Daily-EROtic 香奈子

12/18
「………」
 太田さんの着ている、緑色のパーカーのチャックを下げていく…
 サイズが少し大きめなせいか、子供っぽい印象が強かった。制服を着ている時の太田さんのイメージから考えると、ちょっと離れている気もする。
 …カチッ。
 そんな事を考えながらも、僕はチャックを一番下まで降ろした。パーカーの前が開いた状態になる。その下には少し落ち着いた感じの赤茶っぽいブラウス。
 それは色の上でもパーカーとコントラストを示していたが、やはりそれ以上に身体のラインがはっきり見えてくるという違いが大きかった。パーカーの厚めの生地の中でよくわからなかった太田さんの胸の膨らみが、ブラウス越しによく分かるようになる。
「触っても…いいかな」
 僕は太田さんに訊いた。
 たっぷり5秒ほどもブランクを置いてから、太田さんはこくりとうなずく。どこか機械的にも思えてしまう、そのうなずき。
「………」
 僕は太田さんの頬に手を当てて、軽く撫でてみる。
 すべすべした綺麗な肌は、あの事件の時の包帯に巻かれた掻き傷を全く残していなかった。事件の前の時のままの、白くて張りのある太田さんの肌だ。特別に何か訴えかける顔立ちをしているというよりも、清潔に活動的に整っているという印象がある太田さんの顔。優等生でありながらさっぱりとした性格で、異性からも同性からも好かれる太田さんによく合った顔立ちなのだ。
 今はまだ、その活発な性格は戻ってきていないけれど…見た目の上では、太田さんは事件の前に戻りつつある。着ている服も、個性を感じさせない地味な物から段々とおしゃれを感じさせる物になってきているのが分かる。
 あとは、心が元通りになってくれるのを待つばかりだった。
 それが元通りになった時に、太田さんがやっぱり僕の所にいてくれるのかは分からないけれど…僕は太田さんが事件の前と同じような笑顔を取り戻してくれる事だけは真剣に願っている。
「長瀬くん」
「…何、太田さん?」
「しないの」
「…うん、するよ…」
 短い、感情を潰してしまったような太田さんの言葉を全て本心と信じてしまっていいのかはわからない。でも太田さんの言うことに矛盾はなかったし、意味不明な事を言ったりする事もなかった。学校にだってちゃんと来ているし、宿題もテストもみんなと同じ物をしている。
 だから、昨日学校から帰るときに人気のない細い路地で、太田さんが僕に言ってきた科白も信じていい…はずなのだ。
 最初はあの事件の時のような中毒がまたやってきたのかと思ってぎょっとしたけど、太田さんはあの時のような狂気を全然感じさせずに僕に言ってくれた。「長瀬くんに、してもらいたい」と。
 単純に狂った欲望が再来しているというのなら、そんな言葉は出てこないと思う。僕が太田さんの入院中、病院に足繁く通ってお見舞いをしていた事に対してお礼を言ってくれた、その直後に太田さんは「してもらいたい」と言ったのだ。しかも、「長瀬くんに」。
 …ぐっ。
 僕は太田さんの程良い胸の膨らみに両手を当てた。片方の手で片方の胸、おわんのような形をしたその膨らみに手を当ててみる。
 ブラウスとシャツ、ブラジャーの生地を通してではあったけれど、その柔らかそうな様子は十分感じられた。
 くっ…くいっ…
 何度か揉むような力を加えてみると、太田さんの胸が僕の手に弾力を返してくる。その、女の子としての存在を強く感じさせる感触に僕はすっかり魅了されてしまった。
 ………
 本当だったら、太田さんが元に戻るまで僕は待つべきなのかもしれないけれど…
 太田さんと早くひとつになりたいというわがままは抑えきれそうにない。
「これも、脱がしちゃうね」
 僕は太田さんの反応を一瞬だけ待ってから、ブラウスのボタンに手を掛けた。
 小さなボタンを、ひとつずつ丁寧に外していく。その外す作業が楽しくて仕方なかった。自分の服を脱ぐときのようにスムーズにはいかなくても、その厄介さがかえって嬉しかった。
 …ぷつっ
 そして、一番下までボタンを外してしまう。パーカーに続いてブラウスの前も開いて、あとは濃いグレーのシャツとブラジャーだけだ。
「身体、ちょっとだけ起こしてくれる?」
 そう言うと、太田さんはすぐに身体を浮かせてくれた。何か判断を要求するような言葉でない限り、太田さんはすぐに反応してくれる。
 …ぱさっ。
 僕は太田さんのパーカーとブラウスの袖の部分をまとめて脱がし、半分に折ってベッドの隅に置いた。さらに太田さんのシャツの裾をつかんで、上にどんどんめくり上げていく。
 途中で薄紫の色をしたブラジャーが見えても、そこを観察するのは後回しにして脱がしていく。
 …すぽんっ。
 割合にタイトだったシャツが、太田さんの頭から脱げた。
「ありがとう、降ろしていいよ」
 ばふっ。
 太田さんは僕が言うのとほぼ同時に、身体をベッドの上に落とす。僕は太田さんの乱れた髪を軽く手で整えてあげてから、裏返しになっていたシャツを表に直して上着の所に置いた。
「…こっちも、脱がすね」
 僕がスカートに手を当てると、太田さんはまた腰を少し浮かせてくれた。表情も変えず、素直に身体を動かしてくれている太田さんの姿は端から見れば可笑しく見えるのかもしれないが、太田さんの腰の部分に手を当てているとそんな余裕はまるでない。心臓がドキドキと早鐘を打ち始める。
