Daily-EROtic 栞

12/15
「ゆ、祐一さんっ…!」
 栞が手の平でその部分を隠そうとしたが、祐一はそれを遮った。
 コットンのシンプルなショーツを脱がした下には、栞のひた隠しにしてきた部分が見えている。毛が全然生えていないのは、入院中に剃ってしまったのかそれとも元々なのか…。
「本当だったんだな…」
「い、いやですっ、お願いですっ、見ないでくださいっ…!」
 しかし一番のポイントは、栞の割れ目からはみ出している丸っこい部分だった。普段ならぴったりと閉じているはずの合わせ目を無理矢理に広げるようにして、ピンク色のモノが見えている。
 くにゅ…
「あっ…」
 その割れ目を祐一が指で開くと、それが小さな肉の棒であることがはっきりした。小指くらいの長さと、親指くらいの太さ。表面が淡いピンク色でつるつるしていて、皮の部分は先っぽの方までかぶっている。小学生のペニスをデフォルメしたみたいな感じだった。根元の部分も体にしっかりつながっていて、これが栞の一部分なのだとよくわかる。
 ちゅく。
「んふぅっ!」
 祐一はその肉の棒をそっと指でつまんでみた。既に先っぽから透明な雫をあふれさせている肉の棒は、そのひ弱な外見と打って変わってカチカチになっている。
 ちゅく、ちゅく
「ああっ…ふああっ…!」
 祐一は自身のペニスを思い浮かべながらそれをしごいてやる。しかしこれぐらいすればちょうどいいか…と祐一が思った位の力加減でも、栞はピクピクと体を震わせて反応していた。本来ならクリトリスがある部分から生えている肉棒だから、男のペニスよりも敏感なのかもしれない。
 ちゅ…ちゅ…
「んっ…んふっ」
 多少力をゆるめて、撫で上げるような動きにすると栞が少し落ち着いた声を出すようになってきた。
「気持ちいいだろ?」
「で、でも…」
「佐祐理さんにもらった薬だからな。すごい効き目だ」
「や、やっぱり、祐一さんそんな物をっ…!」
「だって、あのままじゃいつまで経っても栞が嫌がっているばかりだったろ」
「だからって……」
 ぷちゅるっ…
「…!?」
「お…こっちも濡れてきた」
 祐一は栞の肉の棒よりも下、込み入ったひだひだの間に目を向ける。そこからは、肉棒の先と同じような感じの透明な液体がにじみ出してきていた。
「えっ…こ、これって…」
「栞は見たことがないのか?」
 ちゅく…くちっ…
 その部分を指でいじりながら訊く。それは栞の肉棒の先から出てきている液より、もっとさらっとしていた。
「…ないです…」
 栞は不安極まりなさそうな表情でうなずいてくる。
「へぇ…」
 ぺろっ。
 祐一は答えながら、指についた液体を舐めた。
「あっ!」
「酸っぱい」
「ゆ、祐一さん…やめてくださいっ…」
「酸っぱくて…栞の味がするな」
 祐一はもう一度指を伸ばし、栞の女の子の部分をくちゅくちゅと撫でる。そしてもう片方の手も使って、肉棒の方もを同時にしごき始めた。
「あっ…あっ」
 栞は目を細めて首を弱々しく左右に振る。だが、そのしおらしい様子とは裏腹に、栞の中からは酸味を帯びた液体がぷちゅぷちゅと染みだしてきていた。
「んっ…な、なんだか…怖いです…こんなの…」
「すごい気持ちいいんだろ?」
「だ、だけど、こんな…こんな風になったのなんて…」
「自分の体の事はよーく知っといた方がいいぞ」
「こんな風になっちゃった体をですか…?」
「わかってるとは思うが、栞がどんな体でも俺は構わない。俺の所に帰ってきてくれたのは間違いなく栞なんだからな」
「………」
 栞は恥じらいを隠しはしなかったが、はにかんだ。祐一もいやらしい笑みを隠しはしなかったが、真剣さを顔に含ませていた。
「ただ、ここに俺のを入れるのは…ムリっぽいな」
 祐一は栞のひだの間を探るが、その先に見える蜜の園は指一本入れるだけでも難しそうだった。祐一のペニスが入っていけそうには思えない。
「ご、ごめんなさい…」
「いいって。栞、いったん立ってくれ」
「……? はい」
 栞はうなずき、ベッドの上に立ち上がる。
「それ、脱いでな」
 祐一の方はベッドの上に座ったまま、シャツを脱ごうとしていた。
「は、はい」
 もう一度うなずくと、栞は半脱がしにされていたショーツを脱いでいく。自分の方が視線を上にして裸になっていくというのは、妙に気恥ずい作業だった。
 しゅ…しゅるる…
 祐一のベッドの上で、他人行儀な姿勢になりながら栞は下着を降ろし、ベッドの上に畳んで置く。同じようにして、白い靴下も脱いだ。栞の体を覆う物は何一つとして無くなる。
「…よし」
 そこへ、ズボンとトランクスを脱ぎ終わった祐一が視線を向けてきた。小柄な裸体を下から見上げられて、栞は慌てて体の前を隠す。
 祐一はその栞の羞恥心をちらりとのぞいてから、ベッドの端に向かって移動していった。そこから床の上に飛び降りると、ベッドの端の部分に腰掛ける。
「栞、こっち来てくれ」
「………」
 栞はシーツの上をそろりそろりと歩き、祐一の方に向かった。
「一度床に下りて、俺の体の上に座るんだ」
「え? ええと…」
 意図を今ひとつ理解できず、栞が一瞬考え込む。
「いいから、まずやってみてくれ」
「…はい」
 栞はとん、と床に下りた。裸足になった状態では、フローリングの上が随分ひんやりとして感じられる。その上を歩いて、栞は祐一の体の真ん前に来た。
「こっち、乗れよ」
「こ、こうですか…?」
 顔だけ祐一の方に向け、栞は恐る恐る体を後ろにずらしていく。そして脚の後ろが祐一の脚にくっつくと、その状態から少しずつ腰を下ろしていく。
「もっと後ろに…」
「あっ」
 祐一が栞の胸の辺りをつかんで体を引き寄せようとすると、栞はまた恥じらいの表情を浮かべる。
「気にするな。栞の胸が小さくたって、俺は気にしない」
「そんな事言う人…嫌いです」
 栞は少しむくれた顔をしつつも、恥じらいと負い目は隠し切れていなかった。
「ま、それはいいって。もっとこっちだ」
「………」
 祐一が言うと、栞は前に向き直って腰をずるずると後ろに下げていく。やがてその腰に、祐一の熱い部分がぴたっと触れてきた。
「あっ」
「一度、体上げてくれ」
「え…ど、どうすればいいんですか?」
 栞の足は完全に床から浮いてしまっている。ベッドのシーツに手をつくのがやっとという感じだった。
「ぴょんって一度飛んでくれよ。ほんの少しでいいから」
「はい…」
 手を左右のシーツについて、栞は多少でも力が入るような姿勢を整える。
「いきますよ」
「ああ」
 どんっ!
 栞が手を突っ張ったかと思うと、体が10センチばかり跳ね上がってすぐに落ちてきた。
 ちゅぐっ!
「あ」
 その落ちてきた栞の体の真下には、祐一のペニスが来ていた。それが栞の濡れた部分にこすれて、水っぽい音を立てる。
「よし…これでいいな」
 祐一は腰の位置を動かし、さらに栞の体を自分の方により強く引き寄せる。祐一のペニスは、栞の脚の間からぐいっとそびえ立つような状態になった。
「栞、脚をぎゅっと閉じるんだ」
「あ…あ、はい…」
 少しずつ栞も祐一のしたい事がわかってくる。
 …きゅう…
 栞は太股に熱く固いモノが触れてくる変わった感触にやや不安そうな表情をしたが、出来る限りの力で祐一のそれを締め付ける。栞の柔らかくすべすべした肌が、むちりとした弾力で祐一のペニスを包み込んだ。
「うん…そうしたら、俺のを手で触ってくれよ」
「…こうですか?」
 脚の間から見えているペニスを、栞は指先でつまむようにして触る。
「もっと、上下に動かせるみたいな感じで…こんな感じだ」
 祐一は手を栞の体の前に回す。その指先が向かったのは、栞の肉棒の方だった。
「あっ」
「こうして…こんな風に」
 ちゅくっ、ちゅく…
「んっ…んんっ! わ、わかりましたっ…!」
 祐一の強いしごき立てに、栞は頭をぶんぶんと縦に振る。
 …くいっ
 栞は祐一が今していたように、指で輪を作って包み込むような手つきでペニスを握った。
「じゃあ、栞、脚の力抜くなよ…」
 そう言いながら、祐一はまた手を前の方に回していく。
「あっ…あっ!」
 ちゅく、ちゅく
 指先が再び栞の肉棒に触れ、しごき始めると栞は高い叫びを上げながら身をぴくつかせた。
「ほら、栞、手がお留守だぞ」
「うっ…は、はい」
 栞は見よう見まねで、何とか祐一のペニスをしごき始める。
 しゅくっ、しゅくっ、しゅく…
 ちゅぐちゅぐちゅぐ…
 祐一は栞が手を動かし始めると、太股に挟まれたペニスを軽く上下に動かし始めた。腰を軽く揺らし程度の動きだが、栞の少女の部分をひっきりなしにこする動きになる上に、その先が時折栞の肉棒に当たる事もある。ぬるぬるした淫靡な音が立つ度に、栞は第二の性感に耐えなくてはならなかった。
 しゅく、しゅく
 ちゅぐっ、ちゅぐ…
 栞の手つきも、ずっとしごいている間に段々サマになってくる。太股で締め付けられた状態からペニスがこすられるのも、祐一にとってはなかなかの快感である。初めの内は栞だけが性感をとろかせていた状態だったが、祐一が指の動きを抑え気味にした事もあってその差は少しずつ近づいてきた。
「し、栞…どうだ? 気持ちいいか?」
「は、はいっ…」
「俺もいいぞ…栞の体と一緒になってるって気がする」
「…私も、そんな気がします…」
 栞はぼんやりとした目で応えた。栞も、腰をかすかながら前後左右に揺さぶり始めている。祐一の脚の上には栞の愛液があふれ出て、少女としての柔らかい香りをたっぷりと振りまいていた。
「んっ…ふぅ…」
「栞、イッたこと、あるのか?」
「ない…です…」
「どうなっちゃうんだろうな…? やっぱり、栞のここからも白いのが出てくるのか?」
「わ、わかりませんけど…なんだか、体の奥から、何か飛び出しちゃいそうな…そんな感じです…」
「俺、栞の出すところ見てみたい」
「…そんな事言う人、嫌いです…」
 栞はそう言いながらも、腰を揺らす動きを止めていない。その体はぴくんぴくんと小刻みな痙攣をし始めていた。
「出ちゃいそうか?」
「う…は、はい」
「よし…栞、イッちゃえよ」
 ちゅくちゅくちゅくっ…
「んっ…んんーっ!」
 栞は喉をそらせながら、祐一のペニスをぎゅっぎゅっと強くしごく。
「んーっ…んんーっ…んーっ!?」
 …ぴゅっ!
 肉棒の先から、半透明の液体が飛んだ。
 ぴゅっ、ぴゅっ、ぴゅ…
 水鉄砲のように飛び出した、見た目にも粘りの少ない液体。祐一が肉棒を栞の体に押しつけるようにしていたため、栞の胸の辺りに点々と飛びかかっていた。
「んっ…はぁ…はぁ」
 栞はかくんっと頭を下げ、脱力しきった表情で息を荒げる。
 どくんっ!
「!?」
 その時、栞の握っていたモノが激しく脈動した。
 びゅぷるっ! びゅぐっ、びゅぐっ、びゅびゅびゅっ! びゅぷっ!
「きゃ…」
 栞が声を上げようとする間もなく、そこから射出された白濁の液体が栞の顔を直撃する。
 びゅぷっ、びゅっ、びゅっ…びゅぷ…びゅびゅっ…
「んっ…あ…う…」
 姿勢が姿勢だけに、栞は満足に逃げる事もできない。身をできるだけ引いても、栞の顔に熱い精液が幾度も降り掛かってきた。つやのある髪も、白い粘液でべとべとである。無論胸から下にも、どろりと精液が掛かってしまっていた。
「俺も出しちゃったか…」
「ひどいですっ…何にも言わないで…」
「栞、上手かったからな。俺のをしてくれるのが」
「もうっ…」
 栞は片目だけを開けて、顔に掛かった液体をこそげ取る。
「気持ちよかったぞ、栞」
「………今日だけは、許してあげますけど」
「今度からは、フロでした方がいいかもな」
「そういう問題じゃ…ないです」
 栞は言ったが、それほど強い嫌悪感は覚えていない様子だった。
「また、したいって思うだろ?」
「…祐一さんが、もっと気を使ってくれるなら…ですけれど」
「栞がもっとエッチな事するようになったら、考える」
「祐一さんっ…!」
 そう叫びながらも、栞は祐一のペニスを包み込むようにして触っていた。



12/7
(クロス・オーバー)
「あ…」
 栞がベッドに上がってきた郁未の姿を見て、小さく声を上げる。
「…変?」
「いいえ…でも、男の人のも見たことがないですから…」
「そう…そうよね」
 郁未がさらりとしたうなずきを栞に返し、自らの身体を見つめる。
 全体にスレンダーながらも、胸とヒップの膨らみはそれなりのものだ。少なくとも、栞の少々未発達気味の体躯に比べたならば、かなり女性としての肉感に富んでいると言える。それに加えて、腰まであるのに枝毛すら感じさせない長い黒髪と張りのある白い肌、爽やかなメランコリを内包した美しい瞳がこの年頃の少女にあらざるような完成された魅力を醸し出していた。
 恐らく、その股間に女としてあってはならない器官がなかったのならば…それは完璧にすら見える裸体だったのだろう。
「怖い?」
「いえ、郁未さんがさっき力を使ってくださったせいかもしれませんけれど…ふわふわした気分で、あまり怖くはないです」
「気持ちいい?」
「まだ…そういうのをはっきりと感じているわけじゃないですけれど…」
 栞の目は少しとろんとした色を帯びている。郁未よりもさらにキメの細かい、純白すら感じさせる肌は薄紅色に染まり始めていた。栞が何らかの興奮を覚え始めているのは確かなようだ。
「見せて…」
「あっ」
 郁未がシーツの上をするすると栞の方に移動し、寝転がった栞の秘部にぴたっと指を伸ばす。
 くちゅぅ…
「濡れてる…わね」
「………」
 郁未が人差し指と中指で開いた部分を見つめながら言う。栞がかぁっ…と顔を赤くした。
「そんなに見ないでください」
「だって、栞のココかわいいから…」
 栞の秘裂には、そこを覆うべきヘアが生えていなかった。開腹手術を経ることなく退院できた栞なのだから、恥毛が全く存在していないのは恐らく人為によるものではない。
 ちゅく…ちゅ
 郁未はその子供のような秘裂に溶け出した透明な愛液を指に絡め、栞の微細な一点をそっと叩く。
「あぁ…」
「感じるでしょ…?」
「郁未…さん…」
 二・三度そこを刺激してくる郁未の指に、栞は細腰をくねらせて応えた。
「たぶん、これだけ濡れていれば大丈夫だと思うけど…少しは痛いだろうから、ガマンしてね」
 郁未はそう言いながら指を秘裂の中から抜き、身体をより前に進めて肉の棒をそこに近づけていく。
「いいえ…」
 栞は目にわずかな懐想と真剣さをにじませた。
「郁未さんがいなければ、私はもうこの世にいなかったはずなんですから…ちょっとだけの痛みなんて、なんでもありません」
「栞…」
「私の身体、好きにしてください…郁未さん」
「ありがとう…でも、本当に栞を抱きたくてあんな事をしたわけじゃないから…。ただ、私の力を少しでも役立てたかったし、その機会を探しているときに栞のことを本当にいい子だと思って、ああしただけだから…」
「わかっています…でも、郁未さん、もうそんな事を気にしないで、郁未さんが好きなことをしてください…」
 栞が脚を少しだけ開き、腰を浮かせて郁未を導こうとする。
「…うん」
 郁未は答え、肉の棒をぐいと栞の方に向かって突き出す。その先端はほどなく栞の甘酸っぱい液体が流れ出す部分を捉えた。
「力、抜いて」
「はい」
 腰を持ち上げられた栞は、少しだけ緊張を顔に浮かべながらも素直にうなずく。
「…栞っ」
 郁未は一声つぶやいて、腰を強く押し出した。
 にちゅっ…
 狭い部分を押し開いて、郁未のモノが入っていく。先端部分だけは栞の愛液の滑りを使って比較的スムーズに入ったが、そこからは栞の純潔の部分が郁未のモノを押し返そうとしていた。
 ぐぐっ…
「んっ…」
「ごめんね…」
「大丈夫です…」
 短いやり取りを交わし合い、自然と二人の手がつながる。そして郁未は力を込めて腰を押し出し、栞の処女を奪っていくプロセスを完遂させようとする。
「うっ…あ…」
「も、もう少しだからっ…」
「はい…郁未さんっ…」
 …ずっ。
 郁未のモノが栞の奥を突いた。
「は…入った」
「郁未さんの…とっても大きいです…」
「痛いでしょ…?」
「いいえ…郁未さん動いてください…」
「…栞」
「郁未さんが力を使ってくださったから、少し気持ちいいような感じもしますし…」
「本当に、痛かったら、言うのよ」
 郁未は確かめるように言ってから、腰を引いていく。
 …ずぐっ!
 そして、再び前に強く突き出す。
「………」
 栞は反応しなかった。
 ずずっ…ずぐっ!
 ずずずっ…ずぐぅっ!
 郁未はやや不安を顔に出しながら腰を動かしていたが、栞が苦悶する様子をあまり示さないために少しずつ動くペースを上げていく。
「し、栞の中…すっごい気持ちいい…」
「郁未さんっ…」
 栞はつないだ手を強く握る。郁未はそれを握り返す。
「わ、私もなんだか気持ちよくなってきました…」
「…本当にっ?」
 ずずっ…ずちゅっ!
 郁未は腰を動かしながら言う。確かに、最初から出てきていた栞の愛液が量を増してきたようにも思えた。
「あんまりよくわからないですけど…身体の中がジーンとなってきて…熱くなって」
「ん…栞っ…!」
 まだあどけなさを残す栞の、戸惑いと官能が入り交じった悩ましい表情。栞のきつい中を動いて高まっていた郁未は、それを見つめて一気に快感を発火させてしまった。
「あっ…ああっ…私…もう出ちゃいそうっ!」
 郁未はきつく目を閉じ、激しく栞に腰を打ち付ける。ずちゅずちゅっと粘っこく粘膜が絡む音が響いていく。
「ください…郁未さんの、私の中に」
「う…うっ、ううっ…栞…栞!」
 …びゅくっ!
 郁未が、長い髪をばっと後ろに振り下ろすようにして身体を後ろに反らした。
 びゅっ、びゅっ、ぷびゅっ…
 結合部分を通して、大量の液体が飛び出す。
「…これが郁未さんのなんですね」
 栞は呆然とした声で言う。
「あー…あっ…はぁ…うん…」
「とても…熱いです」
 欲望だけを凝縮したような、薄い半透明の白濁液が栞の中に射出されていた。もちろん子供が出来る性質の物ではないが、郁未はこの上ない愛の交歓を感じていつまでも栞と一緒につながっていた…



