Daily-EROtic 美和子

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(レアキャラを探す旅は尽きませんねヽ(´ー`)ノ)
「いっ…いやっ!!」
 美和子が身体を後ろに引く。
 …どっ。
「あ、あ、あっ…」
 そのままクリアケースを抱えて逃げようとするが、美和子はあまりの動揺のために足を自分の足に引っかけてしまった。尻もちを突く形で床に転がり、
 ばさっ…ばさばさっ
 はずみで床に落っこちたクリアケースから、クリップやホチキスで留められた書類がばらばらと散らばった。反射的に、美和子はそれを拾い集めようとしてしまう。生真面目な性格がさせた一瞬の行動だ。
 たっ。
 美和子の顔のすぐ前に、上履きが床を踏む乾いた音が叩きつけられる。
「…ひっ」
 顔を上げ、冷たい月島の目を見つめ、美和子は恐れを口にした。背後は壁。右も左も壁。生徒会室の隅に完全に追い込まれている。
「駄目だね。判断に迷いがあるから失敗する。直感で動かなくちゃいけない時もある」
 コツ、と革靴のような音を立てながら月島がさらに一歩を踏み出す。履いているのはただの上履きのはずだが、そういう音を立てるような歩き方があるのだ。もちろん、それは月島の醸し出す威圧的な雰囲気がなければ成立しない音なのだろう。普段の柔和な様子から豹変した表情、低い声、適度に勿体ぶった仕草。とても美和子には真似できないような代物だ。
「学校の勉強だけでは不十分な事もあるわけだ。長瀬先生は良い事を言うよ。君達も今教わっているだろう? 僕も去年は長瀬先生の授業だったからね」
「………」
 世間話のような会話が、何かの呪文のように美和子の身体を呪縛していく。
「桂木さんも、学年で1番を取るだけで満足していちゃいけない。それに現代文の成績は他に比べれば今ひとつ芳しくない。桂木さんにも、もっと瑞々しい感性が必要だと僕は思う。その点で言えば、吉田さんは優秀だ」
「………由紀ちゃん…ですか…?」
 突然出てきた生徒会のメンバーの名に、美和子は小さい声で問い返した。
「他の教科は今ひとつでも、国語の授業では良い成績を残している。いつも生徒会の仕事ばかりしていて、勉強はあまりしていないようだけれどね。なぜだと思う?」
「え…あ…あ…か、感性ですか?」
「そうだね。桂木さんも、記憶力を生かしたオウム返しは一流だ」
「あ、は、はい…すいません」
 美和子は思わず謝っていた。
「そう、そうやって人に逆らわないのも桂木さんの特技だね」
「………」
「自分がどうしたら人が反応するのかをよくわきまえている。例えばこの三つ編み…」
「あ…!」
 月島は手を伸ばして、美和子の髪を無遠慮に撫でる。
「時代遅れだと自分でも思っているんだろうけど、こういうイメージが先生や家族に喜ばれる事をよく知っている。クラスメイトからも、特に良くも悪くも思われない、ただの地味な女の子で済ましてもらえる事を知っている」
「べ、別に、そんなつもりじゃっ…!」
「僕はこの学校で…いや、知っている高校生で、君以外にこんな髪型にしている子を見たことはないよ」
「こ、こうすると髪の毛が伸びても楽だし、切るときにもあまり気にしなくていいんですっ!」
「早いうちにお母さんをなくして、お父さんも実家の方からの借金が大変らしいね」
「………!!」
「地域社会というのは狭い物だよ。本当にうんざりするくらいにね」
「…そっ…それでっ…」
 美和子の声が震え始めていた。
「それで、私に何をしようと言うんですか…!?」
 最初の、部屋の隅に追い込まれた時の動揺とは違う、歯がみしたくなるような震えだ。普段はほとんど出さない感情を剥き出しにして、美和子は月島の顔をにらみつけていた。同情を買うことには慣れている。同情だけで、実質的な支援を何もしてもらえない事にも慣れている。今の世の中とはそういう物だと、小学生の時から美和子は自分に言い聞かせてきたものだ。
