葉子さん、うっ…気持ちいいっ」
郁未はいやらしく腰をくねらせ、葉子の唇をありったけに感じる。それはほとんどオナニーと変わらない行為だったが、郁未は下手なセックスをしている時よりも気持ちよくなってしまっていた。喩えるなら、好きな男の子の机に秘部をすりつけてオナニーをした経験の時の快感に近い。
「ふわっ…あー…ああっ」
ぎゅう…
太股を思い切り締めつけ、郁未は真っ白な意識の中に放り出された。
「あ…ああ…葉子さん…葉子さぁん…」
天を仰いで、うわごとのように繰り返す。
「これが、あなたの欲望なのですか」
郁未に見えない所で、葉子が言っていた。
「これが、あなたの望むことだと言うなら…あなたは何なのですか」
…なんだろう?
「でも、私はあなたと同じものにされてしまいました。今の行為によって」
………
「十年近くも守ってきたものが、無くなってしまいました」
私なら…十年前は…
「あなたと同じものであって、私がどこに向かえばいいのか…あなたは教えてくれるのですか」
…わからない。
私も、どこに向かいたいのか、確かめるためにこの教団に来たんだから…
「期待はしていません、全くしていません」
確かめるためにここに来て…あいつのせいで、オナニーも満足にできないで…
「あなたに、私の気持ちがわかりますか?」
どうだろう…
わかるような…気もするんだけどな…
そう思った時、意識は闇の中に落ちていった。
「お疲れさまです」
「ん」
郁未はうなずきながら、背中に回していたエプロンの紐を外す。キッチンの洗い場には、二人の夕食の食器が綺麗に洗われて並んでいた。大きな鍋が逆さまになって乾かされているのを見ると、今日も夕食はシチューだったらしい。
「あれで足りたの?」
「はい」
「そんなに少食だと、外に出た時に何にもできないよ」
「そうでしょうか」
「そうだよ」
郁未はエプロンで濡れた手を拭くと、近くに置いてあった椅子に掛ける。
「それで、どう? もう結構慣れた?」
「まだ…少し」
「そう。私は葉子さんがいいって言うまで大丈夫だけれど、ずっとこうしてばっかりいるわけにもいかないんだから、きちんと努力もしないとだめ」
「はい、すいません」
葉子が郁未に頭を下げる。
「ううん、そういう意味で言ったわけじゃないから」
「でも、郁未さんにはお世話になりっぱなしで」
「あはは…私も葉子さんにお世話になりっぱなしじゃない」
「こんなことくらいしか…できませんから」
葉子が、少し顔を赤くする。
「いや、だけどね、やっぱり、私も、助かるから」
「郁未さんなら、私なんかがいなければきっといい男の人と」
「ううん、私男運ないみたいだから。もうこりごり」
郁未は二人掛けのテーブルに座っている葉子の所までやってくる。そして、あっという間に顔を近づけると葉子の唇に自分の唇を重ねた。
「んん」
二人の舌が素早く絡んで、刺激し合って、離れる。
「いい?」
「もちろん、郁未さんが言うなら私はいつでも従います」
葉子は椅子からフローリングの床に下りて、お尻からぺたんと座り込む。葉子の脚の間に、ヘアに覆われた秘部がのぞいた。Tシャツを羽織っているだけなのだ。
「…葉子さん、そのままもっとこっちに来て?」
「はい」
郁未の誘導に従って、葉子は座った姿勢のままずるずるとフローリングの上を動いていく。郁未はそのまま後ろに下がって、キッチンの方に入っていった。葉子もその後をついていく。
「えっと、そこでいいや」
冷蔵庫の所で郁未が止まる。葉子はそこから数十センチ離れた所で止まった。
がら…
郁未は冷蔵庫の一番下の野菜室を引き出す。葉子はその様子を何も言わず見ていた。
葉子の視界にも、郁未のヒップと恥丘の膨らみは見えている。Tシャツしか羽織っていないのは、郁未も同じだ。葉子のTシャツよりは大きいから、普通に立っているぶんには陸上部の女の子風の外見になる。しかし身を曲げている所を下から見れば、隠すべき部分も丸見えだ。