10/24
「さっ…寒い…よ…」
 名雪は制服の裾を少しでも下ろそうと試みる。服の生地がだらしなく伸びてしまいそうだったが、それでも何とかして制服、ブラウス、シャツを合わせて押し下げる。
「返して…栞ちゃん…それ」
「だめですよ」
 栞は平然と言って、手にした名雪のスカートとショーツをぽんと香里に向かって放る。
「お姉ちゃん、持っていてね」
「あなたがするの?」
「うん」
 さらに肩に掛けたショールもくるくると丸めて、香里に手渡す。香里は少し呆れたような顔をしながらそれを受け取ると、ポケットの中を探って栞にボール状の器具を与えた。
「もう一個」
「…二個?」
「うん」
「栞、自分にも入れる気?」
「そうじゃないよ」
「…ま、壊さないでね…安いもんじゃないんだから」
「うん」
 香里がまたポケットを探り、栞に同じボール状の器具をもうひとつ手渡す。そして、名雪の服と栞のショールを抱えたまま腕組みをするような体勢で二人の事を見守り始めた。
 その間にも、名雪はかたかたと歯を小刻みに鳴らしながら震えている。ひゅうう、とこの地方にしてみれば比較的穏やかなくらいの風が吹くだけでも、名雪は顔を青ざめさせてますます震えを大きくしていった。
「どうですか、名雪さん? いつもと違ってこういう所だと、気分も変わりますよね」
 どんよりとした曇り空の下の、凍り付くような空気。学校がやっている時ならば一階の廊下から見ることができる位置にある、駐車場としても使われている裏庭。
「さ、寒すぎるよ…助けて…」
「名雪さんは自分の名前に入っているくらいだから、雪が大好きだって祐一さんが言ってましたよ」
「で、でも、こんなのは嫌だよ…」
 名雪は足元を見やる。
 そこには、名雪が身を屈めて冷気に当たる表面積を小さくできない理由、深さ40センチほどに積もった雪が一面に渡っていた。名雪の履いている長靴も、どうかすると雪が入ってきてしまいそうな状態である。
 そして、名雪の立っている所から少し離れた所の積雪は、不規則についた足跡でかなり乱されていた。どうやら、名雪が下半身の着衣を脱がされた時の跡らしい。氷点下の中、長靴を履いた状態からスカートとショーツを脱いでしまうのは並大抵の苦労ではなかっただろう。
 しかも、名雪が座ってしまう事ができないように、栞と香里はわざわざ名雪を乱されていない雪の所まで移動させたらしい。
 ざっ、ざくっ…
「さてと…名雪さん、お楽しみの時間ですよ」
 栞は名雪に近寄りながら、ネイビーブルーのボールをぺろぺろと口でなめる。幼い容姿に浮かんだ残虐性は、小悪魔的と言うに相応しかった。
「………」
 名雪は怯えを浮かべながら、近づいている栞を見つめるしかない。制服を少しでも下ろそうと裾をひっつかんだまま、一歩も動けなかった。
 ざくっ。
 栞は、名雪の目の前まで来ると立ち止まる。そして、平然と雪の上にしゃがみ込んだ。キツネ色の毛皮のようなコートを羽織って、撥水の長いブーツを履いている栞は少しくらい雪の上に脚を置くくらいではまるで冷たさを感じていないようだ。
 そして、名雪が必死で押し下げている制服の下にボールの片方を滑り込ませる。名雪の秘裂は押し下げられた制服によってほとんど隠れていたが、それもぎりぎり隠れているといった程度のものだ。栞はさしたる苦労もなく名雪の秘裂にボールをあてがう。
 ぐにゅっ。
 そのボールを、栞は遠慮無しに名雪の秘裂の中に押し込み、さらに名雪のヴァギナの入り口を探った。視界は十分ではないというのに、栞は一瞬にして名雪の入り口を探り当て、ぐいぐいと中に押し込む。
 …んちゅっ
 鈍い粘液質の音と共に、名雪は小さな卵のようなボールを受け入れてしまった。
「名雪さん、やっぱりもう濡らしていたんですね」
「そ、そんなこと…」
 ない、とは言えなかった。
「お姉ちゃんー」
「ん…」
 香里は気のない返事をすると、またポケットに手を入れた。
 ヴー…
「っ………」
 振動音を立てて暴れ始めたボールに、名雪は無反応ではいられない。すっと名雪の瞳に潤みが走るのを、栞は悪戯っぽい目で見た。制服の裾をつかむ手に力が入ったのも、すぐにわかることだ。
 ヴー…
 うねるようにヴァギナの中を振動するボールは、自らの動きによって少しずつ奥に向かっているようにすら感じられる。名雪は意識のなかにむらむらとした物が沸き上がってくるのを感じて、それを必死に打ち消した。
 ざっ…ざっ。
「え…」
 そこに突然、栞が足元の雪をかき集め始める音がする。少し前に積もった雪で、今はざらっとした感触に近くなっている雪を、栞は小さな手でぎゅうぎゅうと押し固めていた。直の手で触っているのだからかなり冷たいはずだが、やがて栞の手の中には氷のように固そうな球が出来上がる。サイズは、栞の握りこぶしほどもあった。
「名雪さん、雪好きなんですよね?」
「な、なにするの…し、栞ちゃん、あの…ひょっとして…」
 動揺する名雪に、栞はくす、と微笑んで見せた。そして、その球をおもむろに名雪の内股の辺りに押しつける。
「いやっ!! つ、つめたいっ…やだ、やだっ、やめてっ!!」
「つるつるしますね」
 栞は名雪の体温で表面が溶け始めた氷の球で、名雪の太股を撫でるようにして上に進んでいく。
「つ、冷たいよ…!! 栞ちゃん、お願い、許して…!!」
 名雪は氷の球が制服の裾に当たりそうな所まで来たのを見て、一瞬躊躇する。だが、結局服がびしょびしょになってしまうのを避ける事を選んだ。自らの手で、少しだけ服をまくりあげて何とか服を乾いた状態に保とうとする。
 その代わり、名雪の秘裂は上端から全て外気の中に晒されることになった。すーすーと風が吹き抜ける感触、そしてすぐそこに押し当てられる凍るような氷の球の感触。ずっと肌に押し当てられていたためか、氷はかなり溶け始めていたが、それは名雪の体温がそれだけ奪われたと言うことを意味している。
「う…いや…もういやだよ…」
 名雪は、体内からの鈍く熱い感覚と冷え切った肌の感覚の温度差に、頭がおかしくなりそうだった。
「お姉ちゃん」
「…はい」
 ヴン…
「えっ…!?」
 くぐもった音がしたと思った瞬間、名雪の秘裂に当てられていた氷の球がはじけたような感覚が生まれる。
 ヴィー…ヴィーヴィー
「ひっ…つ、つめたいっ!」
 不意に走った突き刺すような冷たさに、思わず名雪は声を上げていた。秘裂の表面だけではなく、割れ目の中にまで氷のカケラが入ってきている。そして、それを撹拌するかのように新たな振動が名雪の秘部を襲う。
 栞が、氷の球の芯にさっきのボールを使っていたと気づいたのは、一瞬遅れてのことだった。
 ヴィーッ…
 名雪の全身の中でも、特に熱の集中した部分。そこに細かく爆ぜた氷のカケラが張りつき、どんどんと溶けて名雪の温度を奪っていく。
「あっ…んああっ」
 しかし、栞がボールを名雪のいたいけなクリトリスに当てた瞬間、名雪の中からは反転するかのように激しい熱が沸き起こってきた。
「名雪さんったら、ココがそんなに好きなんですか?」
 栞がからかうような口調で言う。
「ん…んーっ」
 焦点を失って空の一点を見つめる名雪の目から、幾筋かの涙がこぼれ落ちる。ぴくんぴくんと全身が震える。温感を滅茶苦茶に操作されて、名雪は体力を消耗した上に理性をだいぶ奪われてしまったようだ。名雪は狂気を発したかのような虚ろな表情になる。
 だが、理性のタガが外れた事によって、名雪の肉体は淫靡なバイブレーションに対して極めて素直に反応し始めていた。ボールによってかき回されたヴァギナからは透き通った液体がスポンジを絞ったかのようにぽたぽたとあふれはじめ、クリトリスはピンピンに充血してひっきりなしの快感を名雪に与える。
 その熱く滑らかな液体が秘部をまんべんなく濡らし、氷のカケラは綺麗に溶け去っていった。
 栞はもうほとんどボールを操作することなく、ただクリトリスの中心にぴたりとボールを当ててじっと待つ。栞の白い頬も、興奮のためかうっすらと紅潮していた。少し物欲しそうに足をくねらせたりもしていたが、コートを羽織った状態では外部からそう簡単に刺激を加えられるはずもない。やがて栞はそれを諦め、名雪の太股にべろを当てて垂れてきた液体を舐め取る。
 雪の上にもたっぷり垂れ落ちているその液体を舐め取ることで、栞は少しでも興奮を味わおうとしているようだった。
「あっ…ああ…あぁ」
 そのねっとりした遠回しなキスが引き金となって、何かが収束していくような声を名雪が上げる。
 …ビクン…ビクっ、ビクぅっ…
 腰をがくがくと震わせて、ぬじゅっとはしたない液体を雪の上に放出しながら、名雪はあえなく絶頂に達していた。
「…名雪さん、こんな所でイッたんですね…えっちです…」
 栞が揶揄するように言うが、その声も少しかすれているようだった。ぐっちょりと濡れたボールを名雪の秘部から離しながら、ぬらりとした光を帯びたそれを呆然と見つめる。
「…こんなのも面白いかもね」
「え? あ、お姉ちゃん」
 いつの間にか、香里は校舎の側に近づいて背伸びするような動作をしていた。そして、何かを折り取ると栞に見せる。
「あ…つらら」
「結構立派なもんよ。ほら」
 ざく、ざく…
 香里は近づいてきて、栞にそのサイズを提示する。
「本当だ…」
「栞、あなたはこれでしてあげるから、コートまくってあそこを出しなさい」
「えっ…お姉ちゃん、私は…」
「こんな所まで来て、ローターじゃ面白くないわよ」
「べ、別に私は」
「それに、このまま家に帰ろうとして、途中で栞がトイレに行きたがるよりはマシよ」
「……ええと…」
「ずっと待っていても、全然出てこないんだから」
 香里が言う。
「………」
 栞が横に目をずらすと、名雪は中にうごめくボールをくわえこんだまま、栞の事をじぃっと見ていた。栞が顔を赤くする。
「…栞ちゃん、トイレで何してたの…?」
 名雪は下半身裸のまま、栞をジト目で見つめて言う。非道な仕打ちの仕返しのつもりらしい。
「え、えっと…そ、そんな事言う人嫌いです…」
 栞は言いながら、そそくさと自らの濡れた部分を晒す準備をし始めた。



9/25
(例のシリーズですか)
「く…ぅ」
 栞が声を漏らす。
「うん…いいよ、栞の気持ちいい」
「神谷さん…」
 上に覆いかぶさっているのも、また少女だった。小麦色に焼けた肌と、すらりとした長身は栞と好対照と言える。ショートカットという所は同じだったが、ブラウン気味の栞の細い髪と、艶と張りのある黒髪の神谷の髪はやはり違って見えた。
「着ている時だけじゃなくて、裸の時も可愛いコってなかなかいないんだよ」
 神谷と呼ばれた少女は、豊満な胸を栞の控えめな胸にすりつけるように身体を密着させる。
「あぁっ…」
 ニプルをニプルでこすられる甘い刺激に、栞は身をくねらせて応えた。そして、その動きと共にちゅぷちゅぷという透明な水音が恥ずかしげに生まれる。
「そんなにいい?」
「か、神谷さんの…大きくて…熱くって…」
 そう。栞の中には、少女の秘部から伸びた肉棒がうずめられていた。これまで栞の体験してきた少女の持つ肉棒とは、サイズも硬度も形状も、そして熱さも段違いだ。むしろ、男の持つ剛直に近いと言えるかもしれない。
「ふふ…泣かせちゃったこと、あるからね」
 神谷はゆっくりと腰をグラインドさせる。
「ああ…神谷さん」
「こんなに小さい体なのに、あそこにこんなのが簡単に入っちゃうし、すごい濡れてるし…栞、最高」
「神谷さんのも…すごく気持ちいいです」
 栞は自ら顔を上げて、キスを求めた。
「うん」
 神谷は素早く栞の唇に自分の唇を合わせる。
 ちゅっ…ぬちゅ…
「んん…んっ」
「っ…ふっ…んふぅ…」
 犯すような激しい勢いの神谷のキスに対して、栞は舌の動きを使った丁寧なキスで対応した。自分の口の中に侵入してきて口腔の中をなぶる神谷の舌を、時折そっとくすぐったりつついたりする。そして神谷が栞の舌を求めてくると、従順にそれに合わせた。
 ちゅる…ちゅるる
 最後に送り込まれた唾液を、栞は潤んだ瞳で受け入れる。
「キスも、うまいね」
「神谷さんのも良かったですよ」
「いや、私のは好き勝手してるだけだから」
「そうやって乱暴にされるのも…いいです」
「はは…そこまで言うとわざとらしいよ」
 神谷はちょんと栞の額をつついた。
「でも、本当ですよ…?私…」
「うん…栞が言うなら、本当だって思ってみてもいいかな」
「いいですよ…だって、本当なんですから」
「そんな事言うと、本当に手加減せずにしちゃうよ?」
 神谷が面白そうな笑みを浮かべながら言う。
「どうぞ…お願い、します」
「私は知らないよー。栞が言ったんだからね」
 そう言うと、神谷は自分の手を栞の胸の辺りに置いて、ベッドに押しつけるような力を加える。
「あああ…」
 栞は苦しそうな息を漏らしたが、助けを求めることはしない。自分の手を額のあたりに当てて、神谷の行為に自分の身を完全に投げ出した。
 ちゅぐちゅぐちゅぐ…
「うあっ…ひぅ…神谷さん…」
「どう…栞?苦しい?」
 きつい押しつけを加えながらの、容赦のないストロークだ。その激しい運動量にも、神谷は顔色ひとつ変えなかった。全く同じ強烈なペースで、栞の奥をひたすらに突き続ける。体力と腰を動かすテクニックの両方に、かなりの自信を持っているようだ。
「す、すごいです…気持ちよくて…」
「無理しなくてもいいよ」
 神谷は言ったが、実際栞がほとんど苦痛を感じていないようである事は理解していた。何と言ってもあまりに愛液が豊富すぎて、どんなに強く突いても栞の中を傷つけてしまうことはないのだ。神谷にはぬめぬめとした締め付けの快感が、栞には膣壁の敏感な地点への強烈な刺激による快感がもたらされる。そして栞には、強いストロークがずれる事によって時折クリトリスへの刺激も与えられた。
「ふぁぅ…あぁ」
 結局、栞の感じている苦痛は押さえつけられている事への圧迫感しかない。そういった拘束的な苦痛を快感の一部に変換してしまうだけの性経験を、既に栞は持ち備えていた。もっときつい、ロープによる戒めすら経験したことがあるのだから。
「栞の…すごい…もう、私出ちゃいそうだよ…」
 神谷は同じペースで栞の中を突きながら、心地よさそうに眉をしかめた。
「来てください…私のなかに、いっぱい…神谷さんの…」
「うん…あは…思いっきり、出ちゃいそうだよ…こんなの久しぶりだ」
「嬉しいです…私も…私もっ、もうだめ…です…」
 栞は目を伏せながらも、神谷の腰使いに合わせて腰を押し出し始めた。
「一緒にいこっ…栞」
「はい…も、もう…私は」
「いいよっ…いつでもいっちゃって!」
 神谷が叫ぶ。二人の少女は淫靡に腰を振り、粘液の音を響かせながら高みで合一しようとしていた。
「はぁっ…うああぁぁっ!」
「出ちゃうッ…!」
 …ビクンっ!
 そして二人はほぼ同時に腰を痙攣させ、快感の極みに達した。
「はぁっ…はぁ…」
 びゅく…びゅく…びゅく…!
「んぁっ…神谷さんの…熱いです」
 膣内に吐き出された神谷の体液のほとばしりは、数回の痙攣を経ても勢いを失うことなく栞の最深部を叩いていた。元々神谷の長大な肉棒によって容積を埋められていたヴァギナの隙間から、こぷっこぷっと神谷の体液があふれ出していく。そこには透明な液体も混じって、栞の中が透明なジュースでも満たされていた事を証明していた。
「あーぁ…こんなに出しちゃった」
 気怠そうな微笑みを浮かべながら神谷が言う。
「でも、まだ神谷さんの固いですね」
 栞は蠱惑(こわく)的にささやいた。
「私の口の中も…神谷さんにあげていいですか?」
「あはは、サービス満点だね」
「そんな…私がしたいだけです」
 栞の笑みを、神谷はどこか切なそうな目で見つめる。
「…いいよ。勘ぐりナシでえっちしたいし、先に話済ましちゃお。栞のお姉さんのとこに行ってあげるよ」
「本当ですかっ…!?」
 栞が一転して真剣な顔になった。だが、すぐに慌てて目をそらす。
「…あっ…あの、すいません、私、そんなつもりじゃ」
「いいよ。栞も大変そうだしね。私に何ができるんだかわかんないけどさ、栞と好きなだけやっちゃえるならいいよ」
「は、はい…!あの、何からしましょうか…口でいいですか?」
「栞、もっと普通にしよーよ…それだから先に話済ましたんじゃない」
「あ、あの…そうですね、ごめんなさい…私、嬉しくて…」
「…素直だよ、栞って」
 神谷は肉棒を栞の中から引き抜いて、栞のショートカットを撫でてやった。