 だけど、そうやって太田さんに無理な姿勢をずっとさせるわけにもいかず、僕はスカートについている大きなボタンを外した。そして、それを引っ張って下まで降ろしていく。本当はもう少し気を使った脱がせ方をしたかったけれど、そこまで考えていられなかった。とにかく太田さんのスカートを脱がすだけで精一杯だ。
 ヒップの部分を通り過ぎると、太田さんはすとんと腰をベッドの上に落とす。そこからは別に慌てて脱がそうとする必要はなかったのけど、僕は引きずり下ろすような勢いのままでスカートを脚の先まで脱がしてしまった。早く太田さんの身体を見たかったと言うよりは、動揺し過ぎていたからだと思う。
「………」
 …僕が顔を上げると、下着だけの姿になった太田さんがいた。
 薄紫色で、多少の装飾があしらわれたそろいの下着がスレンダーな身体にぴったり張りついている。感情を見せない透明な太田さんの瞳も、いつもよりすごく魅力的に見えていた。あの事件の前に太田さんがこんな目をしていても、不思議ではなかったんじゃないか…そう思わせるくらいに。
「太田さん…」
 僕は膝立ちになり、彼女の身体にまたがる状態で身体を上の方にずらしていく。
 そして、僕は太田さんの胸を覆う生地に手を伸ばす。上手くはずせるかどうか自信が無かったが、背中に伸びているひもの部分をたどって、そこにある金具を指でカチャカチャと動かす。
 幸い、それは闇雲に動かすだけでも簡単に外れてくれた。僕はひもをつかんでブラジャーを持ち上げ、二つ折りにして太田さんの服の上に重ねる。
 そこにある膨らみは、とても綺麗な形をしていた。僕は吸い寄せられるようにして手の平をふたつの膨らみにかぶせ、そっと揉んでみる。
 くにゅっ、くにゅという滑らかで心地よい弾力は、挑発するような猛々しい魅力とは違う、包み込むような優しい魅力を僕に感じさせた。その不思議な柔らかさを十分に堪能してから、僕はいよいよ太田さんの核心の部分へと手を伸ばす。
「…脱がすね」
 僕は太田さんの顔を見ずに、つぶやくようにして宣言すると、両手で太田さんの下着をめくっていった。
 陰毛に覆われた女の子の部分が目に入ってくると、頭がかーっと熱くなってくる。僕はほとんど何も考えられないままにショーツをずるずると下げていき、足の所から抜き取った。まだ温度の感じられるそれをやはり二つに畳んで、太田さんの服の上にまた重ねた。
「はぁっ…」
 自然と、息を大きく吐き出してしまう。
 太田さんが、完全に無防備な状態で僕の前にいた。3ヶ月前には想像もできなかったことだ。
 そこを触ろうとしているというだけで恐怖に近い不安感が生まれてきたが、僕はありったけの勇気をかき集めて太田さんの性器に手を触れさせた。
 ふわっとした叢(くさむら)をかき分けて、熱を帯びた陰裂を指で広げてみる…
 その鮮紅色の粘膜が見えている部分に、僕は自分の指を当てた。ちょっとぬめついた熱い感じ。女の子のナマの体温だ。
 僕はできるだけ太田さんの顔を見ないようにして、その繊細な部分を指でまさぐった。一番の目的、入り口がどの部分にあるのかという事を確かめると、あとはどこということもなく指を這わせていく。自分の心の準備をするという意味の方が強かった。
 くちっ…くち…
 しかし、太田さんの身体はぬるぬるした液体を分泌して僕の指の動きに応えてくれる。たぶん、同年代の普通の女の子に比べても太田さんの身体は性的に十分開発されてしまっているのだろう。あの事件の最中に、どれほど月島さんや女の子達と交わったのかは分からないけれど、短い期間にかなりの回数を体験したはずだ。
 僕はその事に感謝するべきなのかどうか迷ったが、しばらくの間その不安定な愛撫を続けていた。見ているだけでも、太田さんの身体から熱い液体がにじみ出してくる変化がはっきり感じられる。太田さんの漏らす吐息の音も、さっきに比べて大きくなってきたようだった。
 それに合わせて、僕自身の欲望もこらえきれないほど大きくなってくる。
「…太田さん。いい?」
 僕は太田さんの顔を見据える。太田さんの落ち着き払った顔を見ていると僕の方が真っ赤になってしまったが、必死になって目をそらさずに太田さんの事をじっと見つめる。
「…いいよ、長瀬くん」
 太田さんが答えてくれたのは、いつものように5秒ほどのブランクを置いてからのことだった。
 僕は、一度太田さんの身体から横にずれて、シャツとトランクスを脱ぎ捨てる。今日初めて履いたトランクスは、脱ぐときもなんだか不自然な気がした。履いた状態から脱いだ状態になったのか、脱いだ状態から履いた状態になったのか、どっちかよくわからない気がする。
 ただとりあえず確かな事は、勃起したペニスを太田さんの前で露わにしているという事だ…
 僕は身体を思い切り前傾させた状態で、太田さんの上に覆いかぶさっていった。太田さんの顔が目の前に来るというのも恥ずかしいが、思いっ切りペニスを見られてしまう方が恥ずかしい。
 …くちゅ
 体勢が整うと、僕は指を太田さんの秘裂に当てて少し開き、そこにペニスを押し当てていく。そしてぬるんとした粘膜にあてがったペニスの位置を、さっきの記憶を頼りに動かしていった。