「ふふ…これ」
恐らく、もとより隠す気もないのだろう。郁未はごく当たり前のように冷蔵庫から何かを取り出して葉子に示す。
「郁未…さん」
がらっ。
冷蔵庫のドアが閉まる。
「葉子さんが食べたくないっていうから、残っちゃった」
「は、はい」
「もったいないよね」
郁未はにこにこしながら手に持った「それ」をしごくように撫でる。そして、葉子の頬をその先でつんつんとつついた。
「上のお口で食べるのがいやなら…」
使い古された文句を、郁未はこの上なく嬉しそうに言う。
「こっちのお口で食べてね」
「………」
Tシャツの裾から突っ込まれた小さめのニンジンに、葉子は言葉を失っていた。郁未の顔をうかがいつつも、何も言うことができない。不安なのは間違いないようだが、面と向かって嫌とは言えない。
「ほら、とっても美味しいよ」
ずにゅ…
ニンジンの先が、まず葉子の秘裂を割る。
「あ…」
冷え切った固い感触が、粘膜に到達した。その先は葉子の入り口を求めて、妖しくうごめく。
ぬちゅり。
「葉子さん? 物を食べるときには?」
「え…」
「あいさつ、あいさつ」
「あ、あ…い、いただきます」
「はい」
ぬちゅぷっ…
「あ…ふぁっ…」
「ほーら…とっても美味しいでしょ?」
郁未はうっすらと頬に汗を浮かべながら、葉子に笑みかける。
ぬちゅぷ…ちゅぐっ。
「ああ…はああっ…」
もう既に濡れていた葉子のヴァギナは、ニンジンを簡単に飲み込んでいった。正確に言えば、まだ乾いていないのだ。前に分泌した興奮の果汁が、まだたっぷりと残っていたのだ。
冷え切ったニンジンの、段々太くなっていく形状が葉子を責める。最初の内は簡単に入ったが、奥に進めていく程に差し込むのが難しくなっていった。
じゅちっ…ぐちぃっ…
「こっ…これが限界かな」
「はぅっ…うっ…」
苦しさにも似た異物感を感じつつも、葉子は耐える。
「葉子さんはニンジン嫌いかもしれないけど、頑張って食べなきゃダメだよ」
「は…はい」
無理矢理押し込まれなければ、自分の膣壁が収縮してニンジンをやわやわと締め付けるのが少しずつ快感になってくる。最初は冷たかったニンジンも、葉子の熱い愛液の中ですっかり熱を帯びてしまったようだ。
「わ、私はニンジン大好きだから」
郁未は床に転がしておいたもう一本のニンジンを手にして、自分の秘部に躊躇無く埋め込んでいく。
ちゅぷん。
「あ…あっ…」
片手で秘裂を開き、もう一方の手でニンジンを押し込む。そして先端が入ると、瞳を閉じながら両方の手を使ってぐりぐりとニンジンを奥へと押し込んでいく。
「うっ…いっ、いいっ…わ、私、ニンジン大好き…すごく美味しいっ…!」
ポニーテールにまとめた長い髪を揺さぶりながら、郁未は淫らに腰を揺らす。
ぎじゅるっ。
「はぁっ…あ…はぁ」
郁未は最後までニンジンを飲み込んでしまった。葉子の中に入っている物に比べれば多少小さく細長い形状のニンジンとは言え、かなり無茶をしているのは間違いない。
「わ、私、いただきますをするの忘れてた…」
目を開くと、郁未はぎらぎらと欲望に光る目で葉子を見下ろし、ばたんと体をフローリングの上に崩れ落ちさせる。両手を前に出した土下座するような格好で、郁未はしばしはぁはぁと息を荒くした。
「よ、葉子さんのおマメ、いただきますっ」
「え…!」
郁未は文字通り獣のような姿勢と勢いで、ニンジンの生えた葉子の秘部にむしゃぶりついていった。
ぐにっ…ちゅぷ、ちゅぱっ、ちゅぱ…
「あっ…ああああっ…はああっ…!」
突如訪れた強烈な快感に、葉子は目を半開きにしてあられもない声を漏らす。郁未と同じポニーテールにした髪の先がフローリングにつくほど頭を反らし、天井に向けてはっはっと熱い息を吐き出していた。
ちゅぱっ…くりゅっ、くりゅくりゅ…
はみ出たニンジンで口を動かしにくいはずなのに、郁未は長く伸ばした舌を使ってべろべろと葉子の突起をついばみ続ける。つんと高い郁未の鼻の頭には汗の珠がびっしりとついていた。