9/19
「よし、じゃあ商店街寄ってくか?」
「…え」
 栞がぴくんと身体を震わせて、立ち止まる。
「別に、いつもの話だろ」
「そ、それは…そうですけれど…」
 つないだ手を引っ張ろうとする祐一に、栞はうつむいたまま抵抗した。商店街の入り口の方をちらちらとうかがいながら、左の手の指をもじもじとすりあわせる。
「ひ、人が」
「そりゃ土曜だからな」
 商店街は、学校帰りの学生があちこちにたむろして賑やかだった。祐一と栞のように、手をつないで歩く恋人同士の姿もちらほらと見受けられる。祐一と栞がそこを歩いていても、何ら不思議はないだろう。
「だ、だったら祐一さん…」
 だが、栞は祐一の手を引っ張り、道をそのまままっすぐに進んでいこうとする。
「なんだよ」
 祐一は動かずに、ちょっとした笑みを浮かべながら栞の事を見ていた。栞はもっと力を込めて祐一の事を引っ張ろうとするが、祐一は動かない。
「祐一さん…」
 二人の様子は子供っぽかったが、栞の瞳は困惑の色を浮かべた落ち着かないものになってきていた。段々と冗談ではなく、本気で祐一の事を引っ張るような力になってくる。
「い、行きましょうよ」
「アイスは食べたくないのか?」
「食べたい…ですけど、別の所でもいいじゃないですか」
「いつもはここがいいとかあそこがいいとかこだわる癖に…」
「祐一さんっ〜」
 栞は少し膨れたが、そこには多少の紅が見て取れた。栞の透明感すら感じさせる白い頬を知っていれば、普段との差異は簡単に分かるはずである。もちろん祐一も気づいていたが、それを気遣うような言葉はなかった。
 いや、むしろ…
 カチ。
「あっ」
 ぶぅぅん…
「い、いやっ…ダ、ダメですっ!こんなところでっ…!」
 栞は叫び上がりそうな声を必死に押さえて、自分のお腹の辺りを手で押さえる。
「行くか」
 その、力が抜けた瞬間を見計らって祐一が栞の手を引っ張った。栞はバランスを崩して、ふらっと祐一の方に引っ張られていく。
「そ、そんな」
  商店街の中に入ると、すぐに祐一と栞は人混みの中に混じっていった。栞はぐぐぐっと祐一の手を握りしめながら、うつむく。しかし、かえって不自然であることに気が付くとまた顔を上げて、精一杯の平然を装っていた。
「も、もし気づかれたら…」
「そんな小さい音で気づかれやしないって。周りがこれだけうるさいんだから」
「でも…」
 栞は多少内股気味に、雑踏の中を一歩一歩と歩いていく。一度商店街のモザイクタイルの上に足を踏み入れてしまうと、もう戻れないようだった。今方向転換しようとしたなら、栞はかなり不自然な動きをしてしまうことだろう。それで転んだりしたなら、一巻の終わりである。今の栞には、まっすぐに進んでいくのが精一杯だった。
「い、いやです…だ、だめ…」
 だが、次第に栞はまっすぐ歩くのすらおぼつかなくなってくる。その理由は、祐一が右手をポケットの中に突っ込んでいるのを見ればおおよそ察しは付くと言えるだろう。注意すれば聞こえるはずの鈍い振動音は、商店街に入った時に比べてだいぶ大きくなってきていた。
「こ、このままじゃ私…」
「どうなる?」
「そんな事言う人嫌いです…あ…あぅぅぅぅっ…」
 栞が歩きながら、眉をしかめる。栞の中から聞こえてくる音は、少し近づければ分かるほどに大きいものになってきていた。それでも、周りの学生達はおしゃべりやショッピングに余念がなく、祐一や栞のことなどまるで気にしていないようだ。
「あ…!あ…、あ…!」
 とは言え、ますます感じる振動が強くなっていく栞自身はそうも言っていられない。横を通り過ぎる学生服の中学生が、数人で歩いている近くの女子校の制服を着た少女達が、自分の事を注視しているように思えてならない。あるいは、自分の事を噂されているように思えてならない。
 栞は何度もスカートの上を手で押さえそうになりながら、それをぎりぎりの所でとどめていた。そんな事をしたら、ここにいる全員に栞の事を気づかれてしまう。栞は冗談抜きでそう思っていた。
「ゆ、許してください…祐一さん」
 泣き出しそうなか細い声で、栞は訴える。時折、栞は身体を小さく跳ね上がらせ始めていた。
「栞のえっちな匂いがするぞ」
「そ、そんなの嘘ですっ…」
「ほんとほんと。このままじゃ、匂いだけで栞が感じてるってばれるかもな」
「嘘ですぅっ…」
 ついに、栞は目から一粒の涙を落としてしまう。だがそれすらも性感を示す証拠となるものであるかのように、栞は涙を必死になってこらえていた。もう栞には、身体が示す反応全てを押さえ込むことしか出来なかったのだ。
「お願いです…止めてください…」
「じゃあ、その代わりに」
 祐一は栞の耳にそっと口を近づけた。周りの人間が誰も聞いていないのだから、どんなに淫靡な会話であっても耳打ちする必要性はないはずだ。どちらかと言えば、栞が耳元に吐息を吐きかけられて切ない興奮を高めてしまう事の方が主目的のように思える。
「…そんなの…」
 栞は赤い顔で呆然とつぶやく。
 ぶうううんっ…!
「わ、わかりましたっ!だから、止めてくださいっ!」
 これまでよりも一段と強い責め立て。栞はかくんと膝を折りそうになりながら、何度も頭を縦に振っていた。
 歩いている少女にそれほどの変調があっても、周りの人間は気づいていないようだった。

「お」
「祐一さん…」
 込み合ったファーストフードの店の、隅にあるテーブル。ハンバーガーのセットを前に座っていた祐一の前に、栞が戻ってくる。先ほどに比べれば表情はだいぶ落ち着いていたし、振動音もしていない。しかし栞はどこか落ち着きのない様子だった。
「座れよ」
「はい…」
 栞は殊更にスカートを気にしながら、ゆっくりと祐一の向かい側に座る。そして、手提げの鞄を祐一に差し出した。
「どれ」
 祐一は鞄の金具を外して、中を見る。
 勉強道具の入れられている一番上に、かなり大きなシミのついているショーツと、濡れそぼったピンクのローターが入っていた。それが栞の恥ずかしい液であるのは間違いない。栞の淫乱な匂いが、鞄の中にたっぷりと充満していた。さっき外で祐一が言ったのは冗談だったかも知れないが、今の鞄の中はまぎれもない栞の匂いで満ちている。
「そ、そんなに見ないでください」
「すごいぞ。ほら、こうすると糸引いてる」
 祐一が鞄の中に手を突っ込んで、そこから何かを引き上げるように指を上げる。それを、ぺろっと自分の舌で舐め取った。
「栞のえっちな味がするな」
「………」
 栞は下を向いてしまった。
 かちっ。
 祐一が鞄を閉めて栞に差し出すと、栞は少しだけ顔を上げてそれを受け取り、椅子の下に置く。
「約束だからな」
「ひどいです…」
「しなかったら、さっきのを男のトイレの中に置いて帰るからな」
「あんまり…見ないでくださいね」
 栞はそう言うと、固く閉じていた両脚を少しずつ開いていく。祐一は椅子を少し下げて、深く腰掛けた。テーブルがあまり大きくないために、そうするだけでも栞のスカートの辺りがよく見えるようになってしまう。
 すると、スカートの中から何かの灯りが漏れているのが見えてきた。栞がさらに脚を開くと、何か小さな電球のようなものがスカートの下にあるのが見えてくる。
 それは、ペンライトだった。しかし、もちろんそんな物は栞が椅子に腰掛けるまでは無かった。つまり、それは…
「ぶるぶる言わないから、いいだろ」
「こ、これだけでもきついです…」
 栞が言って、指をスカートの裾から中の方に入れていく。そうすると、さらにスカートがまくり上がり、ペンライトが栞自身の秘部に刺さっているのがはっきり見えるようになった。ローターの代わりに、栞の恥ずかしい部分を明々と照らし出す物体が挿入されていたのだ。
「よーく見えるぞ。ぐちょぐちょになってる栞のあそこが」
「…そんな事言う人嫌いですっ」
 そう言う栞の声は、もう余裕を完全に失っていた。栞の指は、もうクレヴァスの一端に触れるまでになっている。にちゃにちゃとした感触を確かめているだけで、栞の性感はぐんぐん高まっていった。
「そんな事してても、終わらないぞ」
「わかって…ます」
 栞の指がクレヴァスを割っているペンライトに絡む。そして、クレヴァスの上端とペンライトの間に空いた隙間に人差し指を差し込んでいった。
 店の中の喧噪の中に、はぁはぁという栞の熱い吐息が響いていく。祐一はそれを固唾を飲んで見守る。既に栞は周囲の視線を見失って、二人だけの空間に入り込みつつあった。
 つん。
「ひっ…」
 栞がビクンと震えて、喉を反らせるほどに頭を高く突き上げる。一瞬遅れてショートカットの髪が揺れ動いた。
「あ…ふぁ…んん」
「どうだ…ここでするオナニーは」
 祐一の声が、栞を現実の世界に引き戻す。栞は耳たぶまでかあっと熱くなったような感覚を覚えていた。
「す、すっごく恥ずかしくて…それでなんだか…」
「興奮するか?」
「か、身体が熱くなっちゃいます」
「栞、本当はいろんな人に見てもらいたいんじゃないのか?」
「ち、違いますっ…私、そんな子じゃありません…」
 言いつつも、栞は自分のクリトリスをねちっこく撫で上げ続けていた。祐一は栞の尖った花芽を見る事は出来なかったが、栞の小さな指がうねるように動き、時折粘液にきらめいているのを見るだけで栞のクリトリスがどんなに容赦ない刺激を受けているのかはすぐわかる。
「こんな事こういう店の中でしてるだけで、もう変態だよな」
「ゆ、祐一さんが言ったんです…!」
「でも、嫌がらずにして、感じまくってるだろ?やっぱり栞は元々好きなんだよ、そういうの」
「嘘です…そんなの…」
 言葉とは裏腹に、栞の指の動きはハイピッチになって露出したピンク色の突起をこれでもかと言うほどにこすっていた。手淫自体にかなり慣れているのは間違いない。あふれかえりそうになった愛液は、辛うじてペンライトによってくい止められ、わずかに椅子の上にこぼれ落ちるだけになっていた。
「あ…ふぅ…ふぅっ」
 栞が、腰をくねらせ始める。ローターによって興奮させられていた栞の性器は、もう限界を迎えてしまったようだ。栞は自分を絶頂に追い込むべく、感じすぎる部分をぐいぐいと指先で押し込んだ。
 がたっ。がたがたっ。
「!!!」
 その瞬間、栞がさっと表情を変えて身を縮める。後ろの方の席に座っていたグループが席を立ったのだ。距離は少々離れていたが、栞は指の動きを止めて硬直する。絶頂に向かうための刺激をキャンセルしようと全力で試みる。
(あ…あっ…あああぁ…!)
 しかし、止まらない。クリトリスに指が触りっぱなしになっているだけで、栞の性感は激しく膨れ上がってボーダーを突破してしまった。後戻りできないレベルに達した性感によって、栞は一瞬で持ち上げられていく。
 …ビク、ビク、ビク…
 そして栞はイッた。
「っ……っ……っ……」
 栞は瞳を思い切り閉じて、自分の反応を最小限に止めようとした。だが、身体がびくんびくんと痙攣してしまうのは避けられない。それでも、栞は何とかして喘ぎ声が出そうになるのを抑え込んでいた。痙攣も、身体が跳ね上がりそうなほどの強いものだったにも拘わらず、椅子にヒップをぴったりと押しつけて我慢する。
 見知らぬ人間の存在を感じながら絶頂を迎えているという、異常な状況に栞は背徳の極みを感じていた。
「…どうだ?オナニー好きの栞でも、ここまでスリルのあるのは初めてだろ」
 ようやくグループが立ち去ったところで、祐一が話しかけてくる。
「はぁっ…そ、そんなの別に好きじゃないです…!」
 ヒクヒクと未だに身体を震わせたまま、栞はやっと充血しきったクリトリスを自分の指から解放した。潤みきった瞳が祐一を見つめる。
「どうだか。今のだって、満足できたわけじゃないだろ」
「そ、それは…」
 栞は口ごもった。
「どうしてほしい?」
 祐一が身を乗り出して聞くと、栞の胸がきゅんと締まる。すーすーと秘部までもが空気に晒されている不思議な感覚に、栞の羞恥心はあっけなく崩壊した。
「祐一さんので…してください」
 浮かされたような栞の声に、祐一は満足げに微笑む。
「よし、これ食べたら行くぞ」
「はい…」
「家に帰って、ローターで栞が連続何回イクか実験だな」
「そんな事言う人、嫌いです」
 栞はうつむきながらも、本気で悲しそうな声で言った。