 くちゅっ。くちゅっ。
 その場所で、ペニスを軽く押し出してみる。粘液の絡む音がして、何かをこじ開けるような感触がペニスに伝わってきた。ここで、間違いない。
「いくよ」
 僕は太田さんの目を見ながら言った。
「うん」
 太田さんはあくまで静かな、なだらかな声質で答える。その様子は僕に平静をもたらすと同時に動揺ももたらした。結局合わせて、元と同じくらいだ。
「はぁっ…」
 息を吐き出しながら、僕は腰を前に突き出す…
 ずちゅう…
 重くぬめった音がして、ペニスが太田さんの中に入っていく。
 抵抗はほとんどなかった。太田さんの中は熱い粘液に濡れていて、僕のペニスを入った所からぎゅっぎゅっと締め付けてくる。
「んっ…」
 生まれて初めて感じる女の子の中は、思わずうめいてしまうほどに気持ちよかった。
 ずちゅっ…ちゅ…
 ペニスが根元近くまで入ると、全体にぎゅうという締め付けが加わってくる。そのまま溶かされてしまいそうな気さえした。
「長瀬くん、動いて」
「えっ…う、うん」
 慌てて答えた僕は、きっと情けない顔をしていた事だろう。
 ずちゅっ…ちゅぐっ
 僕は斜め後ろに腰を引き上げてから、えぐり出すようにペニスを送り込んだ。
「んふぅ…」
 太田さんが初めて表情を変える。切れ長の目が潤んで半分閉じられ、いつもとは違う可愛らしい弱々しさを感じさせた。事件の直後の抜け殻になったような状態とも違う、最近の静やかな大人しさとも違う、事件の前の活発な様子とも違う。等身大の女の子という言葉がふさわしい、壊れてしまいそうな瞳だった。
 ずちゅっ、ちゅぐっ…ずちゅっ、ちゅぐ
「あ…ああっ…んんっ…」
 太田さんは僕が腰を突き出すたびに鼻に掛かった声を出す。何回か抽送を行う内に、太田さんは目も閉じてしまった。
 ぢゅぐっ、ぢゅぐっ
「あうっ、あう…」
 がつっと叩きつけるほどの強いストロークを入れると、太田さんはあられもない声を出して身をよじらせる。ぎゅぎゅ、という強い締め付けが返ってくる。
 ぢゅぐ、ぢゅぐ、ぢゅぐ…
 太田さんの中が滑らかで動きやすいせいか、僕は割と早く動き方のコツをつかむことができた。
「んっ…ふ…あ…」
 僕が気持ちいいように動いているだけでも、太田さんは身悶えしてくれる。天国にいるような気分だった。自分の好きなようにして自分も相手も気持ちよくなれる、これほどの幸福は滅多にない。
 ぢゅぐっ、ぢゅぐ…ぢゅぐぢゅぐぢゅぐっ…ぢゅぐっ
「う…はぁっ…」
 ありたけの力を使い、連続して太田さんの中を突いていると猛烈な勢いで射精感がせり上がってくる。
「はあっ、ああーっ…あっ、あっ、うあっ」
 メチャクチャに突かれて大きな喘ぎ声を出している太田さんの反応をギリギリまで見つめ…僕は腰をぐいっと引いた。
 びゅるっ、びゅぷ! びゅっ、びゅじゅっ…びゅ
「ん…はぁ…あ」
 ペニスを横に向けるヒマもない、僕の出した精液はそのまま太田さんの身体に掛かっていく。一番勢い良く飛んだのは、太田さんの頬まで到達していた。そこから陰毛の辺りまで、点々と白い液体が付着している。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
 肩を上下させながら呼吸している太田さんは、身体についた液体を気にもしていないようだった。今の太田さんなら、身体の上に出してしまっても文句を言うことはないと思ってしまった事に罪悪感を覚えつつ…それでも、僕はあこがれの人と交わってしまったという至福の感情に浸りきっていた。



11/3
 ぐにゅぐにゅ…
「あっ…お、太田さんっ…」
 赤ん坊のような、無邪気な指さばきが僕のペニスを揉むように撫でてくる。
 ぐにっ、ぐにっ、ぐに…
 太田さんの指先は、狂気を感じさせる包帯に覆われた顔や発情しきった瞳にそぐわないほど、ひんやりとしていて女の子を感じさせた。多少乱暴に扱われていても、太田さんのあのすらっと長そうな指が嬉しそうに僕のペニスに絡んでくると思うだけで背筋が震え上がるほど気持ちよくなってしまいそうだ。
 精神がどんな状態なのかとても想像はつかないが、太田さんの指はまだまだ教室でシャープペンをすらすらと滑らせている時の理知的で綺麗な指と同じように思えてしまうのだから…
「いい格好じゃないか」
 太田さんの後ろに立った月島さんが、僕を見下ろしながらからかうように言う。
「………」
 僕は目をそらしたかったが、体はぴくりとも動かなかった。
 ぐにぐにっ…
 太田さんは僕の太股の辺りを両脚まとめて持ち上げて、ペニスをいじっている。腰の部分も床につかず、背中だけを床につけさせられている状態だ。月島さんの目には、僕の脚の間が全て見られてしまっていることになる。太田さんに責められている勃起したペニスから、後ろまで…
「…そうだ、太田さん…」
 月島さんの目がいやな輝きを見せる。
「…ほら、太田さんの大好きなものだ」
 そう言って、月島さんは僕のペニスを爛々とした目で見ている太田さんの頬にピンク色をした玩具を押しつけた。呼びかけには全く応じていなかった太田さんが、ゆっくりとそれに目を向ける。
 ぱっ!