「んっ…んうううっ」
「くはぁ…あっ…ふああっ…」
しかしそれも、郁未がムリヤリに顔を突起の近くまで突っ込もうとしたために汗なのか愛液なのか区別がつかなくなってしまった。もう郁未の顔は、どちらのものかわからない体液でぐしょぐしょだ。
ぐりぐりぐりっ。
郁未はたまらなくなったのか、空いている手で強烈に自分の突起をまさぐり始めた。赤く大きく肥大した突起は、常人に比べてもおとなしめの形状をしている葉子のものと比べると別の器官であるかのように大きい。郁未に四六時中激しい煩悩をもたらす中核のようなものだ。それを、最も自分の気持ちいい触り方を知っている郁未自身の人差し指が襲う。
「うっ…うう」
ニンジンの少しいびつな刺激も合わさって、郁未は激しく昂ってしまった。
「ひっ…ああっ…郁未さんっ…も、もう…私は」
葉子が長い脚をピンと突き出して、ぴくぴくと震え始める。
「う、うん…もう、私もイクから…葉子さんも一緒に」
「は…はいっ…」
ぐちゅぐちゅ、ぐちゅぐちゅ。
「くっ…ふぅっ…」
「あっ…あ」
戦場にいるかのような、郁未の血走った表情。その悪魔的に熟練した性の技巧に、葉子と郁未自身は極限の快感を味あわされる。
「うっ…郁未さん」
「葉子さんっ」
…ビクンッ! ビクビクンッ! ビク! ビク! ビクビクッ!
二人は、不規則に突き進む稲妻に絡め取られるかのように、爆発的な絶頂を味わった。
「うっ…ううー」
「あ…あ…ああ」
死に瀕したような声。二人の恍惚と苦悶が混ざり合ったような表情。そして二人の肢体は、同じものをくわえ込んで同じ感覚を共有している。
「ごっ…ごちそうさま」
「…ごちそう…さまでした…」
二人は互いの瞳を舐め取るような見つめ合いを、ひゅくひゅくという体の痙攣が終わるまでずっと続けていた。
「ん」
郁未はうなずきながら、背中に回していたエプロンの紐を外す。キッチンの洗い場には、二人の夕食の食器が綺麗に洗われて並んでいた。大きな鍋が逆さまになって乾かされているのを見ると、今日も夕食はシチューだったらしい。
「あれで足りたの?」
「はい」
「そんなに少食だと、外に出た時に何にもできないよ」
「そうでしょうか」
「そうだよ」
郁未はエプロンで濡れた手を拭くと、近くに置いてあった椅子に掛ける。
「それで、どう? もう結構慣れた?」
「まだ…少し」
「そう。私は葉子さんがいいって言うまで大丈夫だけれど、ずっとこうしてばっかりいるわけにもいかないんだから、きちんと努力もしないとだめ」
「はい、すいません」
葉子が郁未に頭を下げる。
「ううん、そういう意味で言ったわけじゃないから」
「でも、郁未さんにはお世話になりっぱなしで」
「あはは…私も葉子さんにお世話になりっぱなしじゃない」
「こんなことくらいしか…できませんから」
葉子が、少し顔を赤くする。
「いや、だけどね、やっぱり、私も、助かるから」
「郁未さんなら、私なんかがいなければきっといい男の人と」
「ううん、私男運ないみたいだから。もうこりごり」
郁未は二人掛けのテーブルに座っている葉子の所までやってくる。そして、あっという間に顔を近づけると葉子の唇に自分の唇を重ねた。
「んん」
二人の舌が素早く絡んで、刺激し合って、離れる。
「いい?」
「もちろん、郁未さんが言うなら私はいつでも従います」
葉子は椅子からフローリングの床に下りて、お尻からぺたんと座り込む。葉子の脚の間に、ヘアに覆われた秘部がのぞいた。Tシャツを羽織っているだけなのだ。
「…葉子さん、そのままもっとこっちに来て?」
「はい」
郁未の誘導に従って、葉子は座った姿勢のままずるずるとフローリングの上を動いていく。郁未はそのまま後ろに下がって、キッチンの方に入っていった。葉子もその後をついていく。
「えっと、そこでいいや」