9/12
(シリーズ化しつつある例のやつです)
 くいっ。
「し、栞ちゃん…だめ、恥ずかしいっ」
「きれいですよ、真美ちゃんの」
「で、でもっ…」
 栞はベッドに横たわっている少女の秘裂を二本の指で開きながら、逆側の手の指を口元に当てた。そしてぺろぺろと舌で舐めて、唾液をまぶす。
「あ、あっ」
 少女は栞の指が近づいてくると怯えた声を出した。栞と同じショートカットの小柄な少女だが、背は栞よりもさらに一回り低い。それに比例して体つきもかなり華奢で、とても栞と同い年の高校生であるようには見えなかった。
 ぺと…
「んんんっ」
 栞が秘裂を広げたまま、唾液に濡れた指をそこに侵入させる。真美は恥ずかしそうに目を伏せて、体を固くしていた。
 ぺと…ちゅく…ぬちゅ。
 真美の秘裂がつるんとして全くヘアに覆われていなかった事もあり、中が段々液体にぬめりを帯びてくる様子が丸見えだ。蛍光灯の光で、鮮紅色の襞の様子もよく見えている。
 それに対して真美はコンプレックスを抱いていたようで、栞は真美のショーツを下ろさせるのにかなり苦労したものである。最後には組み伏せるようにして強引に下ろしてしまったが、そうしてしまうと真美は意外なほど怒らなかった。ただ、恥ずかしさに顔を真っ赤にして体を手で覆い隠そうとしただけである。逃げられてしまうことすら覚悟していた栞にとっては拍子抜けだった。
「…ん」
 唾液が少なくなってくると、栞はまた自分の口元に手を運んで唾液で濡らした。そして真美の秘裂の中を次第にぬめった液体で潤していく。いかに幼い外見の秘裂とは言え、ぬめった液体で光り始めてはいやらしく見えてくるのは避けられない。
 それに、栞も当たり前のことながら唾液を垂らすだけではなく、粘膜をそっと撫で回しながら唾液に濡らしていっているのだ。次第に粘膜が肥厚して、紅の色彩も強くなっていく。真美の幼い外見の中で、性器の興奮が際だち始めていた。
「…あっ」
 それを見計らって、栞は本格的に真美の秘裂の中を愛撫し始めた。
「どう…ですか?」
「き…きもち…いいけれど…」
「真美ちゃん、もう感じてるんですね」
「だ、だって栞ちゃんがずーっと触ってるんだもんっ」
「でも、真美ちゃんの方が敏感じゃなくちゃもう気持ちよくなんてなりませんよ」
 栞はこちょこちょと真美の割れ目の上端をくすぐる。
「ん…ん」
「真美ちゃん、どうかしたんですか?」
「わかってるくせにっ…」
 真美が顔を真っ赤にしながら栞をじぃっとにらむ。
「ここですか?」
「ひぅんっ!?」
 栞が指をずるりと突っ込むと、真美はあられもない声を上げた。
「あれ?真美ちゃん?」
「し、栞ちゃんの…いじわる」
 平然とした顔で自分を見ている栞に、真美は抗議する。もう羞恥の心はだいぶ薄れてきているようだった。真美の秘裂は小さな粒まで露わになっていたが、それを見られていることをわざわざ気にしている様子はない。
「ここ、触ってるんですね」
「う…」
「嘘をついても、すぐにわかっちゃいますよ」
 くりゅ、くりゅ。
「!!栞ちゃ…」
 真美は片目をほとんど閉じるまでにぎゅっと顔をしかめて、ぷるぷると体を震わせた。
「やっぱり」
「うぅ…」
 栞はちょっとした笑みを浮かべながら真美を見つめる。真美は栞から目をそらしていたが、否定をする事はなかった。
 実際、あの学園において自慰を経験していない生徒などほぼ皆無に等しい事は栞も段々気づいてきていた。むしろ、香里や佐祐理との事件があるまで性に無垢だった栞が例外的存在だったようである。
「だ、だって…栞ちゃんだってしたことあるでしょ?」
「…あんまりないですよ」
 強制された事しかない、とはさすがに言えなかった。栞の頬をひそかに冷や汗が伝う。
「ガマンできるの?」
「じゃあ真美ちゃんはどれくらいしてるんですか?」
「……」
 真美は口を尖らせて黙り込んだ。
 くりゅっ、くりゅっ。
「………」
 だが、栞がかすかな微笑みの表情も変えずに指を動かし続けていくと、真美は段々落ち着きをなくしていく。腰を少しよじらせたり、息を吐き出したり、時には小さなあえぎ声を漏らしたり。
「真美ちゃん、どうかしたんですか」
「いじわるぅっ…」
 真美はすねた声で言ったが、体の方は快感に飲み込まれてきているようだった。目にも力がなくなり、栞の指戯に溶けたようになっている。
 …ぴた。
「え」
 その時、栞が突然指を止めた。
「質問に答えなくちゃ、もうしませんよ」
「ひ、ひどいよぉっ…」
「気持ちよくなりたいでしょう?」
「…栞ちゃんのいじわる…!」
 真美はぷーっと膨れたが、すぐにくたっと首を前に垂らす。
「二回」
「一日に?」
 栞が身を乗り出す。
「…うん」
「多いときは?」
「二回…だよ」
「嘘ですね」
「……………四回」
「最高で?」
「…ななかいっ…!」
 顔を間近に近づけられての畳みかけるような質問に、真美は耳まで真っ赤にして白状してしまっていた。
 がちゃ。
「!!?」
 真美はびくっと体を震わせて、入り口のドアの方を見る。
「あ…あ…」
 最初は、純粋な驚きのようだった。だが、ドアの所に立っている人間を見た瞬間に表情が変わる。
「な、なんで…?」
 家に入るときに見た、栞の姉だ。香里と紹介された。しかし今は服を全て脱ぎ払っている。しかも、股間からは少女としておよそ似つかわしくない物が生えて、天井を仰いでいた。
 …とんっ。
「栞ちゃん?栞…ちゃんっ!?」
 突然栞は真美の体の上から身を起こし、ベッドから下りる。そしてドアの方に向かって歩いていった。
 …ばたん。
 真美の方に向かって歩いていく香里とすれ違い、入れ替わるように部屋を出てドアを閉める。
「……や、やめてくださ…いやっ!?いやああああああぁっ!?」
 栞が背中をぴたりとドアにつけていると、すぐに暴れるような音と悲鳴が聞こえてきた。そこに、くぐもった粘液質の水音が混ざってくる。
「いたいっ…いたああっ…んんんん!?」
 叫び声が止まった。香里が口をふさいだのかもしれない。ドア越しにも、ぐちゅぐちゅという粘った音がはっきり聞こえるようになった。
「栞ちゃん…」
「あ…」
 横から聞こえてくる声がある。そこにはあゆの姿があった。
 栞と同じように全裸で、秘部にはどす黒い色のバイブが突っ込んだままにされて鈍い振動音を立てていたが。
「あゆちゃん…」
 口元がよだれを垂らしたようにべとべとしている。恐らく、さっきまでくわえさせられていた所だったのだろう。
「あの子…大丈夫そう?」
「う、うん…たぶん、大丈夫だと思うけれど…」
「そう…」
 あゆはぼうっとした目のままで答えた。
「栞ちゃん、悪いけれどもう少し部屋の外で待っててくれる?ボク…ちょっと…」
「う、うん」
 栞は気まずそうにうなずく。
「ごめんね…」
 あゆは一言謝って、栞の部屋の隣にある香里の部屋に入っていった。
 そして、陵辱の音に加えて、にちゃにちゃした粘液の音が栞の聴覚に混じり始める。
 くぐもった悲鳴と暴れる音と挿入の音と振動音と水音。栞は肌を晒したまま、廊下にへたりこんでいた。



9/8
「…なんでこうなるんだよ」
 一文字一文字を区切るようなこわばった声だった。全ての文字に一つずつ濁点が増えているように聞こえる。
「面白いんじゃないかと思ったのよ」
「北川さん、結構似合ってますよ」
「…栞ちゃん、それ全然フォローになっていない」
 にこにこしながら言う栞に、北川は涙を流しながら抗議する。
「今の、フォローだったの?」
「あんまり、そうじゃないつもりだよ」
「…むごい」
 同じ笑みを浮かべたまま栞が香里に告げた言葉を聞いて、北川の落ち込みがさらに深まる。
「だ、大体、なんで制服?」
「それが一番わかりやすいからよ」
「何が…?」
「みじめさが」
「……自分のいつも着ている制服だろ」
「北川君が着ているときと私が着ている時じゃ意味合いが違うでしょ?」
「…そりゃ」
 ハイソックスを履かされてスカートの丈を長めにしている状態である。割と生地自体はゆったりしているため、顔立ちをのぞくとあまり性別の区別がつかなくなる制服とも言える。それでもデザインには、どう考えても少女趣味が混じっていると言えるだろう。
 つまり、女の子が着ると女の子らしく見え、男が着ると少し女の子らしく見える。
「じゃあ、なんで外…?」
 夕方の校舎裏。夏休みなので人はいなかった。
「うちにはずっとお母さんがいるのよ」
「ホテルは…」
「見つかったらどうするつもり?」
「俺の家は…」
「ダメに決まっているでしょう」
 理由すら言わずに却下された。
「じゃ、じゃあ、栞ちゃんがいるのは…?」
「祐一さん、しばらく東京に行っちゃっていますから」
「それとこれと何の関係が」
「お相伴させてもらえるそうです」
「…おしょうばん?」
「だから変な気を起こしてもらわないためにもその服なのよ。その状態で栞に覆いかぶさっても間抜けなだけでしょ」
「ま、待てぃっ!相沢がそんなことOKすると思ってるのか!?」
「祐一さんは寛容な人ですから」
「寛容と言ってもだな…」
「もう半分は好奇心です」
「………栞ちゃん」
「さらに言えば、その服は口止めの効果も十分にあるわけよ」
「…なるほど」
 何が何やらだが、納得するしかなかった。こんな格好をした事を吹聴されたたら、北川は流氷に向かって身を投げかねない。もっともこの季節では生還してしまう危険性が大だが。
「説明はもういいですよね?」
「そうね」
「…う」
 姉妹そろって、ずいと一歩寄ってくる。
 香里と比べても北川の方が身長は高いが、北川の今の格好ではどう考えても力関係的に劣っていた。北川は両手を身体の前で合わせて二人の動きをうかがう。
「じゃ…」
「うん」
 香里が北川のスカートに手を掛ける。
「………」
 どうにも反応のしようがない。北川は硬直して、香里の次の行動を待つしかなかった。
 ごそっ。
「…うっ」
 香里はスカートの中に手を入れると、慣れた手つきで北川の肉棒を引っぱり出した。ショーツは面倒くさいという理由で回避され、トランクスを履いたままでいることは許してもらえなかったのだ。
「なにこれ…こんなんじゃダメじゃないの」
「そ、そんな事言っても…」
 北川のペニスは十分な勃起を見せていなかった。
「仕方ないわね」
 香里はスカートの中でぐにぐにとペニスをこねくり回す。
「う…うう…」
 パンの生地でもこねているような無感情な扱い方だったが、狭苦しい空間での手淫は段々と北川の興奮を高めていった。スカートの下からペニスに向かって風が吹き込んでくるのも、不思議な刺激となってくる。
 まるで電車の中で痴女にいたずらをされているような、内に向かう快感だった。
「ん…北川さん…きちんと大きくならなくちゃ…だめですよ…」
「栞ちゃん…」
 ふと栞を見ると、自らスカートの中に手を入れて自慰を行っている。逆の手はTシャツの上から小さな胸を転がしていた。服の上からではもぞもぞと動いているようにしか見えなかったが、もう息が荒くなっているところを見るとかなり激しく指を動かしている様子である。
 それが決定撃となって、北川のペニスは完全に勃起した。香里の手の中で、スカートを思い切り突き上げるほどに固くなっている。
「ちょっと触っただけでこんなにして…北川君っていやらしいわね」
「か、香里が触ったんだろ…」
「口答えする気?」
 ぎっ…
「あぐっ!や、やめてくれっ…俺が悪かった」
「全く…」
 香里は肉棒に突き立てていた爪に入れた力をゆるめた。中指一本だけだが、容赦のない力の入れ方だ。長くすれば、痕がついてしまいそうである。
 ところが、情けない事に北川はそれによってさらに勃起を激しくしてしまった。もう充血しきった亀頭が痛いほどだ。
 …しゅるっ。
「…栞ちゃん」
 その様子を見て、栞はスカートを穿いたまま白いショーツを脱いだ。靴を履いた足の先からそれを抜き取り、折り畳んで自分の持ってきたバッグの上に重ねる。
「少し、濡らしちゃいました」
「先に脱げばよかったじゃない」
「ゆ、祐一さんとずっとしていなかったから、思ってたより早く我慢できなくなっちゃって…」
 栞は頬を染めてうつむく。
「あれだけひとりエッチしといて何言ってるの」
「み、見てたの!?」
「見てなくてもわかるわよ、それくらい」
「…で、でも、ひとりでするのと祐一さんにしてもらうのはやっぱり…っ」
 栞が足と足をすり寄せる。
「どうしたの?」
「お、思い出したら…ますます」
 内股の歩きにくそうな体勢のまま、北川と香里の方に栞が近寄ってくる。
「寝て」
「え?あ…」
 香里がペニスを握りしめる手を離した。北川はアスファルトの上に身を横たえる。陰なのでひんやりとした感触が感じられたが、それはかえって全身の熱さを際だたせ、状況の異常さを深く認識させた。しかも、スカートの裾が足に触れる、生まれて始めての感覚も加わってくる。外で昼寝をする時の感覚とは、何もかもが違いすぎた。
「北川さん…」
「し、栞ちゃん」
 改めて、こんなところでこんなことをしていいのかという思いが生まれてくる。だが栞は性欲に火がついてしまっているようだし、止める事はもう不可能のようだ。
 何より、もう既に栞は腰をかがめて北川の上に乗ってきてしまっている。足を大きく開いた奥は逆光になってよく見えなかったが、光さえあれば高ぶった栞の秘裂が丸見えになっているはずだ。
 スカートのゴムとお腹の間に挟まれていたペニスを、栞がぎゅっとつかむ。
「くぅっ…」
 先の方を持たれたため、痛みも走った。だが、香里に比べても細く華奢な指先に自分のペニスが包まれているのを感じると、興奮せざるをえない。
 栞はスカートのゴムの部分をまくりあげるようにして、ペニスを空に向かって直立させる。そしてそこに、自分の秘裂をあてがっていった。
 欲望にたぎった瞳は、栞が小柄で幼く見えるだけに一層ぎらぎらと光って見える。普段おとなしそうにしている少女が、ここまで性欲を高鳴らせるものなのか…と北川は心の中で驚いていた。
 …ぬちゅる。
「んっ」
 先端が栞の性器に触れた。それだけで粘っこい水音が聞こえてくる。
 ぬちゅぅ…ぷじゅっ、じゅるっ…
「はぁっ…」
「くぅぅ…」
 あとは、一番奥まで飲み込まれていくだけだった。
「お、奥に当たってます」
 栞は北川の腹の辺りに手を当てて、呆然とした目で虚空を見つめている。一見すると、少女と少女が服を着たまま交わっているように見えた。栞のスカートは結合部分を中心としてふわりと広がり、二人がどのようにつながっているのかをまるで見せていない。
 じゅぶ、じゅぶ、じゅぶ。
 狭いながらも豊富な愛液で潤滑している栞の中と、北川のペニスがこすれ合う。
「はうっ…あああっ…」
「う…」
 栞が前にスライドさせるようにして腰を振る。その度に、くぐもった水音が響いた。外からではスカートに隠されてまるで濡れた様子が見えないのに、実際には結合した部分が熱い粘液をぬめらせているという奇妙な状態。
 じゅぶじゅぶっ。ぬちゅっ。
 腰を振られる度に、北川の身体は揺すられて後頭部や背中がアスファルトにこすられる。香里との性交で騎乗位には慣れている北川も、柔らかいベッドの上ではない場所でするとなるとまた違った気持ちになってくる。最近は感じなくなってきた、犯されているという感覚が生まれてきてしまう。
「はぁっ…はああっ…」
 栞は北川の事など構わずに、ショートカットを振り乱しながら思い切り腰を振っていた。ややもすると、北川の頭ががんがんとアスファルトに打ち付けられそうになる。脳が揺すぶられるような感覚だったが、北川はいつの間にかその感覚に身を委ねてしまっていた。
「もうそろそろなんじゃないの?」
 香里が冷静に言う。
「そ、そうだな」
 北川はふと理性を取り戻した。このまま中に放出するわけにはいかない。
「ん…んっ…」
 それでも動きを一向に緩めない栞のピストン運動と締め付けによって、あっという間に射精感はせり上がりペニスの根元まで達する。
「で、出るっ…栞ちゃんっ…」
「…っ!」
 栞がどんと北川の腹を押すようにして、身を跳ね上げた。
「ぐ…」
 その衝撃もかなりのものだったが、止まらない。
 びゅっ、びゅっ、びゅ…
「あ…う…」
 何もなくなった空間へ、精液が放出される。それは勢いを失って、力無く北川のスカートの周りに付着していった。身をぴったりと包む制服と、放出感とのアンバランスさが変な充溢感を北川に与える。
「汚したわね」
「え、うぇっ…だ、だったら最初からそう言ってくれれば」
「常識で考えればわかるでしょ?」
「そ、そんな…うぷぅっ!」
 ちゅぐっ。
「あっ…そこ、そこですっ!」
「ん…うぷぅっ」
 北川の顔に、突然栞の秘部が押しつけられた。息苦しさに北川が暴れて、愛液でべとべとになった敏感な突起に猛烈な刺激が加えられる。
「まずはその子をイカせてからね」
「はっ…はぁ」
「うぷっ…」
 栞のスカートの中の暗闇で、北川は涙を流していた。