 そしてそれが何であるのか気づくと、月島さんの手から奪うようにしてピンク色のリモコン式ローターを受け取った。僕のペニスから完全に興味を失ったようだ。
 ヴィー…ヴィー…
「うあ…あああ」
 太田さんは僕の脚を抱えたまま、膝立ちになってそこから思い切り脚を開き、高い音を立てるローターをぐりぐり押しつけ始める。月島さんがスイッチを入れてやったようだ。
 ヴィ…ヴィー…
 一転して、僕は鑑賞者になる。視線の端に映る太田さんの自慰から、目をそらす事は僕には出来ない。
 もっとも、顔が自由に動いたとしても、そこからきちんと目をそらせていたかは少し疑わしいが…
 あの太田さんが、自慰をしている。あられもなく性器を見せつけながら、高速振動を自分の感じる所に押しつけている。ぐちゅっぐちゅっという音を立てながら、濡れた部分をかき回している。実際に見る女の子の自慰は、あまりにリアルでいやらしかった。
 ちり…ちり…
「うっ…!?」
 その時、頭の中に、またあのちりちりという感覚がやってくる…
「太田さん、ストップ」
「………」
 あれだけ自慰に夢中になっていた太田さんが、ぴたりと指を止めて月島さんの事を見上げていた。
「それがどれだけ気持ちいいのか、彼にも教えてやりなよ」
「えっ!?」
「彼も、お預けを食らってうずうずしているはずだからね」
 ヴィーヴィーヴィー…
「うあっ…!」
 濡れた振動が、僕の後ろの方を襲う。太田さんは月島さんの命令を何のためらいもなく実行しようとしていた。
「や、やめっ…太田さん…!」
 何かが口元にこみあげてくるような感触を覚えながら、僕は懸命に体を動かして逃げようとする。だがやはり体は動かない。太田さんに脚を持ち上げられて弱い部分を丸見えにしている状態から、ほんのわずかにも動かない。
 ヴィーヴィーヴィー…
「うっ、かはっ、ああぅっ」
 太田さんが圧力を段々強くしてきているのがわかる。苦しさも、それに比例して大きくなってくる。
 ちりっ…ちりちりちりっ…
「ああっ!?」
 僕は思わず叫んでいた。
 脳天を直撃するような激しい電波が叩きつけられたのだ。
「もうちょっとゆるめてもらおうか」
「あっ…あぐ…」
 全身が弛緩していく。電車が減速して止まるような感じで、僕の体が弛緩してゆるゆるになっていく。
「太田さん…」
 ぐぐ…ぐぐぐ…
「あっ、あーっ…!?」
 だめだっ…
 もう入りそうになっている。それが、自分でもよくわかった。震える部分が外側だけじゃなくて、内側にまで触れてきているのが感じられる。
「女の子がどういう風に感じるのか、キミもよく勉強するんだね」
 月島さんは、最初に太田さんにローターを手渡した時と同じ瞳で僕を見つめていた。頭のいい人間がバカらしいことを考えついた時に、こういう瞳をするのだ。僕は妙な納得を感じていた。
 ぐ…ぐぐ…
「あっ、ぐぅ…」
 しかし、今はそれどころではない。太田さんの愛液のぬるっとした潤滑も加わり、ローターは今にも…
 ぐ…ぐぐぐ…
「ああっ…うああああぁ…」
 入れられて、しまった…!
「あっ…くぁ…」
 灼熱の物体が入っているような、重苦しい感触だった。それにくわえて、えぐるような痛みが僕の腸内を襲ってくる。激しく貶められている、そんな事を感じずにはいられない痛みだった。
「どうだい? 初めてを失った気分は」
「と、止め…」
「なかなか苦しいもんだろう? そこから永遠に抜け出せないんじゃないかって、そういう事を思わせる苦しさだろう? 僕は、直接には経験したことがないからわからないけれどね」
 ヴヴヴヴヴ…
 月島さんが言う間にも、中はえぐられ続ける。
「しかし」
 ちりっ…ちりちりちりっ…
「うあっ!?」
 脳にまた電撃が走る。そのパルスは、あっという間に体を駆け抜けて僕の腸内を包み込んだ。
 ちゅぼっ!