冷蔵庫の所で郁未が止まる。葉子はそこから数十センチ離れた所で止まった。
がら…
郁未は冷蔵庫の一番下の野菜室を引き出す。葉子はその様子を何も言わず見ていた。
葉子の視界にも、郁未のヒップと恥丘の膨らみは見えている。Tシャツしか羽織っていないのは、郁未も同じだ。葉子のTシャツよりは大きいから、普通に立っているぶんには陸上部の女の子風の外見になる。しかし身を曲げている所を下から見れば、隠すべき部分も丸見えだ。
「ふふ…これ」
恐らく、もとより隠す気もないのだろう。郁未はごく当たり前のように冷蔵庫から何かを取り出して葉子に示す。
「郁未…さん」
がらっ。
冷蔵庫のドアが閉まる。
「葉子さんが食べたくないっていうから、残っちゃった」
「は、はい」
「もったいないよね」
郁未はにこにこしながら手に持った「それ」をしごくように撫でる。そして、葉子の頬をその先でつんつんとつついた。
「上のお口で食べるのがいやなら…」
使い古された文句を、郁未はこの上なく嬉しそうに言う。
「こっちのお口で食べてね」
「………」
Tシャツの裾から突っ込まれた小さめのニンジンに、葉子は言葉を失っていた。郁未の顔をうかがいつつも、何も言うことができない。不安なのは間違いないようだが、面と向かって嫌とは言えない。
「ほら、とっても美味しいよ」
ずにゅ…
ニンジンの先が、まず葉子の秘裂を割る。
「あ…」
冷え切った固い感触が、粘膜に到達した。その先は葉子の入り口を求めて、妖しくうごめく。
ぬちゅり。
「葉子さん? 物を食べるときには?」
「え…」
「あいさつ、あいさつ」
「あ、あ…い、いただきます」
「はい」
ぬちゅぷっ…
「あ…ふぁっ…」
「ほーら…とっても美味しいでしょ?」
郁未はうっすらと頬に汗を浮かべながら、葉子に笑みかける。
ぬちゅぷ…ちゅぐっ。
「ああ…はああっ…」
もう既に濡れていた葉子のヴァギナは、ニンジンを簡単に飲み込んでいった。正確に言えば、まだ乾いていないのだ。前に分泌した興奮の果汁が、まだたっぷりと残っていたのだ。
冷え切ったニンジンの、段々太くなっていく形状が葉子を責める。最初の内は簡単に入ったが、奥に進めていく程に差し込むのが難しくなっていった。
じゅちっ…ぐちぃっ…
「こっ…これが限界かな」
「はぅっ…うっ…」
苦しさにも似た異物感を感じつつも、葉子は耐える。
「葉子さんはニンジン嫌いかもしれないけど、頑張って食べなきゃダメだよ」
「は…はい」
無理矢理押し込まれなければ、自分の膣壁が収縮してニンジンをやわやわと締め付けるのが少しずつ快感になってくる。最初は冷たかったニンジンも、葉子の熱い愛液の中ですっかり熱を帯びてしまったようだ。
「わ、私はニンジン大好きだから」
郁未は床に転がしておいたもう一本のニンジンを手にして、自分の秘部に躊躇無く埋め込んでいく。
ちゅぷん。
「あ…あっ…」
片手で秘裂を開き、もう一方の手でニンジンを押し込む。そして先端が入ると、瞳を閉じながら両方の手を使ってぐりぐりとニンジンを奥へと押し込んでいく。
「うっ…いっ、いいっ…わ、私、ニンジン大好き…すごく美味しいっ…!」
ポニーテールにまとめた長い髪を揺さぶりながら、郁未は淫らに腰を揺らす。
ぎじゅるっ。
「はぁっ…あ…はぁ」
郁未は最後までニンジンを飲み込んでしまった。葉子の中に入っている物に比べれば多少小さく細長い形状のニンジンとは言え、かなり無茶をしているのは間違いない。
「わ、私、いただきますをするの忘れてた…」
目を開くと、郁未はぎらぎらと欲望に光る目で葉子を見下ろし、ばたんと体をフローリングの上に崩れ落ちさせる。両手を前に出した土下座するような格好で、郁未はしばしはぁはぁと息を荒くした。
「よ、葉子さんのおマメ、いただきますっ」
「え…!」
郁未は文字通り獣のような姿勢と勢いで、ニンジンの生えた葉子の秘部にむしゃぶりついていった。
ぐにっ…ちゅぷ、ちゅぱっ、ちゅぱ…