8/23
「祐一さんの、すごいですね」
「この程度で驚いていちゃだめよ」
「うん、お姉ちゃん」
「ここの皮、こうすると」
「簡単に剥けて…こうなってるんだ」
「準備はこれで十分よね…そうすると」
「私が先でもいい?」
「こういうのは姉が先にいくものよ」
「お姉ちゃん、ずるい」
「すぐに栞の番になるから、大丈夫よ」
 香里が確かめるようにそそり立った肉棒を握る。
「固そう…」
「実際固いわよ」
「知ってるけれど…こうしてみると」
「確かに、少し違って見えるわね」
「…おい」
「でも、いつもと物が変わったわけじゃないんだから、怖がることはないわよ」
「怖がったりなんかしないよ」
「実際にするとなると…」
「そういうお姉ちゃんは?」
「別に、こんなのこうすればいいんでしょ」
「おい…」
 ちゅぷ。
「わっ、全部一気に…」
「おいっ!香里っ!栞っ!」
「ん…ふんっ」
 ちゅぷちゅぷちゅぷ…
「すごい…」
「ふぅっ…こんな感じでしょ」
 香里は口を一度離すと、得意げに言う。
「今のだけで…もうべとべと」
 栞が肉棒をつまんで、にゅるにゅると上下にしごく。
「こら、まだ栞の番なんて言ってないでしょ」
「えー、一度したのに…」
「今ので一度なんて言わないわよ。大人しく待ってなさい」
「はぁい…」
 名残惜しそうに肉棒をつついてから、栞が手を離す。
「じゃあ、今度は本気でいくわよ」
「おいっ!話を聞けっ!」
 すぅぅ、と香里が思い切り息を吸い込む。
「香里っ…」
 ちゅぷ。
「栞っ!」
 ちゅぷ、ちゅぷ、ちゅぷ。
「わぁ…」
 香里のリズムに乗ったしごき立てに、栞がぼうっと顔を赤くする。どうしてそうなったのか、よくは分からない。ただ興奮しているのは間違いない。
「お姉ちゃんばっかりなんて、やっぱりずるい…」
「………」
 ちゅぷちゅぷ…
 口の動きは止めずに、目だけで栞の事を香里が見る。
「もう、我慢できない…」
 栞がふらっと動いて、香里の横に並ぶ。そして、無理矢理口を肉棒に近づけていった。
「………」
「ん…」
 ぺろ。
 夢見るような顔で、隙間の空いた根元や袋に舌をねっとりと這わせていく。小さな唇と柔らかい舌の愛撫は、幹をしごくのとはまた別のタッチだった。
 ぺろ、ちゅぷちゅぷ…
 二人はそのまま顔を密着させるような状態で熱心に祐一の肉棒をしゃぶり合っていた。だが、さすがに幾度も頭をぶつけるような姿勢では集中できないらしく、ついに香里の方が顔を上げる。
「仕方ないわね…」
 ぺろぺろ…
 栞は自由になったのをいいことに、一人で舌をあちらこちらに這わせていた。
「栞、もっと左に行きなさい」
「?」
 ちろっと舌を出した状態で、栞は香里の顔をうかがう。
 つ、つ…
 栞は肉棒をぐるりと舐めながら、その言葉に従った。すると香里は栞と同じように、舌を出しての刺激を開始する。
「こうすれば、二人で一緒にできるでしょ?」
 こくこく。
 栞は頭を縦に振るだけだった。返事をする間も惜しいらしい。一番下から上までをなぞるように舐め上げていく。
「私も…」
 香里はその栞の動きに合わせた。二人で肉棒の左右を担当し、袋の部分から一番敏感な先端までの舐め上げを同じペースで行う。栞が袋を集中的に舐める動きを加えると香里も逆側を舐め、香里が雁首の所を盛んになぞり始めると栞も同じことをする。
 姉妹だからなのか、言葉によるコミュニケーションがないにも拘わらず息はぴったりと合っていた。
「う、うっ…」
『!』
 祐一が小さくうめいた瞬間、姉妹は跳ね上がるように顔を上に持って行く。
 びゅぷっ!どぴゅっ…!
 頬をくっつけた香里と栞の顔に向かって、白濁の液が吹き上げた。しかも、至近距離からである。たちまちのうちに、姉妹の顔はどろりとした液体だらけになっていった。
「んふぅ…」
「はぅ…」
 ひとしきり出きってしまうと、二人はそれぞれに精液を舐め取って、嬉しそうに飲み込んでいく。少しも嫌がっている素振りはなかった。
「うぉ…ちょっと待て…」
 そして、ほぼ同時に舐め終わると肉棒に残った精液を求めて二人は祐一の股間にまた顔をうずめていった。敏感な部分が再度激しい刺激に遭い、祐一は身体をよじらせる。
「一ヶ月前のお返しをもらっているんですから、我慢しなくちゃだめですよ」
「そうよ」
「信じられん…」
 三角関係というか、2人のセックスフレンドというか、普通ではない関係を構築してしまった事に祐一は少しだけ後悔していた。



8/18
(前振りが長すぎるという説が。)
「…で、なんなんだ?話って」
「は、はい」
 栞がぎごちなく受け答えする。
 人気のない校舎の裏。日が落ちかかり、そこにいる二人の影はゆらりと長く伸びている。そして、制服のリボンが上級生と下級生という関係である事を告げている。
 二人のルックスも考えれば、なかなか画になる状況と言えるだろう。栞が小柄で二人の間に身長差があるのも好条件である。
「あの…」
 おずおずと胸の前で両手を合わせている姿も、実に健気(けなげ)だった。真っ白な頬を染めているのは、夕日か恥じらいの感情か。
 小さな音を立てて、栞が祐一に歩み寄る。もう二人の間の距離は50センチとなかった。初対面同士でここまでに近寄る事自体、ひとつの態度の表明だ。
「…これ」
 栞が小さなこぶしを裏側にして祐一に見せる。中に何か入れていると言わんばかりに。プレゼントと見るのが自然だろう。
 祐一が視線を落とし、その栞の手に注目する。
 …ぎゅっ!
「!」
 が、栞は次の瞬間思い切りそのこぶしを祐一の胸に押しつけていた。
 ばしゅぅっ……!!
 その、握った栞の手からまばゆいばかりの光が幾筋もほとばしる。その中に握っていた物体が強烈な発光を見せたようだ。しかし、栞の手の平の中に収められる物体のサイズには限界があるはずである。それを考えれば、明らかに異常とも言える発光量だった。
「…くっ」
 たっ!
 祐一が小さく声を漏らすと、素早い身のこなしで栞は大きく後ろに飛ぶ。そして綺麗に着地すると、手の中の小さな物体を構えるようにして祐一の事を鋭い目でにらみつけ始めた。それは、臨戦の状態に他ならない。
 栞が手に隠し持っていたのは、やや細長い形状をした宝石のようなものだった。さすがに宝石にしては大きすぎるが、不断に鈍い光を放ち続けている所を見ると尋常の物体ではない事は明らかだ。それを右手で構えて、祐一に向けている。
「容赦はしませんよ…」
 栞は言った。一方の祐一は平然とした顔でそれを聞いている。
「ほう」
 祐一の手は紫色に変色していたが、それは体調の狂いを示すものではなさそうだった。まるで塗り込めたような、人工的で深い紫なのだ。そして、栞の構えている物体と同じように、鈍い光を放ち始めている。人外の領域に達しているとしか思えなかった。
「魔鉱石の結晶…そこまで大きいものがこの世界にあるとは思わなかった」
「私も思っていませんでした…でも、これを手に入れたからには」
 栞がきっ、と祐一を見据える。
「負けません、絶対にあなたには」
「だったら、不意をついて俺に何か打ち込めば良かったんじゃないのか?」
「確かめたかっただけです…9割9分そうだとは思っていましたが」
「甘いな」
 祐一が冷笑を浮かべながら言う。
「そんな事言っていられるのも今の内ですっ!」
 すっ、と栞が結晶を天にかざす。
 ばっ!
 結晶は先ほどと同じような、強い光を放ち始めた。今度は先ほどと違う、渦巻くような攻撃的な紅の光が生まれている。栞はそこに左手を添えて、前に突き出し、何かを撃ち出すような体勢を取った。
 栞のショートカットが後ろに吹き流され、制服がばたばたと激しく揺れている事からもエネルギーの奔流が生まれつつあるのは分かる。
「お姉ちゃんをあんな人にしてしまったあなたを…私は絶対に許さないっ!」
「香里か…あいつが覚醒せずに、お前が覚醒する…皮肉なもんだな」
「黙りなさいっ!」
 栞の表情が怒りを帯びたものになり、光の奔流は一層激しくなる。
「いきますよ…」
「だからお前はいつもツメが甘いと言うんだ…」
「はったりです…この状態であなたが避けられるはずがありません!」
「だったら、なぜこの場にあゆを連れてきた?」
「…え!?」
「いっ…いやあぁっ!?」
 びゅぅっ!
 祐一が空中で何かをつかむような動作をした瞬間、栞のはるか後方から悲鳴が上がる。
「うぐぅっ…いや、いやあっ!」
 校舎の陰から引きずり出されたのは、確かにあゆの姿だった。祐一の術によって、空中を勢い良く飛ばされているのだ。
「あ…あゆ…さん…」
 栞が後ろを向いて、呆然とした顔になる。すぐに慌てて視線を前に戻したが、その表情には明らかな動揺が走っていた。
「あれだけ…あれだけ来ちゃだめって言ったのにっ…」
「う、うぐぅっ…栞ちゃん…ごめんなさい…心配だったから…どうしても…」
 空中を飛ばされているあゆは栞の横を通り抜け、祐一の方に向かわされる。そして祐一の身体をちょうど防ぐような位置でふわふわと浮遊させられた状態になってしまった。
「祐一君…下ろしてよぉっ!」
「こいつの行動パターンも計算に入れないで出てくるんだからな…これで俺を倒すとか言うんだから、呆れたもんだ」
「あ…あゆさんを離しなさいっ!」
「魔鉱石をよこすんだな」
「………っ!」
 栞がエネルギーを維持したまま、ぎりっと歯を噛みしめる。
「バカでかいエネルギーをぶっ放すしか能がない奴が、どうやってこの状況を崩せるのか…聞かせてもらおうか」
「ひ…卑怯者っ」
 栞は気丈に言うが、その表情には既に弱さが生まれていた。祐一の言う事は全て事実だったからだ。
「祐一君の言うこと聞いちゃだめだよっ!栞ちゃん!」
「じゃあ、あゆは栞の術の犠牲になって死ねるというんだな?」
「うっ………うぐぅ…」
 …しゅぅっ。
 栞のコントロールしているエネルギーが収束し、消滅した。
 …ぽんっ…
 そして栞が力無くうなだれながら、魔鉱石を祐一に向かって投げる。それはあゆの身体の上を通り抜けて、しっかりと祐一にキャッチされた。祐一が無造作に魔鉱石をポケットに突っ込むと、栞は地面に崩れ落ちる。
「全部…ボクが悪いんだよね」
 泣きそうな顔であゆが言った。
「そんなことないです…私も相沢さんの術をきちんと見極めていれば…」
「そうだ、お前が全て悪い」
 祐一は栞に言い放つ。
「あゆの覚醒を待ってから二人で闇討ちでもすれば良かったものを…無駄で性急な行動でダメにするんだからな」
「これ以上…あなたを放っておくわけにはいかなかったからです…」
「下級な奴どもの数人がなんだと言うんだ…情に走って大局を見誤る辺りはこの世界でも変わっていないようだな」
「………」
 栞は下を向いたまま返事をしない。ただ肩を震わせているだけだ。魔鉱石を失った以上、抵抗の手段はないのである。
「さて、どうしてやるか」
「…あゆさんだけは許してあげてください…私がいなくなれば、覚醒することはないです…」
「ムシのいい願いだな」
「お願いです…私はどうなっても構いません」
「…じゃあ、こっちに来い」
「…はい」
 栞はのろのろと立ち上がり、歩いて祐一の所へと向かう。あゆの事も見えていないようだった。あゆは申し訳なさと心配さで一杯の表情で栞と祐一を見比べるばかりである。
 長いような短いような時間の後、栞は顔を伏せて祐一の前に立つ。
「手を出せ」
「…?」
「いいから手を出せ。両方だ」
「はい…」
 栞は祐一の方を見ずに、ただ両手を差し出した。
 すると、左手の指先にひやりとした感触が生まれる。少しおいて、右手の指先にも同様の感触が生まれた。
「………?」
 顔を上げて、栞は何が起こったのかを確認する。
「これは…」
 指の先だけが、紫の色に染まっていた。さらに鈍い光も放っている。つまり、祐一の両手と全く同じようになっているのだ。しかし、それ以上の変化は特に現れていない。精神的にも肉体的にも、これといった変調は感じられなかった。
「お前自身の手によって堕ちてもらう」
「え…!?」
 しかし祐一の言葉によって、栞の顔はさっと青ざめた。
「意味は分かるだろう?」
「そ、それは」
「お前がそうするなら、俺はあゆに手を出さずにいてやる。絶対だ」
「だ、だめっ!祐一君の言うことなんか聞いちゃ…それじゃ、前とおんなじになっちゃうんだよっ!」
「前と…?」
「お前は黙れ。これ以上言ったなら、こいつの首を吹き飛ばすぞ」
「うぐ…」
 あゆは言いそうになって、慌てて自分の口をふさぐ。
「本当に…本当に、あゆちゃんを助けてくれるんですね…?」
「お前がするなら、俺は絶対に手を出さない」
「…わかりました」
 未だ祐一の拘束の中にあるあゆが、その瞬間目を見開き、両手のこぶしをぎゅぎゅっと握る。今にも叫びだしそうだったが、そうする事はできないのだ。
「それと。俺の方を向いたままだ。姿勢を大きく変える事はするな」
 こく。
 栞は無言でうなずいた。
 …ごそごそ。
 それから、指先が変色した栞の手が動き始める。スカートの中に。
 どうやらそのままショーツの中まで指を侵入させてしまったようだった。さすがに栞の顔も恥ずかしさで真っ赤になる。憎い敵の前・緊張状態と言えども、他人の前でこの行為を平然とできる15歳の少女などいないだろう。
「うぅ…」
 そして、スカートの中から服と服が、服と肌がこすれる音が聞こえ始める。幾分ためらいがちの動きである事は音からも分かったが、動かしている事は間違いないし、手探りの不安定さのようなものがない。
「慣れてるな」
「………」
 栞は返事をしなかった。恥辱に頬を染めながら、一心不乱に指を動かしていくだけである。
 幸いにして、祐一がそれ以上の露出を求める事はなかった。と言っても、栞は祐一の正面を向いているのである。激しい屈辱感が栞を襲うが、それ以上に屈辱的だったのは栞自身が気持ちよくなってしまっているということだった。
 かと言って、全く気持ちよくなれなければいつまで経っても行為が終わらない。栞は自分の最も感じるように性感帯を触らざるを得なかった。まだ身体が未成熟の少女によくある事のように、それはほぼクリトリスと同義である。
「はぁ…」
 その小粒の突起をくりくりと転がしている間に、栞の呼吸は段々速く荒くなってきてしまった。それを隠す事は出来ない。少女の熱い吐息は、周囲の人間に栞の興奮を正確に伝えていく。
 じわっ…
「…!」
 さらに悪いことに、栞はショーツの中で愛液をほとばらせてしまった。無論見た目ではわからないが、ショーツとスカートの触れる音、ショーツと性器が触れる音が、ややくぐもったものになる。
 じわっ…じわっ…じわじわっ…
 少量であれば誤魔化せたかもしれないが、突起への刺激回数に比例して愛液の量はどんどん増していった。いつしか、ショーツは生暖かくてぬるぬるとした液体でぐしょぐしょになる。
「こいつ…濡れてるみたいだな」
「はぁっ…はぁっ…はぁ」
 栞は何とか無反応を貫こうとする。濡れた唇からあふれ出す吐息を出来るだけ抑えようと試み、身体の奥からの液体もとどめようと全力を振り絞る。だが、それらは全て時間の問題に過ぎなかった。
「…なんだこれは…」
「!」
 祐一が、スカートから見えている栞の膝を撫でる。すると、ぬるりとした感触が栞自身にも感じられた。あまりに濡れて液体を吸収できなくなったショーツから、太股を愛液が伝っていったのだ。
「自分で毎日どれだけ楽しんでいるんだ…変態が」
 栞は辱めの言葉に泣きそうになったが、もうそんな余裕もなかった。既に栞の身体は頂点に向かって一直線に流れつつあったのだ。
「あ、あ、あ」
 ついに栞が小さく声を漏らしながら、ぴくぴくと身体を震わせ始める。あゆはそれを見て、絶望的な表情になってしまった。
「………!」
 ビクビク…
 栞が立ったまま、全身を激しく痙攣させる。痙攣に合わせてかくかくと首が縦に振られ、ショートカットが揺れた。
 その瞬間、意識が暗闇に落ち込んでいったのだ。
 しかし気絶するわけではない。そのブラックボックスの中で、様々なものが再構成され、構築されていく…

 どん。
「うぐっ…」
 突然地面に落とされて、あゆは声を漏らす。慌てて祐一の事をうかがうが、
「もうしゃべってもいいぞ」
 祐一はそう言った。
「し、栞ちゃん…?」
 尻もちをついたまま、あゆは絶頂したままの姿勢である栞に声を掛ける。
 …ごそっ。
「栞ちゃん!」
 スカートの中からべとべとの手を抜き、ゆっくりと顔を上げる。栞の手ははっきりした紫に染まっていた。
「あゆさん…」
 近づいてくる。一歩一歩、ふらついた足取りで。姿形は栞のままだったが…
「や、やっぱり…」
 どう見ても正気ではない。あゆは、はっきりと絶望を感じた。
「一緒に…気持ちよくなりましょう…」
「だっだめっ!そうしたらっ!そうしたらっ!」
 ずりずりとあゆは後ずさりするが、栞が軽く手を回すだけであゆの身体は動かなくなる。
「約束だからな。俺はあゆには手を触れない」
「し、栞ちゃん!目を…目をさましてぇっ…うぐぅっ…」
 栞の柔らかな唇が、あゆの唇に重なった。