 しかし、面と向かって自分の不幸を口にされると言う屈辱を味わったのは生まれて初めてだった。
「そう怖い顔をするもんじゃないよ。僕は桂木さんにプレゼントをしようというだけなんだから」
「プ、プレゼント…?」
「そう。桂木さんの感性を育てるためのプレゼントだ」
「い、要りません、そんな物」
 美和子は警戒をゆるめずに言う。月島が最初に制服の胸の辺りに触れてきたショックが、未だに美和子を支配していた。感性、プレゼント、聞けば聞くほどに胡散臭い。一度生まれた猜疑心は消える事はなかった。
「わ、私、帰ります!」
 いつでも叫び出せるような心構えをしながら、美和子は床に散らばった書類をまた集め始めようとする。生徒会室は音楽関係以外の文化部の部室の並びにあって、人がいる割にはいつも静かな所だ。そこに女の叫び声がこだますれば、何事かと皆駆けつけてくるはずだった。入り口のドアは閉まっているし、カーテンも閉じたままだが、鍵が掛かっていないのは間違いない。美和子はちょうど今、職員室に鍵を取りに行こうとしていた所なのだから。月島が無理な行動に出るのはまず不可能なはずだ。
「………」
 美和子が紙を拾い集めて、とん、とんと音を立てながら揃えているのを月島は平然とした顔つきで見守っていた。
 それをクリアケースに入れ直し、プラスチックの留め具をきちんと掛け、小脇に抱える。そして、ぱんぱんとスカートを払う。
「鍵、取ってきます」
 美和子は立ち上がり、ありたけの冷たさをにじませて月島をにらみ上げた。
「プレゼントは、結構です」
 ひとつひとつ区切ったような、拒絶の言葉。
 何をしても上手くこなすこの生徒会長に対して、美和子は普段から気後れする物を感じていた。人当たりも良く、勉強もスポーツも一流、生徒会の仕事も無難にこなす。
 その月島を、裕福な人間だという事で憎むことができるとは美和子も思っていなかった。美和子はどこかカタルシスにも似た感情を覚え、今度は皮肉っぽい目で月島の事を見つめる。
『………』
 美和子は、色々と言われたぶんと同じくらいの時間、そうやって月島を軽蔑しているつもりだった。
 ……
 ………
 ちりっ…
「…え…?」
 ちり…ちりちり…ちりっ…
「…え…え…」
 ちりちり…ちりちり…
「…あっ…ああっ!?」
 がたっ…
 クリアケースが滑り落ちる。
 ばさ…ばささっ
 美和子がたった今拾い集めたばかりの書類が、再び床に散らばる。
 ちりちりちり…
 しかし、美和子はそれを嘆く事もせず、かと言ってまた拾い集めようともせず、全身をこわばらせていた。気丈な目が段々虚ろになり、じわじわと涙液があふれ始める。歯や指やまぶた、ありとあらゆる微細な箇所が熱に浮かされたように震え始める。
 ちりちりちり…
「あ…あ…」
 その状態は、十数秒に渡って続いた。それが過ぎると、美和子は少し表情に落ち着きを取り戻す。目の焦点が合い始め、自らの手の震えを押さえ込むようにぎゅっと拳に握る。
 こくっ…、と美和子が口の中に溜まったつばを飲み込んだ。
「な、なにをしたんですか」
 震えを何とか抑えて、美和子は月島に問う。
「言っただろう? プレゼントさ。いつも頑張っているのに恵まれない桂木さんへのプレゼントだよ」
「何の薬なんですかっ…まさか…」
「薬物なんかじゃないよ。第一、僕が桂木さんに一服盛るチャンスがどこにあったんだい? 君は持ってきているお弁当に薬物を混ぜられるほど、荷物を適当に扱っているのかな?」
「じゃ、じゃあガスみたいなもので」
「そんな物が現実にあるのかな。ま、あったとしても、それじゃあ僕まで影響を受ける事になっちゃうね。しかし、僕は見ての通り何ら変化を受けていない」
「だ、だったら」
「いい加減、自分の常識が全てだと思うのをやめにしたらどうかな? ほら」
 ちりちりちりっ…
「あっ…うああああっ…」
「ほら」
 ちりちりちりちりっ!