「あっ…ああっ…」
 その時、太田さんが僕の両脚を離して、吸い込むように僕のペニスをくわえこむ。ずっと放っておかれたペニスは、後ろで感じている苦痛とあいまって甘すぎる快感を僕に与えた。
 ちゅぱ、ちゅぱ…ちゅぷるっ
「うっ…はぁ」
 積極的に舌を使う太田さんのフェラチオ。それを感じている間に、ねずみのようにせわしなく走るパルスが、腸内の感覚とペニスの感覚を結んでいく…
「んっ…あっ、あっ…あ…」
 なにか、痺れるような感覚が生まれてきていた。
 さっきまでえぐられていた部分が、麻痺したようになって痛みを感じなくなってきている。代わりに、どんよりとした異物感だけが僕の中に生まれている。
 ちゅぷ、ちゅぷ。ちゅる…
 それに、太田さんの絶妙な舌の動きが気持ちいい…
 こ、これって…?
「苦しさを感じるよりも、快感に思ってしまった方がもっと抜け出せない無限地獄のようになることもあるのさ」
「か、快感なんか…!」
 ちり…ちりちりちり…
「あっ…!」
 全身が一瞬ビクゥッ、と収縮しそうな気がした。
 ヴヴヴヴヴ…
「うっ…あっ、あああああああぁっ…」
 だ、だめだ…
 痺れていた部分が、一気に快感を感じる部分として開花したような感覚だった。痛みを感じていた部分というのがウソのように、内面からのくぐもった快感が僕を襲ってくる。
 ちゅぽん。
 太田さんが、僕のペニスから舌を離した…
「さあ太田さん、彼がこのまま出してしまう所を見届けるとしよう」
「そんな…バカなことは…」
 僕は精一杯に強がって見せたが、うねるような射精感はもう腰の奥底にドクドクと溜まりだしていた。しかも、太田さんが口を離したというのに止まらない…ローターの鈍い振動が、どんどん僕の快感を引き出してくるのを誤魔化すことは出来ない…
「うっ…はぁっ、はぁっ…」
 呼吸を乱しながら、僕は必死で括約筋を締め付ける。だが、それはローターをよりきつく感じてしまう結果を生む事に他ならなかった。
 ヴヴヴヴ…
「くぅぅぅっ…」
 かと言って…このままゆるめていたら…
「限界だね」
「う…ううっ、ううっ、ううううーっ…」
 ぷちゅっ、と半透明の液体がペニスの先からほとばしりでた。
「くっ、くっ、くふぅぅっ…」
 慌てて、ありたけの力でバルブを締め付けようとした結果…僕は、ローターの振動を最強に近いまでに受け止めてしまうことになり…
「っ!」
 びゅっびゅびゅっ!
「あっ…」
 …びゅっびゅっびゅっ……びゅっ、びゅっ、びゅっ、びゅっ、びゅっ…
 一度放出が始まってしまうと、止めることはもう不可能だった。僕は床の上に自分の精液が、信じられないほどの量吐き出されていくのを呆然と見つめる。
「無様だね」
「………」
「でも、奪われているばかりじゃキミのような奴は被害者面をし始める。次はキミが奪う番だ」
「………?」
 未だローターの振動は止まっておらず、僕は月島さんの話を霞がかった状態で聞いていた。
 …がちゃり。
「ユ…ユウくん!?」
「ご苦労様。その子をこっちに連れてきてくれるかな」
 そして僕の耳に入ってきたのは、怯えきった新城さんの声だった…



10/8
「はぁ…はぁっ…ふはぁぁっ…」
 自分でも、何をしているのか全然わからなかった。ただ、自分が獣のような息をしているのはわかる。それが耳元に吠えかけてくるように聞こえる。今にも何かで死んでしまいそうな、でもそれがなぜ死ぬのかはわからないような、そういう気分だった。
 ぐちゅぐちゅぐちゅ…
 あそこに、固いものが当たっているのがわかる。引っかき回すように乱暴な動き方で、私のあそこを細い棒状のものが撫でている。さっきまで使っていたシャーペンの頭で、私の手が敏感な所を刺激している。止めたくても止まらない。止めようとした瞬間、全身が壊れてしまいそうな恐怖がある。だから、性器からビリビリと生まれてくる電流のように鋭い快感を止めることもできない。
 ショーツがねばねばした液体で濡れてきてしまっているのを、止めることもできなかった。下ろす暇すらなかった。日記のノートの上から、一直線にショーツの中にシャーペンをもぐらせてしまったのだ。パジャマのズボンの隙間から入り込んだのが、鋭いペン先の方でなくて本当によかった。もし針のように尖ったペン先を頭にして入れていても、私は我慢できずにそれを使っていてしまっただろうから。
「うっ…うぁっ…うああっ!」
 せめて下の方を脱いだり、部屋の鍵を掛けたりしたかったが右手の方も胸を揉んでいる。左手も右手も、私の体をまさぐっていてそれ以外の事はできない。私にできるのは椅子から立ち上がる事くらいだ。それをしても自分の惨めな様子がはっきりするだけだと思い、私は椅子に座りっぱなしで両方の手を動かしていた。
 じり…じり…じり