「あっ…ああああっ…はああっ…!」
突如訪れた強烈な快感に、葉子は目を半開きにしてあられもない声を漏らす。郁未と同じポニーテールにした髪の先がフローリングにつくほど頭を反らし、天井に向けてはっはっと熱い息を吐き出していた。
ちゅぱっ…くりゅっ、くりゅくりゅ…
はみ出たニンジンで口を動かしにくいはずなのに、郁未は長く伸ばした舌を使ってべろべろと葉子の突起をついばみ続ける。つんと高い郁未の鼻の頭には汗の珠がびっしりとついていた。
「んっ…んうううっ」
「くはぁ…あっ…ふああっ…」
しかしそれも、郁未がムリヤリに顔を突起の近くまで突っ込もうとしたために汗なのか愛液なのか区別がつかなくなってしまった。もう郁未の顔は、どちらのものかわからない体液でぐしょぐしょだ。
ぐりぐりぐりっ。
郁未はたまらなくなったのか、空いている手で強烈に自分の突起をまさぐり始めた。赤く大きく肥大した突起は、常人に比べてもおとなしめの形状をしている葉子のものと比べると別の器官であるかのように大きい。郁未に四六時中激しい煩悩をもたらす中核のようなものだ。それを、最も自分の気持ちいい触り方を知っている郁未自身の人差し指が襲う。
「うっ…うう」
ニンジンの少しいびつな刺激も合わさって、郁未は激しく昂ってしまった。
「ひっ…ああっ…郁未さんっ…も、もう…私は」
葉子が長い脚をピンと突き出して、ぴくぴくと震え始める。
「う、うん…もう、私もイクから…葉子さんも一緒に」
「は…はいっ…」
ぐちゅぐちゅ、ぐちゅぐちゅ。
「くっ…ふぅっ…」
「あっ…あ」
戦場にいるかのような、郁未の血走った表情。その悪魔的に熟練した性の技巧に、葉子と郁未自身は極限の快感を味あわされる。
「うっ…郁未さん」
「葉子さんっ」
…ビクンッ! ビクビクンッ! ビク! ビク! ビクビクッ!
二人は、不規則に突き進む稲妻に絡め取られるかのように、爆発的な絶頂を味わった。
「うっ…ううー」
「あ…あ…ああ」
死に瀕したような声。二人の恍惚と苦悶が混ざり合ったような表情。そして二人の肢体は、同じものをくわえ込んで同じ感覚を共有している。
「ごっ…ごちそうさま」
「…ごちそう…さまでした…」
二人は互いの瞳を舐め取るような見つめ合いを、ひゅくひゅくという体の痙攣が終わるまでずっと続けていた。
「き…ぁぅ…」
ぶるぶるぶる…と、全身が震えて止まらない。今にも崩れ落ちてしまいそうな身体を、葉子は必死に両腕を突っ張って支えていた。肘をかくんと折りそうになる度に、何とかして耐性を立て直す。歯を食いしばろうにも、カチカチと震えてしまっていて無理だった。
全ては、葉子を下から貫くごつごつとした異物感のためだ。まだ幼すぎる少女の狭い部分を、強引に広げている男性器。
「う、うぅーっ…」
ぽたぽたと涙をこぼしながら、葉子は懇願の目で下の男を見つめる。
「やっぱり狭いよな…入ってんのが嘘みたいだ」
「い、いたい…」
「当たり前だ。修練なんだからなー」
男は葉子の悲惨な状況にも拘わらず、軽い声で言った。葉子は心の奥底からどす黒い恨みの感情が沸き起こっているのを感じたが、それをぶつけるわけにはいかない。そうすれば、さらなる惨い陵辱が待っているのは当たり前だ。そして、そういう恐怖への想像力について子供は途方もない能力を持っている。
血こそ出ていなかったが、傍目にも成長しきっていない葉子に侵入している太い肉棒は、ほとんど切り裂いていると言っても過言ではないように見えた。事実、十日ほど前には実際に葉子の中は切り裂かれたのである。今とほぼ同じ太さの肉棒によって。未開通であって当然の箇所は、無理矢理に犯された。幼い頃からの英才教育という揶揄を浴びせられながら…
ず…ずず…
「あぐっ…う…う…」
葉子が腰を少しずつ持ち上げていく。それだけで膣壁に強い摩擦が走り、葉子は恐ろしいほどの痛みに耐えなくてはならなかった。涙をあふさせた瞳は虚空に向けられる。それは何かの救いを求めているというより、理性の空白を直接的に示しているようだった。