7/25
(このシチュを、某栞萌えのお方に捧げます。批判禁止(を)
 こんこん。
「はい」
「…栞?」
「いいですよ」
 かちゃり。
 静かな音を立てて、僕はノブを回した。
 そうするつもりは無くても、栞の部屋に入るときにはドアノブの音が静かに響く気がする。それも、静謐な空間に合わせて音が自ら滑らかさを演出しているような、そんなイメージだ。
「…どうしたんですか?」
「え?」
 突然疑問を投げかけてくる栞に、僕は少し戸惑う。いつもなら、入ってくる時に理由を聞くことなどしないのに…
「お兄ちゃん、なんだか難しそうな顔をしています」
「あ、いや…なんでもないよ」
「そうですか?」
「うん」
 内心苦笑いをしてしまったが、嫌な心地ではなかった。栞の部屋に入ろうという時に心を少しファンタジックに高鳴らせてしまうのも、けして悪い癖ではないだろう。僕にとっても、栞にとっても。
「調子は?」
「いつもと同じですけれど…お兄ちゃんが来てくれたら、少しよくなったみたいです」
「栞…そこまで合わせてくれなくてもいいよ」
「…でも、嘘じゃないです」
「嬉しいけどさ」
 そう言って、僕は栞の寝ているベッドにゆっくりと歩み寄っていった。自分の部屋の隣にある部屋なのに、どこか他人めいた、女の子の感性がゆき届いているような部屋。基調になっているのは抑え気味のトーンのライトブラウン。栞に一番似合う色だ。
 ころん、と栞が僕の方に身体を向ける。
「お兄ちゃん…」
「なに?」
「ただ、言ってみただけです」
「…そう」
 滑稽な会話だったかも知れないが、小さな笑みを浮かべながらそう言う栞の姿は僕に何よりの安心感と、高揚感…そういうと、少し語弊があるが…を与えてくれる。
「栞」
「なんですか?」
「ただ…」
「言ってみただけ、ですね」
「そうだよ」
 そう言いながら、僕は栞のベッドの横で立ち止まった。栞を上から見下ろす形になる。栞はそれに合わせて、少し身体の向きを天井の方に戻した。布団がごそごそという音を立てて、栞の前髪が少しだけ乱れる。
「お兄ちゃん」
 そう言いながら、栞は前髪をゆるくかき上げた。どこか憂鬱を感じさせる仕草だったが、僕は出来るだけ自然な微笑みを浮かべるように努力しながらそれを見つめる。
「寂しかった?」
「…はい」
 同じ家に住んでいても、基本的に部屋で寝たままでいる栞と、普通の兄妹のように気軽に会うこともない。アルバイトや趣味の忙しさもそれに拍車を掛けているかもしれない。だから、会う度に栞にそういう事を問いかける事になる。
 その忙しさに後ろめたさはあったが、栞と会う一度(ひとたび)の意味をしっかりと噛みしめるためにはかえってプラスになっているのかもしれない。それが、僕と栞の暗黙の了解だと、少なくとも僕は解釈していた。
「ごめん」
「いいんです…こうやって、来てくれる事をお兄ちゃんが忘れなければ」
 こういったやり取りのひとつひとつが、僕と栞の、遠さと近さを内包した関係を維持するための糸なのだ。
「………」
 僕はベッドの一角に手をついて、栞の上に覆いかぶさるような体勢になった。そして逆の手で栞のショートヘアを軽く撫でる。
 やや色素の薄い髪の毛は、差してくる日光の加減で茶色がかって見える。染めている僕の髪とは違う、ナチュラルなブラウンだ。その手触りも、一本一本が絹糸のようにさらさらと指の間を流れていく。
「栞…」
「お兄ちゃん…私…」
 栞が多少瞳を潤ませながら、僕の腕をつかんだ。そして、離す。
「……うん」
 僕は起き上がって、体勢を元に戻した。
 栞は、布団を少しだけめくり上げると、そのまま指を自分のパジャマのボタンに持って行く。僕は何も言わず、それを見ていた。
 ぷちっ…ぷちっ、と音無き音が立って、栞は一番上からそれを外していく。薄いピンク色をした栞のパジャマが、上から3ボタンだけ外される。
「………」
 栞は無言でそのパジャマを横に開いた。白い肌が露わになる…つまり、胸をはだけた状態になる。そこに下着はつけていなかったから。
 かすかな恥じらいの表情を浮かべつつ、栞は布団の中に手を入れてしまった。パジャマの間からは、ふたつの小さな膨らみがはっきり見えている。
 僕はベッドに上がり、布団の上からその栞をまたぐようにして覆いかぶさった。膝立ちのまま左手をベッドの上に突いた、栞に全く体重を掛けていない姿勢だ。
 その姿勢になると、控えめな栞の膨らみの様子がくっきりと僕の視界に入ってくる。その先端にある桜色の小さな突起も含めて、すべてが僕の目の前に露わになる。
 でも、栞は恥じらいの表情すら消さなかったが、嫌がる素振りを見せる事は決してなかった。
「栞…」
 呼びかけと同時に、僕は自由な右手を栞のパジャマの間に忍ばせた。そして、左右の膨らみを交互に優しくさする。柔らかで弾力ある感触を楽しむように、ゆるゆると撫でていく。
「栞の、いつもみたいに柔らかいよ」
「でも…」
 小ささを気にしているのはいつもの事だ。だけど、この小ぶりにまとまった形良い栞の胸は、変に大きいよりも絶対に魅力的だと僕は思う。
 右手しか自由にならない不安定な姿勢だったが、僕は栞の乳房を慈(いつく)しむようにゆっくりと丁寧に愛撫していった。そうすると、栞の小さな胸でも、先端がポツポツと膨らんでくる。
 それから後は、指先で転がしたり、つまんでみたり、膨らみ全体を包むようにしながら先端を指の間ではさんだり、いろいろだ。段々頬を紅潮させて、泣きそうに目を潤ませて、それでもどこか嬉しそうに見える栞の顔はたまらなく可愛い。刺激の度に少しずつ切なそうに上がってくる吐息も、魅力的だ。
「はぁっ…」
 そうしてたっぷりと膨らみを愛してあげてから、僕は栞を解放した。栞が深く息をつく。はっ…はっ…と、上がってしまった吐息を隠しきれないままに、栞は僕の次の挙動を待っている。
 僕はにこりと笑った。行為自体の持ついかがわしさとは無縁なほどに、清潔に微笑むことができた。
「いくよ?」
「はい…きてください、お兄ちゃん…」
 栞がけなげに言う。いつ見ても心を揺り動かさずにはいられない瞬間だ。
 その瞬間を堪能してから、僕は栞の布団をさらにめくり上げていった。パジャマのボタンが外されていない、お腹の部分を通り過ぎて、さらにその下まで。
 そこまで達すると、何も履いていない栞の下半身が少しずつ露わになってくる。正確には、膝の辺りまで脱いでしまっているのだ。パジャマも、下着も。
 肝心の部分はパジャマの上着の部分で隠れている。僕はそれをたっぷり10秒かけてめくり上げていった。
「いやっ…」
「栞の、キレイな部分…」
「そんな事言う人…嫌いです…」
「…ごめん」
 時々言って、栞に嫌がられる言葉だ。僕は素直に謝った。
 ぴったりと合わされている部分は、一本のスリットでしかない。そこを多少でも隠すべきヘアがないのは…病院のためか、元々なのか、さすがにそれはわからない。
 僕は右手の人差し指をぴとっ、とスリットの真ん中に当てた。
「ふっ…」
 栞がわずかに身体を震わせる。それを合図に、僕はスリットに沿って指を上下し始めた。
 最初のうちは無反応に近かった栞も、時間が経つにつれて脚をよじらせたり、大きく息を吐き出したりと、目に見えた反応をするようになる。
 頃合いを見計らって、僕は指を沈めた。
「あふぅ…」
 栞の熱い息。そして僕の指も、あたたかな粘膜に包まれる。
 全身、すべすべとした肌とさらりとした髪の毛に覆われている栞も、この部分はぬちっ、ぬちっと絡みつくような感触を持っている…
「あっ…あ!」
 でも、栞が体躯を震わせながら上げる高い声は、栞らしさを感じさせて仕方がなかった。それが僕の指の動きに連動しているのだ。いきおい、行為全体も栞の軽やさに包まれざるを得ない。
 僕は栞の反応を見極めつつ、栞の熱い部分を少しずつ上に昇っていった。そして、栞のピンク色の突起がある所の周りを、指でくるくると回る。
「お、お兄ちゃんっ…お兄…ちゃんっ」
 栞がぐっとシーツをつかんで、ひっきりなしに僕の事を呼ぶ。思わず先を急いでしまいそうな状況だったが、僕は理性でそれを抑え込んだ。広げてみたならツンと尖り始めているのがわかるだろうその部分の周りを、僕は執拗なほどに刺激していく。
 そうする間に、栞が少し腰を浮かせ始めた。さらに僕は指の動きを速めたが、刺激する部分は変えていない。
「あっ…ああっ…あーっ」
 栞がきゅっと身を縮めた。
 僕は素早く指を下の方に移動させる。そこには、粘膜とは違う、明確な液体の感触が存在していた。
「は、恥ずかしいです…お兄ちゃんっ…」
 幾度経験しても、栞にとってこれは恥ずかしいらしい。でも僕は、そのぬるぬるした液を指先に十分なすりつける。
 そして、糸を引きそうになったその指先を、おもむろに栞の突起に押し当てた。
「ふうんっ…あ…」
 くりくりっ、と左右に転がすと、栞が身体をくねらせて応える。僕は液の潤滑にまかせて、次第に動きを大きくしていった。でも、ここまで十分に下準備をしてきたために、栞はいたがる素振りを見せない。
「栞…いくよ」
「は、はいっ…」
 僕が言うと、栞が身を固くした。
 そして、僕はその栞の敏感な部分に、集中的な愛撫を加えていった。さっきのように転がす動きから始まって、軽く叩いたり、押しつぶしたり、はじいたり、やや強めにつまんだり、ありとあらゆるバリエーションでそこをいじめ立てていく。
「くぅん…お兄ちゃんっ…私…私っ」
 栞がシーツをさらに強く掴んで、感極まった声を上げる。同時に、浮かせた腰が段々とせり上がっていって、栞の表情が切羽詰まったものになっていく。
 あとは、夢中で指を動かすだけだった。何も考えない。栞の上げるかん高い嬌声を耳に、無言で愛撫していく。
「くっ…んっ…おっ、お兄ちゃんっ!!」
 きゅんっ、と栞の身体が一瞬大きく跳ね上がった。
 そして、パタンとベッドの上に落ちてくる。
「んっ…はぁっ…はぁっ…お兄ちゃん…私…」
「…可愛かったよ、栞」
「お、お兄ちゃん…言わないでください…」
「本当だから、仕方ないよ」
 しどけない服装の栞は、いまにもスリットの間からとろっと液体がこぼしてしまいそうな様子だった。僕は身体を動かして、栞の額にそっとキスをする。
「あ…お兄ちゃん」
 栞がつぶやく。今してきた行為に比べればとても小さな行為なのに、それだけで夢に連れて行かれたというような表情になる。
 僕は、身体を起こしてベッドから一度下り、そのままベッドに腰掛けた。
「栞…」
「お兄ちゃん」
 栞の乱れた服装を直すことすらせずに、僕と栞は呼び掛け合う。
 はじまりは、何かのおまじないだったような気もする。迷信めいた行為を、ふたりで共有するためのものだったような気がする。
 だけど、きっかけなんてどうでもいいことだ。
 そのあとで、何も言わずに栞の横に座っている時に…ふたりが一緒にいるという感覚をより濃密にできる事を、僕も栞も知ってしまったから。
 妹との不思議な交歓を、きっと僕は信じ続ける。


7/8
「どういうつもりなの!?」
「ど、どういうって…」
 栞は面食らった表情で言う。激しく肩をつかんで叫ぶ香里の姿は、これまで栞が見たことのないものだった。
「聞いたわよ…あなた、倉田と」
「えっ…」
「一体、何を考えてるの!?よりにもよって、倉田なんて…」
「お、お姉ちゃん、落ち着いて…」
「落ち着いてられないわよっ!あなた、何をしたのかわかってるの!?」
「わた、私は、倉田先輩が優しくて好きだったし、だから…」
「はぁ…栞、あなた何もわかってないわ」
「何もって…」
「あの倉田がどういう女か、あなたわかっていないのよ」
 香里は吐き捨てるように言った。
「先輩は、途中から編入した私をいろいろ助けてくれたり、他にもいろいろ…それで、先輩って、その、お姉ちゃんと同じで、アレがあるから…それで」
 栞は顔を真っ赤にして、もごもごと言う。
「あのね、栞、あなた遊ばれているだけなのよ」
「え」
「わかってるだけで二十人以上…下手すりゃもっとね。川澄っていう女と組んだりもしてるらしいけど…」
「ま、舞さんが!?」
「そうよ」
「そんな…だって、舞さんは、普通の」
「ノーマルだからって、倉田に加担しないとは限らないでしょ」
「でも…」
「無口で無愛想な癖に、アッチになると倉田と同じくらいすごいらしいわよ」
「そんな、そんな、そんな」
「信じなさい…と言っても、ムリかも知れないけど」
「…うん」
「だから」
 ピシッ!
「きゃあっ!?」
 栞は床に転がる。香里が平手を張ったのだ。それほど強い力では無かったが、華奢な栞の身体にとってそれは十分な衝撃だった。
「力尽くでも信じさせてみせるわ」
「お、お姉ちゃん、なんでっ!?なんで、こんな事を…」
「私の実の妹が倉田側になるなんて許されないのよ!」
「な、なんで、そんな、私、倉田先輩側って」
「あいつを先輩づけで呼ぶのはやめなさい。それと、私にも敬語使ってしゃべりなさい」
「お、お姉ちゃん!?どうしたの!?こんなの、変だよっ…」
 ずんっ!
 香里が爪先で栞の脚を蹴る。靴下越しだが、鈍い衝撃は栞を戦(おのの)かせて動けなくさせる。
「いい?」
「は…はい…」
 栞は恐怖を顔に張り付かせて、うっすら涙を浮かべながら言った。
「あなたが自分で入り込んできたのよ。そうしなければ、私もこんな事をしないで済んだのに」
「私、私が、何を」
「今に分かるわ」
 香里が自らのスカートをつかみ、脱ぎ去る。そして、その下につけられた漆黒の下着も取り去ると、そこには栞をにらみつけるように屹立した肉棒が存在していた。
「舐めなさい」
「えっ…そんな」
「早くしなさい?それとも、この程度でもたもたしていたら、どうなるのか一回知っておいた方がいいの?」
「や、やります!やらせてくださいっ!」
「…少しはわかってきたみたいね」
 栞は震える身体を何とか起こして、姉の示す肉棒に恐る恐る触れる。
「こ、こんなに…」
「はじめて見るってわけじゃないでしょ」
「は、はい」
「まずはそのまま舌の先っぽで舐めなさい」
 つつっ…
 栞は言われたとおりにした。肉棒の最も先の部分を、舌の一部分だけで這うように刺激する。佐祐理に対してそういう行為をする事も栞は考えた事があったから、栞の舌は予想以上に滑らかに動いた。
「そう…それで、ぐるっと回してみて」
 ちゅるっ。
 唾液を絡ませながら、栞は先端部分を舌で一回りする。
「上手いじゃない…さては倉田に教わったのね」
「し、してませんっ!佐祐理さんのあれで、してもらっただけですっ」
「…まぁいいわ。そしたら、今度は口全体でくわえて」
 間髪入れず、ぱくり、と栞は香里の肉棒を口粘膜で包み込んだ。それほど匂いは強くない。むしろ、女性器の匂いに近いかも知れない。
 そう思いながら、栞はちゅくちゅくと上下の運動を開始した。
「そ、そうっ、いいじゃない」
 香里はぐっと栞の頭を押しつけながら、言った。まがりなりにも姉妹の間の背徳的行為、しかも香里はあらざるべき器官の持ち主だ。その異常な状況を楽しんでしまうほどに、香里は行為に慣れ親しんでいる。
 一方の栞は、無我夢中になって肉棒を舐め上げていた。上下の運動を基本にしながらも、舌を滅茶苦茶にこねくり回して、香里の肉棒に少しでも強い刺激が加わるように心がける。繊細さにはやや欠けていたが、怯えきった妹の献身的な行為は十分に香里を興奮させた。
「これだけ出来れば…すぐに実戦に行ってもいいわね」
「………?」
 口を動かしながら、栞は涙でいっぱいの目で香里を見つめる。
「ふふ…それはこの後のお楽しみよ…」
 香里はゆっくりと栞の頭を撫でた。
 栞は不安に駆られながらも、行為を止める事はできない。やがて肉棒の先端から出てきたほとんど無味の液体も、気づく事なく舐め取っていた。香里の表情に少しずつ余裕が無くなってきたのも、まるで気づかない。同じペースで激しいフェラチオを続けていく。
「っくっ…出すわよっ…」
 どくんっ!
「………!?」
 栞の喉の奥を、灼熱の液体が激しく叩いた。
 慌てて肉棒から口を離した栞に、
 どくどくっ!どく、どくどくんっ!
 容赦なく香里の放出した体液が襲いかかる。激しい脈動の度に半透明の液体が栞の顔面に降りかかった。あっという間に、栞の服から額まで、汚されたという表現が相応しいほどに欲望の液体が付着する。
 それは、ひとつの儀式的な姿だったのかもしれないが…
「うぁ…」
「どうすればいいのか、わかってるわね?」
 うめいた栞に対して、香里は冷たく言い放った。