「い、いやああっ…やめて…やめてっ!?」
「これは僕の意志でコントロールできる。決して薬物なんかじゃないよ」
「う、うーっ、うーっ……っ」
 美和子はぽたぽたと涙を流しながら苦しみの声を漏らす。そしてしゃくり上げるような音を立てると、何か恐ろしい物を見ているような目つきで自分自身の身体を見つめ始めた。
「どうだい?」
「かっ…からだ…が…」
「もっと強くしてあげよう」
 ちりちりちり…
「いっ…や、やめて…くださいぃ…か、からだがっ…!?」
 美和子は身体を飛び上がりそうなほどにひくつかせると、次の瞬間信じられない行動に出た。
 …ずるっ…
 艶めかしい肌が生徒会室の空間に露出する。ふっくらとしたヴィーナスの丘が、あるべきではない所で晒される。
 ぐぐうっ…
「うはぁーっ…」
 何かに貫かれたような悲しい声が響いた。実際、美和子は貫かれたとも言える。無垢のクレヴァスを、自らの指の侵入によって。
 ちゅくちゅく…くちゅ
「んっ、んっ、んっ」
 一瞬の前までは20年前でも通用しそうな丈の長さのスカートに覆われていた部分は、完全なまでに露出され、早くも蜜液で熱く満たされつつあった。常識を逸したレベルの身体の変化である。
 美和子は、保健の教科書すら開くのを嫌がるような少女だったのだから。
「おやおや…こんな所で、桂木さんは何をしているのかな?」
 月島が美和子のおとがいを指先でくいっと持ち上げる。
「う…うっ」
 美和子は絶望と恥辱に染まった真っ赤な顔で月島の事を見つつも、指を止めることは出来なかった。その刺激によって、美和子の身体は初々しい蜜液をとどめようが無いほどに吐き出す。性に明るい少女であったとしても、これほどの反応を示すことなど普通はないはずだ。明らかに、美和子の身体は異常をきたしていた。だが異常をきたしているという事を認識しても、淫乱に振る舞う自分の指を秘部から離す事はできない。身体の奥からにじみ出す粘液を止めることも出来ない。
 そのあふれかえるような液体を美和子は何とか手の平で受け止めようとしたが、時間稼ぎにしかならなかった。たらり、たらりと指の隙間からこぼれ落ちた蜜液が、飾り気のない小学生の履くような木綿のショーツの上に次々とシミを作っていく。
 それを嫌がって美和子は腰を動かそうとしたが、根本的な解決にはなっていなかった。制服のスカートに掛かろうと、安売りしていた白の靴下に掛かろうと、上履きに掛かろうと、はたまた生徒会室の床に水たまりを作ろうと――そうすれば、当然書類もびしょびしょに濡れていく――、その雫の全てが美和子の築いてきた何かを崩していっているのは間違いない。
「さっきまでの元気はどこに行ったんだい?」
「はんっ…はああっ…!」
 月島の言葉に答える余裕など無かった。いつしか、美和子は自分の最も敏感な部分を探り当ててしまっていたのだ。性器の一部分としか思っていなかった部分が、はじけるような快感を産み出す器官だったと知るやいなや、美和子はその部分の虜になってしまう。
 固く尖り始めた部分をくりんくりんと転がすように撫でると、美和子の無免疫な身体は限界を越えた快感の流入を塞ぎ止める事ができなかった。
 月島がピン、と押さえていた美和子のおとがいを跳ね上げる。
 ちりちりっ!
「んああああっ!!」
 動物のような締まりのない声と共に、美和子がお下げ髪を壁に押しつける。そのままぐりぐりと頭を壁に押しつけて悶えた後、
 ビク、ビクッ、ビクっ、ビク…
 美和子は生まれて初めての絶頂を迎えた。
「あっ…あっ…あっ」
 一定の間隔を置いて痙攣する自らの身体を、美和子はどうすることもできなかった。ただ、その肉体的な脈動に身を任せるだけである。それがどういう意味を持っているのか、どうすればいいのか、そんな事はもう美和子にはわからなかった。ただ、これまで感じた事がないほどに美和子は純粋な快感を味わっていた。
「もう、君は逃れられない」
「ふはぁ……はぁぁっ……」
「せいぜい予習と復習に励むことだね。自分の部屋が好きな桂木さんにはお似合いじゃないかな」
「あ…はぁ…」
「あ。そうそう」
 月島は未だに絶頂の余韻にひくひくと身体を痙攣させている美和子を後目に、ズボンのポケットから財布をとりだした。
 くちっ…
「んふぅっ」
「じゃあ僕は帰るよ。後はよろしく」
 媚肉の間に差し込まれた一万円札は、美和子の蜜液に濡れて、膨らんだ敏感な突起に当たって、それでも一万円札だった。