 頭の中でトースターのタイマーが回っているような気分だった。たっぷりと時間をかけて、脳の中が焼かれていく。そうして取ることの出来ない、「焦げ目」が刻み込まれていく。その間、じりじりじり、と何かが意地悪く摩擦しているような音が頭の中に直接聞こえてくるのだ。
 ぐちゅぐちゅ。
 でも、気持ちいいのも…確かだった。
 ぐりぐり…
「ふぅっ…くぅっ…ううっ」
 どうしても手を押しとどめらない。私の手の角度が、少しだけ上に向く。それだけで、
「あうぁっ…!」
 固くなった突起の部分にシャーペンの先が当たり、はじけるような快感が生まれた。私は耐えきれずに机に倒れ込む。シャーペンの頭が包皮の下まで入り込んでいるのに、痛みよりも快感の方が大きすぎて気にならない。
「っ…ふぅぅ…うぅ」
 ノートの上に頬を乗せて、そのすべすべとした上質紙に頬ずりする。強すぎる快感に悶えて行ったことだったが、一度始めてしまうと気持ちよさのあまり止まらなくなってしまった。
 すりっ…すり…
「う…うう」
 段々と、頬をノートに擦りつける動きと固い突起を押し込む動き、胸を無茶苦茶に揉む動きが一緒になってくる。そのたびに、ねばねばした液が外にぴゅっぴゅっと出てくるような気がした。失禁しているような羞恥感もあったが、全身が熱くなってしまって何がなんだかわからない。自分のあそこが熱いプールのようになってくるのを、ショーツどころかパジャマまで湿ってきているのを、私は呆然と感じていた。
 ショーツを脱いだらむごい事になっているだろう…月島さんに剃られてしまったせいで、二日前から私のあそこは外からの視線に100%無防備になってしまっている。
 ぐりぐりぐり…
 じりっ…じりじりっ…じり…
 突起を押し込む動きを強くすると、頭の中の焼け付く感触は不整脈のように私を襲った。
「はぁ…うはぁっ…」
 涙もよだれも止まらない。ノートが雫で汚れていくのが見える。
 じりじりじりっ!
「!!」
 気絶してしまいそうになった瞬間…何かが一線を越えてしまった事を、私は理解した。
 ぐりぐりぐりぐり…
 機械のように、私はシャーペンを押し続ける。もう自分の意志なのかコントロールされているのかも定かでない。ただ気持ちよくなりたくて、自分の手を動かしていた。
「うっ」
 びくん…
 びくん、びくん…
 頭が真っ白になって、膣が痙攣するのがわかった。
「う…あ…あはっ…あははっ…あははははははははぁぁっ…」
 自分の顔がゆるんで、笑い出していくのを、自分でも気持ち悪く思いながら止めることはできなかった。もう私のノートは濡れて使い物にならなくなっていた。



8/20
 ………
 ぼそぼそとしゃべる教師の声…ほとんどの人間は聞いちゃいない。それには僕も含まれている。
 だけど、教師もほとんどの生徒に気を配っちゃいないのだ。当然、そっちにも僕は含まれている。そしてほとんどの生徒…いや、全ての生徒は僕に注目なんかしているはずがない。ごく少数の生徒が教科書に目を落とし、他の生徒は束の間の暇つぶしか居眠りにかまけているのだ。
 この恐ろしく視線に欠けた空間の中では、きっと僕の視線はぎらぎらと輝いている事だろう。視線を映すフィルムとかがあったら面白い。赤外線みたいに。
 そこで僕の視線は、暗く不健康な紫色のビームみたいに光って、教室の前の方の太田さんの後頭部に突き刺さっているのだ。
 実際、網膜はそのビームをぼんやりと映しているようにすら思えた。そうかもしれない。僕の網膜は、とっくの昔に現実を映す事に飽きてしまっているのだ。
 太田さんは…そう、その健康的で知的な風貌の中にローターを入れているのだ。僕が入れた。スイッチは当然入れっぱなしである。モーターの音がいつ教師や周りの人間にばれないかと恐怖しながら、太田さんは平静を装って授業を聞いているのだ。
 ぴったりと椅子についているお尻が、小刻みに震えているのが僕には見えた。僕以外の人間はそんな事を知らないのだ。ちょっと活発な所があっても、男友達もそれほど多くなく、ましてや恋人の噂が立ったことなど一回もない太田さんが処女じゃないなんて。
 太田さんの媚肉の中で無機質な物体が強烈に振動し、パンティをぐしょぐしょにしている状況が僕には見えた。あんまり愛液の量が多いものだから、染みだして椅子にまで濡れた跡がついてしまっている。彼女のそういう淫乱さを、誰も想像しない。
「えぇと、前回はこの列だったか…じゃあ、今日はこの列。太田」
「はい」
 静やかだが、自信のある声が教室に響いた。がたっと音を立てて、太田さんが立ち上がる。そして英文を、ちょっと気の利いた発音で読み始める。
 僕は狂喜した。世の中は思ったよりもうまく出来ているのだ。
「The more prevalent view of...」