7/5
「はい栞ちゃん、力抜いてくださいね」
「え、ええ…」
 栞がぎごちなく言う。何とか筋肉を弛緩させようと試みているようだったが、なかなか上手くはいかないようだった。
「あははーっ、栞ちゃん、このままじゃ駄目ですよ」
「は、はい、すみません倉田先輩」
「いいんですよ、栞ちゃんははじめてなんですから」
 そう言って、佐祐理は唇を栞の顔に近づける。
「あ…」
 栞はかすかな動揺を見せたが、抵抗する事はなかった。
「んふぅっ…」
「ぁ…」
 唇が触れた瞬間、お互いが息を漏らす。佐祐理は満足げに、栞は不安げに。そして佐祐理が唇の間から舌を割り入れて、ごくごく浅い部分を舐めるように刺激すると、栞の不安感はますます高まってくるようだった。
 それでも、佐祐理が延々とそれを繰り返していくと、ある瞬間を頂点にして栞の力が抜け始める。初めは肩から足の先までこわばっていた栞の筋肉が、徐々にほぐれてリラックスしてくる。
 それに追い打ちをかけるように、佐祐理はより深く唇を合わせて栞の口腔をくすぐり始めた。ほのかに甘い香りのする佐祐理の舌が歯ぐきや上あごの粘膜を刺激する度に、栞は夢見るような感覚に誘(いざな)われる。
「ふぁ…」
 そして佐祐理がようやく栞を解放する時には、完全に身体がだらんとなって、奥底に温かな火が燃え盛り始めてしまっていた。受け入れの準備は、しっかり整った。
「栞ちゃん、どうですか?」
「は、はい…倉田先輩のキス、すごく素敵です」
「ありがとう…佐祐理も、栞ちゃんのお口の中を感じられてすごく嬉しかったですよ」
「はい」
「でも、そろそろ栞ちゃんの別のお口の方も感じてみたいですね」
「え、ええ、わかりました」
 栞は身につけていたただ一つの布地、ホワイトのショーツを自らの手でゆっくりと下ろしていった。膝から足首を通して、最後に脚全体を持ち上げるようにして抜き取る。後には、つるんとした栞の恥丘しか残されていない。
「栞ちゃんの、可愛いですよ」
「あっ、あんまり見ないでください」
「でも、見なくちゃ駄目なんですよ」
「…はい、わかってます…」
 栞は神妙になって答えた。そして、突然自分の秘裂の間に右手の人差し指を差し入れていく。それは、正確に彼女の最も感じるであろう部分に当てられている事が想像できた。
「あっ…せ、宣誓します」
「どうぞ」
 栞はぐにぐにと指を動かしながら声を絞り出す。
「わっ、わたくしっ、美坂栞はっ、この学園の規則にもとづいてぇっ、倉田、佐祐理せんぱいにっ、処女を捧げる事をっ、誓いますぅぅっ」
「わたくし、倉田佐祐理は、この学園の規則に基づいて美坂栞の処女を奪う事を誓います…」
 佐祐理が言い終えてから、栞はやっと自らを辱める指の動きを止めた。既に目にはうっすらとした涙が浮かんでいる。それが何に因るものかは、にわかには判断し難い。
「じゃあ、栞ちゃん、いきますよ…?」
「…はい」
 佐祐理も、唯一の着衣であったショーツを脱いでいく。ただ、そのショーツの色は栞とは対照的にブラックだ。さらに、その下に見えるのは明らかに女性にあらざるべき隆起…
「わ…」
「栞ちゃん、見るのもはじめてですよね…」
「は、はい」
「こんなになっちゃうんです…これが、栞ちゃんの中に入るんです、痛いと思いますよ…」
「構いません、私が選んだ事ですから」
「じゃ…いきます」
 佐祐理は栞におおいかぶさって、股間の隆起を栞の秘裂にあてがう。
「あっ」
「どうかしました?」
「い、いえ…ただ、すごくかたいです…」
「そうですね…」
 佐祐理はそれだけ言って、栞の入り口の部分を探っていく。やがて、肉棒が他の部分と比べてやや深めに沈み込んだ。
「ここ…ですね」
「はい」
「後悔、しませんよね」
「もちろんです」
「…いきます」
 ぐぐっ…
「……っ」
 ぐっ、と佐祐理がもう一押しすると、固い障壁に先端が当たった。同じように力を入れても、前には進まない。
「力、入れます…」
 ずずずずっ!
「うあぁっ!」
 佐祐理が力任せに腰を突き出すと、張り付いていた物を剥がすような感触と共に突き抜けた。そして、一気に栞の最も奥深くまで到達してしまう。
「だっ、大丈夫ですか!?栞ちゃん!」
「い…いたい…ですっ」
「やっぱり…」
「で、でも倉田先輩の責任じゃないです、はじめてだから仕方がないんです」
「栞ちゃん…」
 健気に言う栞に、佐祐理は愛おしそうな声で答えた。
「出来るだけ、ゆっくり動くようにしますね」
「ええ…」
 佐祐理は挿入した肉棒を少しずつ引き抜いていった。すると、幾筋かの鮮血が肉棒を伝って流れ、シミとなってシーツを赤く染める。
「痛い…ですよね…」
「いいんです…倉田先輩ですから」
「ありがとう」
 佐祐理は再び肉棒を中に突き入れていく。単純な狭さから来る圧迫感に加えて、栞自身が収縮して締め付けられるのがよくわかった。
「ああっ…」
「倉田先輩?」
「し、栞ちゃんの中、すっごく気持ちいいですよ」
「そうですか…嬉しいです」
「さ、佐祐理の一番弱いところ、ぐいぐいって、締め付けてくるんですっ…あっ…そ、そこ…」
「え、えっと」
 栞は痛みをこらえて収縮のコントロールを試みようとしていたが、すぐにやめた。自分の身体が動くままに任せていれば、佐祐理が十分な快感を感じられると判断したのだ。
「こ、これ…佐祐理、すぐに駄目かもしれません」
「いつでもいいです…私の中に、いっぱいください」
「え、ええ、いっぱい出しちゃいそうです…」
 佐祐理が少しずつ抽送のスピードを速めていく。栞はわずかに顔をしかめたが、耐えられないほどの痛みではなかった。
 佐祐理は全身に玉のような汗を浮かべて、息を荒げながら出し入れの運動を繰り返している。その表情には見る間に余裕が無くなっていった。
「あっ…もう、もう駄目みたいです…」
「はい…」
「あっ、あっ…出、出ちゃいますっ!」
 どびゅっ!
 瞬間、なま暖かい液体が自分の中に放出されるのを栞は感じていた。
 びゅっ、びゅっ…じゅびゅっ!
 液体は予想以上の勢いと量で栞の中を満たしていく。佐祐理は精根尽き果てたという顔をして、ただ放出に身を任せていた。
 肉棒の痙攣は幾度も幾度も続き、その度に飛び出した液体が栞の身体の奥底を叩いた。
「倉田先輩の…あついです」
 脈動が幾分収まってから、栞がつぶやく。
「ご、ごめんなさい…こんなにしちゃって」
 我に返ったような声。とぷっ、という音を立てて佐祐理は肉棒を引き抜いた。そこからは半透明の液体がとろりとあふれ出て、そのうち一部は血液の赤に混じった。
「痛かったですよね…ごめんなさい」
「いえ、倉田先輩がこんなに気持ちよくなってくれて、私すごく嬉しいです」
「栞ちゃん…ありがとう」
 そして二人はもう一度口付けを交わした。


6/19
 あゆはゆっくりと自分のスカートを持ち上げていった。
「み、美坂先輩に、ボクのこと抱いてもらいたいんです」
 その前にいるのは香里だった。人気のない夕方の女子校の空き教室。あゆも香里も、同じこの高校の制服を着ていた。
「………」
「ボクのはじめて、あげます…だから」
「悪いけど、お断りするわ」
「あ…」
 香里はあゆに一瞥をくれると、横をすり抜けて教室を出ていく。
「美坂せんぱいっ!」
 あゆが悲しそうな声を上げるが、その時にはもう香里は教室の外だった。
 やや不自然な情景にも見える。だが、この女子高校においてはそれほど珍しい話でもなかった。あゆが「はじめてをあげる」と形容した事も。

「んしょっ…わ、わっ!」
 あゆはバランスを崩しかけて、慌てて近くにあった雨樋(あまどい)をつかむ。
「うぐぅ…怖い」
 泣き出しそうな表情をしながら、あゆは恐る恐る屋根を伝っていく。向こうに見えるのはひとつのベランダつきの窓。どうやらそこを目指しているらしい。道路や家の入り口からは見えにくい位置になっているとは言え、見つかれば厄介な事になるのは間違いないだろう。
 だが、あゆはその窓に掛かっているカーテンが、隅のところをわずかに残して閉められているのを見て、俄然元気を出す。
「ひょっとしてっ…い、一日目から大当たりかな…?」
 音を立てないように注意しながら屋根の上を歩き、やがて窓のところに手が触れそうな所までたどりつく。運動神経の鈍いあゆでも、何とか移動する事が出来そうだった。
「こ、怖いけど…」
 思い切って、ベランダに飛び移る。柵を越える時にも、何とか音を立てないで済んだ。
「うぐぅ…怖かったよ」
 ひとしきり胸を撫で下ろしてから、忍び足で窓に近づく。そして、そぅっと部屋の中をのぞき込んだ。
「わ…!」
 あゆの望んだもの…香里の裸がそこにはあった。何度も夢想したその姿に、あゆは生唾を飲み込む。
 しかし様子がおかしい。どうやら一人ではないらしい。
「そんな…美坂先輩、つき合っている人なんていないはずなのに」
 愕然としつつも、あゆは狭いカーテンの隙間から、何とかしてそれが誰なのか確かめようとする。
「えっ」
 香里が体勢を変えた瞬間、あゆの目にはっきりと飛び込んでくる。香里に組み敷かれて恍惚とした表情を浮かべているのは、香里の妹の栞だった。同時に、あゆのクラスメイトでもある。
「そ、そんな」
 呆然としたあゆに、声が聞こえてくる。窓越しとはいえ、十分に会話の内容は聞いて取れた。
「どう?栞」
「い、いいです…お姉ちゃん、私をもっとメチャクチャにしてください」
「仕方ない子ね。いやらしい」
「そ、そうです、私はお姉ちゃんのおち○ちんがなければ生きていけない、いやらしい女の子です」
「嘘おっしゃい、こないだはバイブであんなによがっていたくせに」
「それは…ああっ」
 激しい香里のストロークに、栞はしゃべる余裕を無くす。
「栞ちゃん…」
 あゆはつぶやいた。普段のおとなしく礼儀正しい素振りからはまるで想像出来ない姿だ。受け答えの内容を聞けば、香里がどれほど栞に性行為を強要してきたのかよくわかる。しかも、実の姉妹だ。
「不潔だよっ」
 あゆは吐き捨てるように言って、
「助けてあげなきゃ」
 決意の言葉と共に、肩から掛けていたピンク色のポシェットの中身を探る。そこからあゆが取り出したものは、銀色に光る小さなデジタルカメラだった。あまりあゆには似合っていなかったが、フラッシュを切って、カーテンの隙間から中の行為に焦点を合わせる。
 ファインダー越しに見える扇情的な性交を、あゆは次々とカメラに収めていった。本来、香里の自慰行為を撮影する事を目的として持ってきたカメラだった。香里がひとりなら、そのまま窓を開けてその場で証拠写真を突きつけても良いとさえ思っていたのだが。
 そして、香里が何事か叫んで、一気に栞のヴァギナから肉棒を引き抜くと、栞の顔前に突きつける。次の瞬間、栞の顔を勢い良く放出された白濁の液が襲った。
「すごい…」
 香里の肉棒が脈動する度、栞の顔に粘液が叩きつけられる。あっという間に、栞の顔はべとべとに汚れてしまった。髪の毛から口元まで構わず、放出された液体が垂れている。
「あれが、ざーめんなんだ」
 栞は放出された液体を指で丁寧にすくっては、それを口でくわえて飲み下していく。その敬虔な仕草を、あゆは大いに興奮してカメラに収めていった。撮るべき対象が間違っているのにも気づかない。既にあゆは自らの性器をいじりたくてたまらない衝動に駆られているほどであったから。
 とても全てを舐め尽くすことは出来なかったが、一通り舐めてしまうと今度は愛おしそうに香里の肉棒を舐めていく。自らの愛液と飛び散った白濁の液に濡れたそれを、綺麗に清めていく。
「まだまだ、こんなもんじゃ済まないわよ」
「はい…私も、もっとお姉ちゃんにいじめてもらいたいです」
 まだするんだ…
 あゆはカメラをゆっくりとポシェットの中にしまっていった。証拠写真は十分すぎるほどに撮っている。それよりも、自分の身体の疼きを処理しないとどうしようもない…
 そんな、肉欲の方に頭が行っていたからだろうか。
 がしゃん!
「!」
「誰っ!?」
 カメラを落とした音に、香里の鋭い声が上がる。
「あ…あっ!」
 慌ててカメラを拾い上げた時には、香里は窓まで来ていた。そしてあゆの姿を確認すると、裸のまま臆面もなく窓を開けてあゆの前に姿を現す。
「とんだ泥棒ネコがいたものね…」
「ご、ごめんなさい、ボク、そんなつもりじゃっ」
 凛々しく天を仰いだ肉棒が、ますますあゆを怯えさせる。
「言い逃れは出来ないわよ。こっちにいらっしゃい」
「うぐぅ…」
 あゆはびくびくしながら部屋の中に足を踏み入れる。部屋の中には生臭い性臭が漂っていた。
「あ…あゆちゃん!?」
「栞ちゃん…」
「このコ、のぞきしてたのよ。しかも栞の友達とはね…栞、友達はもっと選びなさいよ」
「あ、あゆちゃん」
「ごめん…ごめんなさい、許して下さい…」
 あゆは震える声で許しを請う。
「お仕置きしてあげなきゃいけないわね」
 冷たい声でそう言うと、香里は自分の机の引き出しを開けて何かを取り出した。それを床に放る。
「栞、それでこの子やっちゃいなさい」
「そ、そんな」
「や…いやだよっ!」
 グロテスクな隆起のついたバイブレータに、あゆはおののく。
「この子はじめてなんてどうでもいいらしいから、栞がそれでやってあげれば十分よ」
「そんな…ひどいよっ!」
「その写真で何をしようとしていたのかおっしゃい?これは当然の報復よ」
「う…うぐぅ」
「あ、あゆちゃんごめんなさい」
 栞はバイブレータを持ち上げると、身体を起こしてあゆに近づいてきた。
「し、栞ちゃんっ!」
「私、逆らえないんです…ごめんなさい」
「や、いやぁ…うぷっ!」
 絶叫を上げようとしたあゆの口を、香里がふさぐ。栞は素早くあゆのスカートに手を伸ばしていった…




6/16
「し…栞、気持ちいいっ?」
「う、うん、お姉ちゃん」
 戸惑うような声。問いかけた香里の声も、どこか躊躇のような、焦りのような感情がにじんでいるのが分かる。
「ちゃんと、私の指を感じて」
「だ、大丈夫だよ、気持ちいいよ」
 栞は目のやり場に困ったようにして、しきりに辺りをきょろきょろと見回している。そんな栞の事を、落ち着かない素振りで香里は見ていた。だが、その間にも指を動かすのは止めていない。
「本当に感じているのね?舐めてあげた方がいいのなら、そうするわよ」
「ううん、十分気持ちいいから気にしないでいいよ、お姉ちゃん」
 香里の指は、栞の秘裂の中にもぐり込んでぐにぐにと刺激を続けていた。くちっ、くちっとほんのわずかな水音も立っているのだが、香里の指の動きでほとんどかき消えてしまうほどのものだ。何より、栞が絶えず辺りを気にしている素振りが、性行為に没頭しているわけではない事を証明している。
 そんな栞をもどかしそうに見ながら、香里は執拗に栞のクリトリスを転がした。肉襞の間に隠れてしまいそうなその部分を、指の腹で幾度も幾度も責め立てる。栞はそれにじんわりとした快感は感じていたが、我を失って乱れるというほどのものではない。
「まだ、イケない?」
「ううん、もうそろそろ…」
「本当に?本当にね」
 香里は真剣な目で栞のクリトリスをいじくり立てる。栞はその指に自ら突起を押しつけるようにして腰を上げていった。
「ふぁ、ふぁぁっ…」
 栞は可愛く鼻に掛かった声を上げながら、ぴくん!と自ら身体を震わせた。
 かくんと頭を垂れると、息を荒くして、ぴくぴくと腰を痙攣させながら目を閉じる。
 どこか不安そうな顔をしながら、香里は妹の性器から指を離した。
 そのまま二人が佇んでいると、ドアが空気音を立てて開いた。そして、一人の初老の男が現れる。
「あ…」
 香里が立ち上がる。栞も、つられるようにして立ち上がる。
 つるつるとした秘裂からわずかに愛液がとろけ出しているのを恥ずかしそうにしながら、それでもその部分は隠さずに、直立した。香里と手をつなぐ。
「…どうでしょうか」
「そうだね」
 男は、非常に優しい声質をしていた。
「栞ちゃんのオナニーの最近の回数は?」
「4回…5回くらい?栞」
「大体3回です…疲れていれば、2回くらいですけど」
「そうだなぁ」
 男はあごに生えた髭を撫でながら、二人の事を交互に見つめる。
「栞、もう少し」
「お姉ちゃんの方にもきちんと見てもらうとかしてね。お姉ちゃんも大変だろうけど」
「はい、責任を持って見ておくようにします」
「うん」
「じゃあ、栞」
 香里が促し、二人は男に向かって礼をする。栞の礼は、脚を曲げないようにしているようなどこかぎごちないものである。
「頑張ってね」
「はい」
 栞は男の顔を見ないようにしながら、小さく答えた。




