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eramakerシステムを作るとき考えたこと -1-

ゲーム論 コメントなし

既存システムに感じていた不満

既存の調教SLGのイメージ

既存の調教SLGのイメージ

 調教SLGのパラメータというのは、長らく決まった形式を持っていた。コマンドによって消費される体力や理性や気力と、コマンドの結果により上昇(ときに下降)する快楽や被虐などのパラメータという構造である。あとはコマンドの実行回数により新しいコマンドが解放されるなどの要素が加味されていることもある。調教SLGの名作と位置づけられるシリーズ、虜、DEEP、SEEKなどは皆このシステムを基本としている。

 このシステムの限界は、ある日最初に行ったコマンドと最後に行ったコマンド、ある日に行ったコマンドとその翌日に行ったコマンドなどに差異を作りづらいことだ。順番が違っても各コマンドの合計回数が同じなら結果も同じといったことになりがちで、ユーザーが脳内保管でもしない限りは無味乾燥なプレイ経験になってしまいがちである。特に同じコマンドを連射してもペナルティのないゲームでは、同じコマンド連打で同じCGとテキストが表示されるなど不自然でマンネリの状況を生みやすい。

 また、パラメータが連続的なものばかりだと「あるタイミングでの劇的な変化」を表現しづらい。「特定のイベントで大量のパラメータアップがある」形で解決することもできるが、バランスをとりづらい上に、序盤で発生するのと終盤で発生するので意味合いが大きく変わるなどの問題がある(例えば被虐が100上がるイベントがあった場合、0→100と500→600は大きく違う)。

 さらに、マイナスパラメータの存在がないために「効いているのだが一方で嫌がってもいる」といった状況が表現しづらい。加えて、ある時期は敢えて不興を買ってでも特定のパラメータを伸ばす、といった戦略性を組み込むことが難しい。

 

不満を解決するシステム

eramakerでは以上のような不満を解決することを念頭に、システム設計をした。

調教中パラメータと能力(調教後確定したパラメータ)を分けた。

  • ある日とその翌日で、コマンドの意味が変わらないといった事態は起こりづらい。
  • その日の調教を組み立てる戦略性が生まれ、ある日の初めのほうに実行すべきコマンドとテンションが高まってきてから実行すべきコマンドなどの差別化もできた。
  • 濡らしてから挿入する、快感が限界に達し絶頂するなど、臨場感のあるパラメータ表現も可能になった。

珠システムや刻印システムで、劇的な反応の変化もありうることを表現した。

  • その日を終えたとき、調教中パラメータが500,3000,10000など区切りの数字を越すことができると得られる珠が飛躍的にアップするようにした(珠は調教中パラメータの値によって得られる能力アップ用のお金のようなもの)。
  • 激しい苦痛や快感、あるいは命令に従ってしまった経験などにより「苦痛刻印」「快楽刻印」「屈服刻印」などがそのキャラに永久に残るようにした。強烈な経験、自発的に何かをしてしまった経験が一度でもあると「もう戻れない」というのを表現できるようになった。

「不快」「反発」などのマイナスパラメータを導入した。

  • あまり反発されないが効果が小さいコマンド、反発は大きいが効果の大きいコマンドなどを作れるようになった。
  • ムチで叩かれて「怒ると同時に萎縮もする」、愛撫されて「気持ち悪いと同時に快感もある」といった二重性を表現できるようになった。
    →さらに「反発を食うばかりで逆効果」のコマンドが、そのうち「反発もするのだが、それ以上に服従させることができる」になるような変化も表現できるようになった。
  • マイナスパラメータが上がりやすいか上がりにくいか、という観点からのキャラ差別化もできるようになった。
  • 前出の刻印システムの一環で「反発刻印」というのを作り、「一度恨みをもたれると最後まで響く」というのを表現した(ただこれには不満があるユーザーも多いようで、頑張れば刻印消去ができるようにしている作品も多い模様)。

 こういった要素の導入によって、より戦略性とリアリティのあるシステムを構築することができたと自負している。当然、シンプルなわかりやすさ というのは犠牲になったが……



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