 つっかえもせず、声を震わせもせず、太田さんは英文を読んでいく。女の子のプライドが作り出すパワーはすごいものなのだ。教師の目の前でローターをぶるぶる言わせているのに、何もないフリをできるなんて。
 太田さんの後ろ姿を見つめながら、僕は机の下に入れた右手を左手の上に乗せて、何かをつまむような形をさせた三本の指をゆっくりと回した。
「...linked by a purely formal system of...」
 心なしか、少し読むスピードが上がった。さすがに無反応ではいられなかったようだ。他の人間には、そんな小さな変化など誤差の範囲で済まされることなのだろう。でも、僕はその原因を知っている。半径1センチ、30度の回転がもたらしたエッチないたずらを。
「よしそこまで。じゃあ田中、訳」
 がた…
 太田さんが席に座る。だが腰を下ろした瞬間、太田さんが小さく身体を揺らしたのを僕は見逃さなかった。
 そのまま太田さんは机に両手を置き、顔を伏せてしまう。
 何事もないように次の人間はノートに書いてある訳を読み上げていたが、明らかに腰を下ろした瞬間に太田さんには変化が起こったのだ。耐えきれる快感のリミットを越えて、独り太田さんは絶頂してしまったに違いない。かれこれ数時間もローターを入れっぱなしだったのだから、そうなって当然だ。
 腰を下ろすときに慎重になりすぎて、周りの人間から不自然に思われないようにした結果だ。異物の挿入されたあそこが椅子にぶつかって、強烈な衝撃が生まれたのだろう。結果、ぎりぎりで耐えていた太田さんも快感の爆発を押さえ込む事ができなくなったのだ。
 衆人環視の中でイクなんて…
 僕はほくそ笑んだ。この事がバレたなら、清純活発な太田さんのイメージは台無しだろう。でも僕はそんな事をしない。周りからピュアだと思われている太田さんにそういう事をするのが、楽しいのだ。
 そして…周りからピュアだと思われていたいという願望が、太田さんを僕に縛り付けているのだ。
 まっ、これ以上いじめるのも可愛そうかな?
 僕は再び机の下に手を入れて、さっきとは逆側にひねった。
 そうしてからしばらく経つと、太田さんが伏せていた顔を起こす。ようやく絶頂から解放されたのだ。
 だけど、僕がまたいつ動かし始めるのかという恐怖に、ずっと太田さんは震えているはずなのだ…一度イッて敏感になった身体は、あっという間に彼女を追いつめて第二の絶頂に追い込んでしまうだろう。そうなれば太田さんも、ポーカーフェイスでいる事はできない。押し殺した嬌声を漏らしたり、愉悦を顔に浮かべたりしてしまうはずだ。
 僕は優しいから、そこまではしないけどね…
 慈愛の言葉を口の中で言ってから、僕は机の上に腕と顔を乗せて眠りに落ちていった。

「ん…」
 あちらこちらから喧噪が聞こえてくる。授業が終わったのだ。
「香奈子、今日の帰り服見に行くの付き合ってくんない?」
「いいわよ、何か目つけてるの?」
 そこの中から、僕はひとつの声を正確に選び取る。太田さんだ。そちらの方を向くと、女子と話をしている太田さんの姿があった。
「そういうわけじゃないけど…なんか最近服足りないなぁって。久々に香奈子の抜群のセンスに頼ってみたくなりました、ってとこよ」
「贅沢ね…それだから金欠だって騒ぐことになるのよ?」
「いーじゃない、人の勝手でしょ」
「あ、瑞穂も誘おうかな」
「あの子、言っても来ないんじゃない?」
「そうかも」
 勝手にしてくださいな…
 服の一枚や二枚、なんだと言うんだ。
 いつも通りの爽やかな太田さんの顔だけをイメージに焼き付けて、僕はまた眠りに落ちていった。休み時間の睡眠じゃ、夢を見ることすらできないとわかっていたが…


6/14
「だ、だめだよ」
「どうして?」
「ど、どうしてって、こんなのおかしいよ」
 瑞穂が身体をよじらせて抜けだそうとする。
 だが、瑞穂を捕らえている腕はびくともしなかった。同性の腕のはず、香奈子が運動をやっていたなど聞いた事がない。瑞穂の不安が急に膨らんでくる。
「か…香奈子ちゃん!?離して…」
「離さない」
「い、いやだよ」
「離さない」
 どこか機械的な口調。最近香奈子の様子がおかしかったのは確かだが、それが身に振りかかってくるとなればその恐怖は計り知れない。
 香奈子は、服の上から瑞穂の胸を揉み上げる動きを止めて、襟の部分から手を入れようとした。
「や、やめて…」
 瑞穂は顔を引きつらせて言う。今まで胸を揉まれていた動きはきちんと強弱を考えた動きだったが、左手だけで瑞穂を完全に拘束するだけの力を見せつけられては恐れずにいられない。
 香奈子は躊躇わずに手を服の下に入れる。すぐに窮屈な状態になったが、次の瞬間、
 び…びびっ!