ずずず…
「ぎ…かはっ…」
ある程度まで持ち上げたところで、また落とす。既に葉子はほとんど力が入らない。自分の体重を支えきれず、肉棒は奥の奥まで勢いよく突き刺さった。
「いいなぁ…気持ちいい」
「ぐ…うっ…けほっ…げほっ!」
もはや、葉子は呼吸すら困難な様子だった。痛みが体力を奪い尽くし、身体機能のコントロールをおかしくしているのだ。
「ひくっ…うっ…ううっ…うううぅっ…」
ずず…
すすり泣きをしながらも、葉子は腰を再び持ち上げる。
ずんっ。
だが、それを支える力は残っていなかった。葉子の中を激しく肉棒が突き刺す。体重による力だけではなく、男が合わせて腰を持ち上げたのだ。
「残念賞だ」
男がにやにやしながら言う。葉子はもう自分の体重を支えられなくなっている事を分かり切っていたようだった。
「あ…あぁ…あああぁ…」
葉子はずきんずきんという痛みに、涙する事しかできない。意識がふつりと切れてしまってもおかしくないほどだ。それを辛うじて支えているのは、脳裏にこびりついて離れない母親の姿だった。
処女を散らされた時も、フェラチオを始めて強要された時も…側に葉子の母親がいて、それを見守っていた。葉子が精錬の間に連れ込まれるときに、一緒に来いと言われていたのである。
男達は葉子の母親に手を出すことはなかった。ただ、見ていろと言っただけである。しかし葉子が泣き叫ぼうと、意識をもうろうとさせて床に倒れようと、母は助けようとしなかった。
…むしろ、葉子を叱咤(しった)した。幼少の頃から我が子のスポーツを監督する、ステレオタイプの親のように…
恐らく、その場で展開されたのはそういうスポーツ教育と大して変わらなかったものだろう。なぜそうしなければ分からなくても、親に叱咤されれば子供は懸命に努力する。そして時折見せる褒め言葉に、必死にすがりつくようになる。
「なんだよ。まだ少ししかしてないぞ」
「うっ…うあぁぁ…」
葉子は嗚咽を漏らすだけである。
ずっ、ずっ、ずっ…
「あああーっ!!」
不満げな顔をした男が腰を突き上げ始めた。葉子は絶叫を上げて、天井を仰ぐ。口をぱくぱくと動かし、泡を吹き出す。意識はもう限界の近くまで来ていた。
しかし男はマイペースに腰を動かし続ける。
「…………」
葉子は瞳から完全に光を失っていた。声を上げることもできない。ただ、地獄のように痛いだけである。
それでも母の記憶は未だこびりついて離れなかった。
葉子が何人もの男に交替で陵辱され、1時間近くもフェラチオをさせられたとき…最後の方で上手くなったと言われると、葉子の母親はあまりにも場違いなほどの優しい微笑みを浮かべたのだ。昔一緒に暮らしていたときの記憶を思い起こさせるほどの笑顔だった。
その瞬間、ちょうど十回目の発射が不思議と口の中で不快に感じられなくて、葉子は深く悩んだ。
本能的に感じる快と不快と原則を突き崩される…そんな感覚だった。
「よし、出すぞ?」
…びゅびゅ…びゅくっ
男が言うと、すぐに生暖かい精液が飛び出してきて葉子の中をどろりと満たす。膣壁はもう麻痺していて、精液の感触はあまり感じられなかった。
「ふーっ…よし、抜いていいぞー」
ずぷるっ…
そう言われると、葉子は無意識に腰を持ち上げ、やや小さくなった肉棒を引き抜いていた。機械のような動きだ。
ぱたっ。
葉子は男の身体から一歩横に離れると、そのまま身体を床に横たわらせていた。肉棒を引き抜けたのが不思議に思えるほど、体力が失われている。
「好きなだけ寝てろよ。次のヤツが来たら一緒にお楽しみだけどな」
男が起き上がって、服を整えている音がする。
「しっかし、やっぱりガキはダメだよなー。狭いだけでちっとも気持ちよくなんないし。はあぁ」
「………」
真っ赤な欲望が膨れ上がる。
だったら、何故犯した?