6/12
 薄暗い部屋。二枚重ねにされたカーテンのうち、薄いベージュのカーテンだけが閉められている。外からはほんの少しだけの光が差してきている。それを見れば、外はよく晴れているだろう事は容易に想像できた。
 その部屋の中にいる栞の姿は、普段ならば暗く沈んだものに見えたものだろう。
「………」
 今のように、手で秘部と胸をまさぐっているような状況でさえなければ…
 栞の手はブラウスの裾とスカートの裾からそれぞれもぐり込んで、服の下でモゾモゾとうごめきながら刺激を加えていた。決して指を自由に動かせるような状況ではないのだが、栞はふにゅっ、ふにゅっと空白を挟みながら瞬間的に強い刺激を与え続けている。
「あ…ふぅっ」
 栞が、こてんと頭をベッドにもたれさせた。天井を見つめるようにしながら、同じようにゆっくりとしたペースで性感帯を刺激していく。
「んぁ…」
 目を閉じ、艶めかしい声を上げながら、身体をよじらせる。脳裏に浮かんだ妄想はどのようなものなのかわからなかったが、自ら声を上げている事でその妄想を演出している事は間違いない。栞は色素の薄い肌をうっすらと火照らせながら、口を小さく半開きにする。
「あっ、あっ…」
 高くかすれた声を上げながら、栞が段々腰を持ち上げていく。そして、ぐぐっ…とベッドをこすり上げるようにして首を横に曲げた。妙に「ねばっこさ」を感じさせる動作である。栞の容姿の幼さと相まって、そこにはむせ返るほどのエロティックがあった。しかし、すっきりとしたショートカットのせいか、その仕草はただの鈍重に貶められず、どこか清潔な爽やかさを失っていなかった。
「あ…あーっ…」
 栞が、腰をいよいよ高く上げて、左右によじらせる。それを追いつめるようにして、秘部にもぐりこんだ指の動きは最大限まで強められていた。暗闇の中で捉えられたクリトリスが、強引なまでに転がされ刺激される。
「あっ!」
 ひときわ高い声が響き、栞はがくんと腰を落とした。
「はぁ…はぁ…」
 がちゃ…
「………!?」
 びくんっ!と身体を跳ね上げ、栞はドアの方を見やる。両の手が慌てて服の下から取り出される。
「………」
 ドアを開けて部屋の入り口から栞をのぞいていたのは…香里だった。半分だけ開けたドアの向こうから、軽蔑したような視線が見下ろしている…
「あ…」
 栞は何か力つきたように、手を床に下ろしていった。右手の人差し指だけは、愛液で未だぬらぬらと光っている。
「あんまり、そんな事してるとバカになるわよ」
 ばたん。
 冷たい声と共に、香里はドアを閉じた。
 かくん…と栞は頭を垂れ、あまりに惨めな自らの状態に一人涙していった。




6/3
「い…嫌っ、やめて!」
 両の目からぼろぼろと涙をこぼしながら香里が訴えかける。その両手両足は細身のロープで何重にも縛られ、固定されてしまっていた。ヒップの部分だけが、辛うじて地面に着地する事を許されている。
 そんな状態では反発力など全く生かせるはずもなく、香里の逃げようという試みはロープをぎしぎしと軋ませるだけに止まっていた。M字に開脚された足の真ん中には、ぱっくりと無理矢理に露呈させられている紅の秘めた部分があった。
 ヘアは、ない。それなりに発達した恥丘を覆っているべき叢が全くない。香里の足元に落ちている安全カミソリと、ところどころに飛び散った白い泡を見れば何が為されたのかは明らかだった。
 香里に近づいていく、小さな影。
「ど…どうしてこんな事するの!?しおりっ…答えて!」
「………」
 闇の中から現れたのは、普段とは別人のように冷たく鋭い目をした栞の姿だった。香里と同じように、身には何一つとして纏われていない。しかし、その事を全く気にしていないかのような透明で黒い瞳が、香里のことを静かに見据えた。
「ひ…」
 実の妹の姿に怯える。
 ついさっきまで泣き叫ぶ香里を無視して、カミソリを操っていた少女なのだ。見慣れてきた身内の姿という事よりも、何をされるかという恐怖心の方が強い。
 栞の手には、白っぽく細長い棒があった。
 逆の手にはボタン式のライター。
「………!?」
 栞は白い棒の方をかざすと、ゆっくり香里の身体の上に近づけてくる。そして儀式的にライターのボタンをカチッ…と押すと、生まれた小さな火を棒に向けて移動させていった。
 その瞬間、香里は白い棒が何を意味するのか把握する。
「ゆ!?ゆるしてぇっ!?」
 香里の性器の直上に位置された白い棒を、火が舐めた…
 ……ぽたっ。
 永劫にも思える一瞬の後、
「ひぃぃぃっ!……あ……?」
 絶叫を上げた香里の声が、途中で止まる。
 感じられるはずの激烈な熱さはなく、そこにあるのはべとついた感覚だけ。見ると、落ちてきた液体はすぐに固まる事はなく、秘裂の間をつぅっと滑り落ちている。
 ぽた。ぽた。
 栞が白い棒の近くで火を滑らせる度、その液体はぽたぽたと滑り落ちて香里の秘裂に垂れ落ちた。
「な…なんなの…?」
 拍子抜けの感覚と、得体の知れない液体の恐怖が入り交じってくる。
 そして、香里の秘裂が完全にべとべとになってしまうと、栞は体勢を低くしていった。ライターだけを床に置くと、香里の性器にゆっくり顔を近づけていく。
 ぺろっ。
「んっ!?」
 突然、香里の秘裂をなま暖かい感覚が襲う。
 ぺろ…ちろっ。
 栞は香里の股間に顔をうずめて、クンニリングスを始めていた…
「や…やぁっ!栞、そんなこと、やめて!」
 香里は嫌悪感に身をよじらせる。同性ということ、近親ということ、二重のタブーの感覚が香里を襲う。
 すぐに栞の舌は秘裂の内側までもぐり込んできた。栞の舌は身体に相応して小さく細いものだったが、そのためにヒダのあちこちまで的確に滑り込んで刺激してくる。丁寧に丁寧に舐められてくると、香里は段々別の感覚を感じざるを得なくなってくる。
「ん…ん…いやっ」
 香里はふるふると頭を振って訴えた。しかし弱々しくなった声は、栞のさらなる大胆な動きを誘発しただけだった。
 女として最も弱々しくいやらしい部分を、栞の舌がつんとつついてくる。
「あうっ」
 じゅぷ、じゅぷとたっぷりと唾液を含ませた舌が動いて、突起を守っている包皮を強引に脱がせてしまった。後は、舌で転がされる度に激しい快感の波が腰の奥から襲ってくるだけである。栞の柔らかい舌が、何度も何度もそこを包み込んでこねくり回す。
 愛しい人に触られた事も、自分で触った事もある部分だ。性の感覚と、太い太い伝達神経で直結されている部分。そこを自分の妹に舐められている。
 屈折した快感すら芽生え始めた瞬間、ずんっ、と香里の腰に重苦しい感覚が生まれた。次の瞬間、それは痛みにも似た冷たさに変わる。
「ひっ…ひーっ!つ、つめたいっ!?」
 香里の密壷には、栞の持っていた白い棒が突き刺さっている。栞が持っていたと思しき部分には、木のバーがついていた。どこにでもあるミルクアイスだったのだ。ただし、温度は普通のものと比較にならないほど冷やされていたに違いない。
「あ…あくっ、うーっ、だめ…」
 香里はメチャクチャに身体を動かして抵抗したが、まるでダメだった。むしろそれは膣の自然な収縮を招き、ますます冷たい感覚が激烈に感じられるようになっただけだ。処女を奪われた時にも比せられる痛みだったが、それとは全く別種の痛みだった。
 しかも、痛みに加えて、栞の執拗なクンニリングスは続いている。香里は気が狂ってしまいそうだった。
「ご、ごめんなさいーっ、しおりっ」
「………」
「なんでもします、なんでもしますから…許してくださいっ」
 香里はくしゃくしゃになった顔で訴えかけた。言葉も、もはや妹に対して向けたものではない、懇願になっている。
 栞は、赤くなった姉の性器からゆっくりとアイスのバーを引き抜いた。表面がどろどろに溶けた白い棒が出てくる。しかし、中心部分は未だに溶けていなかった。
「あ…あ…あはぁーっ…」
 香里は放心したようになって、安堵の声を漏らす。
「お姉ちゃん」
「は…はひっ」
 もはや呂律(ろれつ)が回っていない。
「自分が、いやらしい女だと認めてください。それから、イク時に自分でイクって言ってください」
「はい…わかりました」
 ビクビクと、恐怖に打ち震えた目のままで答える。
 そして栞がクンニリングスを再開した。
「うっ…ひ、いいっ、あ、そこっ、いい、感じるっ」
 香里が涙をぽろぽろと流しながら、栞の舌の動きに反応して淫靡な声を漏らす。栞は依然として冷たい視線を維持したまま、黙々と舌を動かし続けた。
「あ、あ、そこ、そこですっ、もう、もう、だめですっ、いやらしいから、私、いやらしい身体だから、もうイッちゃいますっ」
 栞が行為を再開して30秒も経たないうちに、香里は言う。それを聞いて、栞はクリトリスをはじくような強い動きを連続して加えていった。同時に指を香里のヴァギナに挿入し、膣壁をこりこりとくすぐった。
「あぁっ…イクっ…」
 香里はびくんっ!と一度身体をわななかせると、ぐったりとしてしまう。
 栞は軽蔑したような目でそれを見ながら、指を締め付けてくるヴァギナの中をぐりぐりと刺激し続けていた。
「祐一さんに、どれくらい会いましたか?すぐ我慢できなくなって、欲しくなっちゃうんでしょう?自分の指で我慢するってこと、できないんですか?」
 そして尋問が始まった。




5/27
 ちろ…
「うくっ…」
 高く鋭い声が漏れる。
 ちゅる…ちゅ…
「あ…しおり…ちゃ…」
 がしっ。
 震える声と共に、あゆの腕が栞のショートカットをぎゅっと抱え込んだ。
「ふむっ…」
「あっ」
 それは、あゆの秘部に口づけている栞の顔をより深く近づける結果になる。栞はやや苦しげな声を漏らしたが、舌の動きを止める事はなかった。あくまでも優しいタッチではあるが、極めて積極的。唾液で滑らせた舌が、生き物のようにうごめいていた。
 しかし、栞の口の膨らみを見ると、クンニリングスにしては不自然である事がわかる。栞の半開きになった唇はあゆの秘裂に隙間なくぴったりと押しつけられていたが、それ以上侵入していこうとしない。その状態では、秘裂の中に舌だけを滑り込まそうとしても、舌の長さが足りなくてほとんど入っていかないはずだ。
 ずる…
 だが栞が唇を秘裂から少し離した瞬間、栞の行為がただの焦らしではなかったが事がわかる。栞の唇とあゆの秘裂の間に垣間見えたものは、まるでペニスのようなピンク色の肉棒。
 ぬちゅ…ぬちゅっ、ぬちゅ…
「ひ…あぅ…栞ちゃん、強すぎるよっ…」
 根元付近での小刻みなピストン運動だったが、あゆは腰をぴくぴく震わせながら官能に喘いだ。同時に、秘裂の間から透明な液体がとろりと流れ始める。
 栞は半開きになった妖艶な瞳でそれを確認すると、指で愛液をすくい、あゆの肉棒にそうっとなすりつけていった。
「いっ…いっ…あっ…」
 唾液と愛液に光る肉棒に、栞はさらなる舌の攻撃を加えていく。時折ピストン運動を止めていたが、それは休んでいるわけではない。口腔の中では、激しく舌を暴れ回らせているのだ。男のそれと同じように先端が最も敏感であるらしく、あゆは栞の舌が先端を撫で上げる度に悲鳴にも似た嬌声を上げていた。
 それに加えて、あゆのヴァギナに指を突き刺す事も忘れない。熱く透明な液体は、栞の指の動きに応えてにちゃにちゃとした感触と音を返す。
「あ…栞ちゃん、ボク、もうだめだよっ…!」
「………」
 栞の返事は、唇での激しいしごき立てと、指をもう一本挿入しヴァギナの責め立てだった。
「ボ、ボク、もうがまんできないっ!」
 びくんっ。
「きゃ…」
 栞が驚いたような声を上げて、顔を離す。脈動の大きさが予想以上だったらしい。
 ぴゅ…ぴゅっ…ぴゅるっ
「あ…あゆさんのが…」
「う…ううっ」
 あゆは脱力したようになって、ただ放出の快感を感じていた。吐き出された液体は、栞の顔中を汚し、髪にまで飛び掛かっていく。
「ご、ごめんね、栞ちゃん」
 一通り放出し終わると、未だひくひくと震えるピンク色の肉棒を晒したままにあゆは謝った。
「ひどいです、あゆさん」
 唇や目に垂れてきた液体をこそげ取りながら栞は言う。飲む気は、ないらしい。
「今度は、私の番です…」
 栞は足元にあった小さなローターを手に取り、あゆのヴァギナにあてがう。それは極めてスムーズにあゆの中に飲み込まれていった。
 ぶぶ…
「あっ…」
 あゆは峻烈な快感に眉をしかめながらも、ぱたんと仰向けに倒れる。
「あゆさん…いきますよ」
 その秘部から突き出た、未だ屹立しているピンク色の肉棒に栞がまたがっていった。
「き、来て、栞ちゃん」




5/24
「あ…くっ、んっ、あいざわ…くんっ」
 感極まった声。
 ぬぢゅっ、とした淫靡な水音と共に、祐一の腰にまたがった香里はペニスを深々と受け入れていた。潤滑の液に濡れ濡れた香里の秘部は、まるで抵抗なく男の逸物を受け入れる。
「かっ、香里っ」
「うっ…相沢君の…奥まで当たってる」
 普段の理知などかなぐり捨てたような、直接的でいやらしい科白。成熟した肉体が、祐一の前にあけすけにさらけ出されている。
 ず…ずぶっ
「ひうっ、ああぅっ…」
 香里が大きく腰を動かし始めた。その度に、長いウェービィヘアが奔放に揺れる。自分で産み出した快楽に、ひっきりなしに愉悦の声を上げる。
 ずんずんと積極的にペニスで突かれる様子を見ていれば、香里がヴァギナからもたらされる性感に目覚めている事はすぐわかる。性交に関しては、それなりの経験を積んでいるようだった。
「あ…お姉…ちゃん」
 二人の様子を見ながら、乾いた声を上げる少女がひとり。栞だ。栞もまた身に何もまとっておらず、恥ずかしさと興味を兼ね揃えた瞳で激しいセックスの様子を見守っている。
 もじもじと両脚を擦らせているが、さすがに欲求をそのまま口に出す事はできないらしい。
「栞もっ…相沢君にっ…」
「え…でも」
「顔に、またがるの…」
「あ…」
 栞は顔を真っ赤にした。それでも、待ちかねたようにベッドに上がる。
「祐一さん…いいですか?」
「あ…ああ」
「ありがとうございます…」
 香里とは正反対に、乳房も性器も未発達な栞の体躯。陰毛が全く生えていない、つるりとした恥丘…
 ぺちゅ。
「ふあっ!?」
 祐一の舌が栞の秘部に触れる。驚いたような嬌声が上がる。
 ぺちゅ、ぬちゅ…
「く…んあうぅ」
 栞は夢見るような声を上げる。はっきりと気持ちいいらしい。割り広げられた秘裂の中は、既に愛の雫に潤い始めたピンク色の粘膜があった。
「し、しおりっ」
「お姉ちゃん…」
 二人は欲望に衝かれるままに、口づけた。姉妹であるという抵抗感など薄い紙のように破られる。ただ、背徳の念だけがぞくぞくとするような快感をもたらしていく。
 ぐち、ぐち、ぬちゅ、ぬち…
 みだらな水音に支配されながら、三人は快感をむさぼり合っていく。
「わ、わたしっ、もうだめです…」
「私も、私もっ、栞、一緒に…」
 二人は再び熱く唇を交わす。
『んんーっ!』
 そして、姉妹は同時に昇天した。