 それなりに厚い生地で出来ているはずの制服は、ブラウスとシャツと一緒に引き裂かれてしまった。ブラウスはボタンが飛んだだけだったが、制服とシャツはそのまま破られている。
「ひっ」
 瑞穂が小さく息をのむ。今の音で誰かがか駆けつけてくれるのではという淡い期待もあったが、今は放課後の遅い時間。生徒会室の近くに誰か人が通りかかるはずもない。
 それに、ここに呼んだのは香奈子自身なのだから、絶対にバレる事はないと確信しているに違いない…
 ぶちっ。
 控えめなブラジャーが引きちぎられた。
「ふふふ…」
 香奈子の笑い声。瑞穂の背筋を寒いものが駆け上がる。改めて、親友の誘いに無防備でやってきた自分の軽率を後悔せずにはいられない。それが瑞穂の信頼の香奈子に対する証でもあったのだが…。
 ぐに、ぐにと香奈子が瑞穂の乳房に対する愛撫を開始する。
 快感など感じられるはずもない動きだったが、それは瑞穂の心の中の何かを壊していくのに十分な行為だった。
 首をかくんと垂れて、絶望と無気力の表情を浮かべる瑞穂に構わず、香奈子は胸への愛撫を続けていった。数分続けても、瑞穂の乳房を摩擦で腫れ上がらせるだけの効果しかなかったのだが、香奈子は不意に手を下の方に滑らせ始める。
 び…びびっ…
 残っていた生地が破れ、三枚の服が真ん中から綺麗に破かれていった。
 香奈子の手はそのまま下に進み、スカートの中にもぐり込んでいく。
「あ…」
 瑞穂がかすかに声を漏らした。
 スカートとショーツの方は生地に多少余裕があったため、いきなり破られる事はなかった。香奈子の手はあっという間にショーツの中の瑞穂の秘裂を探り出し、まさぐり始める。
 いきなり刺激されたのなら痛みしか生まれなかっただろうが、香奈子は乳房を刺激していた時に比べれば繊細なタッチで刺激を始めた。秘裂の入り口のぎりぎりの所、粘膜に触れそうなぎりぎりの所をなで回していく。
 性感に未知な少女にとって、それは極めて不十分な刺激だったかもしれない。しかし、香奈子は飽きもせずにその部分の刺激を延々と繰り返していった。そんな所を何分間も刺激されれば、生理的な反応として粘膜は肥厚せざるを得ないし、瑞穂のヴァギナは受け入れの準備を始めざるを得ない。
 いつの間にか、瑞穂は小さく吐息の音を立て始めていた。さっきまでは、ほとんど無音に近い状態で呼吸していたのに。
 香奈子は、瑞穂の反応が変化し始めても、慌てる事無く同じ箇所の刺激を続けていった。瑞穂は段々と身体が熱くなり始めている事を感じてくる。それを思考から振り払おうとすればするほど、思考の中で性行為の占めるウェイトが大きくなってくる。それは瑞穂の身体の反応に直結した。
 そしてある瞬間、なんの前触れもなく香奈子が指を秘裂の中に侵入させる。
「………!」
「うふ…ふふ…ふふ」
 その指先は、確実に熱い粘液を捉えていた。
 くちゅっ、という音が立った事で、瑞穂自身も自らの身体の反応をはっきり知ってしまう。瑞穂にとって、そういう反応は知識の上での事でしかなかった。それは…正常だった時の香奈子がもたらしたものである。
 まさか、その時は香奈子によってその反応が引き出されるとは思いもしなかったが…
 粘液で濡れた香奈子の指先は、瑞穂の極めて小さなクリトリスを探り当てた。
「はぅっ」
 瑞穂が初めて露骨な反応を見せる。
「ふふ…うふふふふふ」
 香奈子は含み笑いを続けながら、クリトリスをこすり続ける。決して優しい動きとは言えなかったが、女の細指がもたらすタッチはそれだけで滑らかなものになる。瑞穂は、徐々に快感の渦から逃れられなくなっていった。
 米粒ほどに勃起したクリトリスを触られる度、身体をじんわりした快感が包んでいく。未知の体験ではあったが、瑞穂ははっきりと気持ちよさを感じていたし、置かれている状況の異常さも忘れつつあった。
 同性、という事実が、むしろ嫌悪感より安堵感を生んでいるのか。瑞穂は頬を染めながら行為を受け入れていった。
 くちゅ、くちゅ、くちゅという水っぽい音が静かな生徒会室の中に響いていく。正方形に置かれた四つの長机の真ん中で、瑞穂はどんどん白いショーツを液体で汚していった。
「あ…香奈子ちゃん、何か来る」
「イク…」
「何か、何か来るよっ!」
「イク…イク…イク…」
「んんっ…」
 瑞穂が少し切羽詰まった、とろけ気味の声を漏らす。眼鏡の向こうの瞳をきゅっと閉じて、ほんの少し顔を反らせる。
「あ…ああっ」
 がちゃっ。
「………!」
 その瞬間、生徒会室のドアが開いた。
「ご苦労様、太田さん」
 月島生徒会長の声…だった。