もし今葉子が凶器を持っていたなら、迷わず男に襲いかかって殺すまで攻撃したことだろう。
だめなのだ。
母が喜んでくれるためなら、自分が多少どうなってもいいと…上手いと言われたフェラチオを積極的にするような、自分を辱める行為をしてもいいと…そう思っていた。
でも、だめだ。
肉体が傷つけられた瞬間、そんな生ぬるい判断は消し飛んでしまう。
多分、もうお母さんと一緒にいられる時間は少なくない。
これ以上傷つけられたら、自分が動ける状態で傷つけられたら、恐らく葉子は理性を飛ばして男達を殺そうとしてしまうだろうから…
そうなれば、葉子を待つのは死のみだ。
でも、お母さんの誕生日くらいまでは…生きてみたい…
儚い願いは、無機質な壁とグロテスクな白濁液の残骸に吸い込まれていった。
ぶるぶるぶる…と、全身が震えて止まらない。今にも崩れ落ちてしまいそうな身体を、葉子は必死に両腕を突っ張って支えていた。肘をかくんと折りそうになる度に、何とかして耐性を立て直す。歯を食いしばろうにも、カチカチと震えてしまっていて無理だった。
全ては、葉子を下から貫くごつごつとした異物感のためだ。まだ幼すぎる少女の狭い部分を、強引に広げている男性器。
「う、うぅーっ…」
ぽたぽたと涙をこぼしながら、葉子は懇願の目で下の男を見つめる。
「やっぱり狭いよな…入ってんのが嘘みたいだ」
「い、いたい…」
「当たり前だ。修練なんだからなー」
男は葉子の悲惨な状況にも拘わらず、軽い声で言った。葉子は心の奥底からどす黒い恨みの感情が沸き起こっているのを感じたが、それをぶつけるわけにはいかない。そうすれば、さらなる惨い陵辱が待っているのは当たり前だ。そして、そういう恐怖への想像力について子供は途方もない能力を持っている。
血こそ出ていなかったが、傍目にも成長しきっていない葉子に侵入している太い肉棒は、ほとんど切り裂いていると言っても過言ではないように見えた。事実、十日ほど前には実際に葉子の中は切り裂かれたのである。今とほぼ同じ太さの肉棒によって。未開通であって当然の箇所は、無理矢理に犯された。幼い頃からの英才教育という揶揄を浴びせられながら…
ず…ずず…
「あぐっ…う…う…」
葉子が腰を少しずつ持ち上げていく。それだけで膣壁に強い摩擦が走り、葉子は恐ろしいほどの痛みに耐えなくてはならなかった。涙をあふさせた瞳は虚空に向けられる。それは何かの救いを求めているというより、理性の空白を直接的に示しているようだった。
ずずず…
「ぎ…かはっ…」
ある程度まで持ち上げたところで、また落とす。既に葉子はほとんど力が入らない。自分の体重を支えきれず、肉棒は奥の奥まで勢いよく突き刺さった。
「いいなぁ…気持ちいい」
「ぐ…うっ…けほっ…げほっ!」
もはや、葉子は呼吸すら困難な様子だった。痛みが体力を奪い尽くし、身体機能のコントロールをおかしくしているのだ。
「ひくっ…うっ…ううっ…うううぅっ…」
ずず…
すすり泣きをしながらも、葉子は腰を再び持ち上げる。
ずんっ。
だが、それを支える力は残っていなかった。葉子の中を激しく肉棒が突き刺す。体重による力だけではなく、男が合わせて腰を持ち上げたのだ。
「残念賞だ」
男がにやにやしながら言う。葉子はもう自分の体重を支えられなくなっている事を分かり切っていたようだった。
「あ…あぁ…あああぁ…」
葉子はずきんずきんという痛みに、涙する事しかできない。意識がふつりと切れてしまってもおかしくないほどだ。それを辛うじて支えているのは、脳裏にこびりついて離れない母親の姿だった。
処女を散らされた時も、フェラチオを始めて強要された時も…側に葉子の母親がいて、それを見守っていた。葉子が精錬の間に連れ込まれるときに、一緒に来いと言われていたのである。
男達は葉子の母親に手を出すことはなかった。ただ、見ていろと言っただけである。しかし葉子が泣き叫ぼうと、意識をもうろうとさせて床に倒れようと、母は助けようとしなかった。
…むしろ、葉子を叱咤(しった)した。幼少の頃から我が子のスポーツを監督する、ステレオタイプの親のように…
恐らく、その場で展開されたのはそういうスポーツ教育と大して変わらなかったものだろう。なぜそうしなければ分からなくても、親に叱咤されれば子供は懸命に努力する。そして時折見せる褒め言葉に、必死にすがりつくようになる。
「なんだよ。まだ少ししかしてないぞ」
「うっ…うあぁぁ…」
葉子は嗚咽を漏らすだけである。
ずっ、ずっ、ずっ…
「あああーっ!!」
不満げな顔をした男が腰を突き上げ始めた。葉子は絶叫を上げて、天井を仰ぐ。口をぱくぱくと動かし、泡を吹き出す。意識はもう限界の近くまで来ていた。
しかし男はマイペースに腰を動かし続ける。
「…………」
葉子は瞳から完全に光を失っていた。声を上げることもできない。ただ、地獄のように痛いだけである。
それでも母の記憶は未だこびりついて離れなかった。
葉子が何人もの男に交替で陵辱され、1時間近くもフェラチオをさせられたとき…最後の方で上手くなったと言われると、葉子の母親はあまりにも場違いなほどの優しい微笑みを浮かべたのだ。昔一緒に暮らしていたときの記憶を思い起こさせるほどの笑顔だった。
その瞬間、ちょうど十回目の発射が不思議と口の中で不快に感じられなくて、葉子は深く悩んだ。
本能的に感じる快と不快と原則を突き崩される…そんな感覚だった。
「よし、出すぞ?」
…びゅびゅ…びゅくっ
男が言うと、すぐに生暖かい精液が飛び出してきて葉子の中をどろりと満たす。膣壁はもう麻痺していて、精液の感触はあまり感じられなかった。
「ふーっ…よし、抜いていいぞー」
ずぷるっ…
そう言われると、葉子は無意識に腰を持ち上げ、やや小さくなった肉棒を引き抜いていた。機械のような動きだ。
ぱたっ。
葉子は男の身体から一歩横に離れると、そのまま身体を床に横たわらせていた。肉棒を引き抜けたのが不思議に思えるほど、体力が失われている。
「好きなだけ寝てろよ。次のヤツが来たら一緒にお楽しみだけどな」
男が起き上がって、服を整えている音がする。
「しっかし、やっぱりガキはダメだよなー。狭いだけでちっとも気持ちよくなんないし。はあぁ」
「………」
真っ赤な欲望が膨れ上がる。
だったら、何故犯した?
もし今葉子が凶器を持っていたなら、迷わず男に襲いかかって殺すまで攻撃したことだろう。
だめなのだ。
母が喜んでくれるためなら、自分が多少どうなってもいいと…上手いと言われたフェラチオを積極的にするような、自分を辱める行為をしてもいいと…そう思っていた。
でも、だめだ。
肉体が傷つけられた瞬間、そんな生ぬるい判断は消し飛んでしまう。
多分、もうお母さんと一緒にいられる時間は少なくない。
これ以上傷つけられたら、自分が動ける状態で傷つけられたら、恐らく葉子は理性を飛ばして男達を殺そうとしてしまうだろうから…
そうなれば、葉子を待つのは死のみだ。
でも、お母さんの誕生日くらいまでは…生きてみたい…
儚い願いは、無機質な壁とグロテスクな白濁液の残骸に吸い込まれていった。